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トランジスタテスターの組み立て(2019.2.5)


デジタル式の様々な測定器が安価に出回っています。以前から秋月電子ケース入りの
完成品
を扱っていましたが、Amazonが中国本土の製品を直接販売するようになり、コアに
なるPICのみの販売から組み立てキットに発展し、専用ケースも付属するようになると、もう手を
出さずにはいられません。少し前のオシロスコープに続き、多機能のTRテスターを組み立てます。

 

元から購入しようと計画していたわけでも、偶然見つけた
わけでもありません。Amazonに勧められたまでです。

 

 シェル素材:アクリル
 シェルの色:黒、白、透明(オプション)
 電源:1 * 9Vバッテリー(別売)またはDC 9V
 抵抗測定:Max。 50MΩ
 抵抗分解能:0.1Ω
 静電容量測定:25pF-100mF
 静電容量の分解能:1pF
 インダクタンス測定:0.01MH-20H
 ブラックシェル重量:86g
 ホワイトシェル重量:86g
 透明シェル重量:80g
 パーツ重量:79g
 パッケージサイズ:102.6 * 95.2 * 33.7mm
 パッケージの重量:166g

ショッピングサイトが購入履歴からお勧め商品を選び出す
機能は実に驚異的です。TRテスターの仕様を確認します。

 

2週間ほどを要して工房に到着しました。
中国本土からの配送でしょうか。



ビニル袋の中に、LCD基板、パーツセット、TRソケット、
PICセット、回路基板、説明書が入っています。

 

先日のデジタルオシロスコープ同様、
非常に高品質の回路基板(PCB)です。

 

ガラスエポキシ製、両面スルーホールです。
表側(部品実装側)のシルク印刷も綺麗です。

 

回路基板の表側(部品実装側)見取り図です。CADによる設計なので
回路基板に反映されている配置データと完全に同一の図面です。

 

基板と一体になったLCD表示器です。
16文字2行を表示する汎用品のようです。



基板の裏面を確認します。表示制御用のチップは
2個とも樹脂で黒くモールドされています。

 

パーツのセットを開けてみます。デジタルオシロスコープほどでは
ありませんが、細かなディスクリート部品が出てきて気が滅入ります。

 

付属の説明書です。英文で書かれており
必要最小限で内容が的確です(意外と)。
 

TRテスターの全体回路図です。専用LST(PIC)に
大きく依存しているので、回路はシンプルです。
 

回路に使用される抵抗器です。誤差1%の金属被膜
抵抗です。5本のカラーコードがよく判別できません。

 

TRをはじめC・Rなどディスクリート部品を
差し込むソケットと、専用LSI・同ソケットです。

 

組み立てに取りかかります。説明書に組み立て順が
ありますが、気が向いた部品から取り付けて行きます。

 

まず、専用LSI用のICソケット(28P)を取り付けます。
ソケットが浮かないように、対角の2か所を仮止めします。

 

基板とソケットの密着具合を確認し、浮いていた
場合は押さえ付けながら2か所を溶かします。

 

ソケットの向きも間違いなければ、
対角の4か所を半田付けします。

 

基板に密着しています。LSIにソケットを
用意するあたり、慎重な設計の製品です。

 

ソケットの残りのピンを半田付けします。
DIPとはいえブリッジしないよう留意します。

 

ランドの面積が小さいので半田ごての接触が
不足しがちで、意外と熱伝導に手間取ります。

 

カラーコードが小さいと色が判別しにくくなります。
有難いことに固定テープに抵抗値が記入されています。

 

PICの入出力周りの抵抗器が縦方向に並びます。
基板内陸側の部品でもあるので先に取り付けます。

 

ほとんど表面実装部品が使用される場面です。組み
立てキットなのであえてリードパッケージなのでしょうか。

 

アキシャルリードをコの字に折り曲げて差し込み
ます。カラーコードの読み取り方向を揃えます。

 

一番上の部品番号「R1.4」の意味が不明です。
ナンバリングを間違えたのか・・、270オームです。

 

基板の裏側(半田面)でリードを軽く
開き、部品が落ちないようにします。

 

この程度の部品をまとめて取り付け、
半田ごてを握る回数を略します。

 

半田ごての動きを妨げないよう、
リードの広げ方を揃えておきます。

 

一列に並ぶランドを連続して
半田付けしていきます。

 

余分なリードを根元で切り離します。
切れ味の良いニッパを使いたいところです。

 

続いて、PICの下側に並ぶ
抵抗器を一挙に取り付けます。

 

基板にシルク印刷された部品番号の
向きに、カラーコードの方向を揃えます。

 

半田面にリードを引き出して
揃え、一度に半田付けします。

 

抵抗器については、ギャランティ
なのか全てが1本ずつ残ります。

 

能動部品の取り付けにかかります。どれも同じ形状の黒色で3本足、
見分けがつきませんが、表面に極小の印字があり、3本はTR、1本は
レギュレーター、1本はツェナーダイオードです。ルーペが必須です。

 

TRを差し込みます。断面が半丸形
なので極性を間違えようがありません。

 

S8550はPNP型の汎用TRで、
Dランクなのでhfe160~300。

 

リードを深く入れ過ぎたでしょうか。
半田付けを終えて後の祭りです。

 

表側に返してみて、やはり入れ過ぎました。
TRの背が低く見栄えが・・、どうでもいいです。

 

LM336Z5は高精度のシャント・レギュレーター・ダイオード
(ツェナーダイオード)で、電源9Vから基準電圧5Vを作ります。

 

残るはボルテージレギュレーターの78L05、向きが分かり
ません。説明書に「face towards the outside」とありました。

 

面(ツラ)を基板の外側に
向けろということです。

 

8MHzのクリスタルを取り付けます。C・Lを
測定するのに正確なタイムベースが必要です。

 

セラミックコンデンサを取り付けます。どれも
全く同じに見えますが3種類に分かれます。

 

電解コンデンサ10µFです。横に寝せて取り付け
ないとLCD基板と干渉することに後で気付きます。

 

LCD表示器の濃淡調整用の半固定抵抗器です。
調整ドライバーが入るよう溝を外側に向けます。

 

パイロットランプとなる黄色LEDです。
アノード・カソードを間違えそうです。

 

LEDの横にプッシュスイッチを取り付けます。
このスイッチのみで本機を操作するようです。

 

プッシュスイッチの上には外部電源のコネクタが
付きます。内蔵する乾電池どちらでも動作します。

 

ランドが広い分、半田ごての熱が伝わり
やすく、結果、半田が良く乗ります。

 

被測定部品を差し込むソケットを
取り付けます。レバーによる固定式です。

 

コンデンサの最後はクリスタルの左右に取り付ける
22pFです。基板にはC1・C2と印字されていますが、

 

説明書にはC7・C8とあります。C1・C2は
ICソケット左側に取り付け済みで、重複します。

 

実際に、この22pFセラミック
コンデンサが2個残っているのみです。

 

これは基板上の部品番号の印刷ミス
でしょう。22pFを半田付けします。

 

20ピンSIPコネクタから、LCD表示器
接続用に16ピン分を切り離します。

 

LCD表示器に取り付けます。先に両端の2か所を
半田付けし、浮き上がりがあれば修正します。

 

残りのピンを半田付けします。LCD
表示器はコネクタを介して着脱可能です。

 

LCD表示器を接続する16ピンSIP
ソケットを基板側に取り付けます。

 

ソケットにも浮き上がりがないか、基板に対して
垂直であるか確認してから半田付けします。

 

コネクタとソケットの当たりを
確認します。問題ありません。

 

PICをICソケットに差し込みます。大概ピンが
左右に開いており、そのままでは入りません。

 

ピンの間隔を狭めてから
差し込み直します。

 

ICソケットを使用せず、基板にPICを直接半田付けしても良さ
そうですが、やはり組み立てキットは無難に設計されています。

 

006P9V乾電池を接続する
ためスナップを取り付けます。

 

組み立て完了です。以前に見たことのあるTRテスターはこの状態でした。
ケースが付属しないので、基板やLCD表示器が裸のままでした。

 

乾電池を接続し濃淡調整用半固定抵抗を回すと、LCDに起動時のメッセージが表示されます。
乾電池の状態(電圧)に続き、ソケットに接続されている(はずの)デバイスを調べています。

 

何も接続していないので「No」以下の
メッセージが表示されています。

 

試しに在庫のC1815Yを測定してみます。適当に
差し込んでからプッシュスイッチを押します。

 

1行目にNPN型であること、各端子がB・C・Eの順であることが表示されています。
2行目にはエミッタの電流増幅率(B)が140、およびターンオン電圧(Uf)が723mVと
表示されています。取りあえず組み立てには問題なく、正常に動作しているようです。

 

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