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1×4(ワンバイフォー)チェア製作
 


 材料取り


どこのホ-ムセンターでも手に入る6フィートの1×4材
(2脚分)です。節の少ないAグレード材を使用します。
 


CADから割り出した各部品の長さと数量です。
断面の寸法は全て1×4のまま使用します。
 

1×4の公称サイズは19mm×89mm、
実際には19mm×90mmあります。


材料端から5~10mmのところを
スライドソーで切り落とします。


正確(直角)で綺麗な小口を出し
部品取りの基準端にします。


基準端から各部品の長さを取ります。6フィート
からなるべく無駄が出ないように配分します。
 
 部品加工


1脚分全17個の部品です。ラフな素材感を残す
ため、カンナがけは略しそのまま使用します。
 


前脚と後脚(背もたれ)の部品に
斜め方向の切断線をかき入れます。
 
 
側座枠(座を支える前後方向の枠材)と
座板を取り付ける位置をかき入れます。
  

スライドソーでは最大切断長が足りずテーブルソーを
使用します。長方形の4mm合板を1枚用意し、
 

合板の1辺を、脚部品にかき入れた
斜め方向の切断線に合わせます。
 

10mmくらいの小釘を2・3本打って
動かないよう両者を固定します。
 

テーブルソーで部品を斜め方向に
切断するための簡易的な治具です。
 

治具代わりの合板の幅にテーブル
ソーのフェンス幅を合わせます。
 

合板と共に脚部品を押し出し
切断線通りに切断します。
 

小釘は簡単に抜くことができるので、合板を
次の部品に取り付け、続けて作業を進めます。
 

2脚分の前脚部品を切り出しました。
やはり手工具で加工するより正確です。
 


後脚(800mm長)も切り出します。座面位置を中心に上下に斜め
方向のカットを入れます。治具(合板)のセットに少し工夫が要ります。
 

デザインに椅子らしさを加えるため、
脚の外側縁にルータでR加工を施します。
 

ビットの切れ味が良くかつSPF材が柔らかい
ので、非常に綺麗な切削面が得られます。
 

背板の1枚にロゴを刻印します。
ご希望により変更可能です
 

レザーカッターで文字を描き込んでいきます。
50Wレザーで出力10%、速度20mm/sほどです。
 

印刷やレタリングシートとは異なる
素朴で上品なクオリティです。
 

刻印した背板にも上手前側の
縁にルータでR加工を施します。
 

「Techbase MORIYA」のロゴと
工房WEBアドレス入りの背板です。
 
 組み立て


組み立ては前後脚と側座枠の接合から
始めます。左右を各々別個に組み立てます。
 


後脚の中央部に側座枠を取り付ける位置をかき入れ
ます。板幅90mmの1/2、45mm分を重ねます。
 

前脚にも同様に取り付け
位置をかき入れます。
 

接合には30mmのコーススレッドを打ちます。
防錆のためステンレス製を使用します。
 

小口から板厚(19mm)以上離れているので
下穴なしで打ち込んで問題ありません。
 

コススレッドの先端が反対側に
僅かに出るところまで打ち込みます。
 

木端から板厚(19mm)ほど
離して2本打ち込んでおきます。
 

コーススレッドを途中まで打ち込んで
おいてから接着剤を適量塗ります。
 

コーススレッドの先端が突き出ているので
軽く押さえ付けると位置が決まりずれません。
 

コーススレッドのどちらか一方を
最後まで打ち込みます。
 

曲尺を当て両側で直角を確認します。が、材の
微妙な狂いが影響して完全には合いません。
 

荷重が集中する部分なので、
接着剤の併用は必須です。
 

同様の手順で前脚と側座枠を接合します。先に
コーススレッドを途中まで打ち込んでおきます。
 

コーススレッドを一方のみ打ち込み
前後脚の間隔を確認します。
 

位置を変えて間隔を確認し、
同じ寸法になるよう調整します。
 

他方のコーススレッドを打ち込み片側を完成
させます。同様に反対側も組み立てます。
 

次に前後の座枠を取り付けます。接合面は板厚(19mm)×板幅(90mm)しか
ありませんが、方向の異なる2面で接合させるので実用強度を確保できそうです。
 

前後座枠の両端に木口から板厚分
(19mm)の接合位置をかき入れます。
 

板厚の中心(9.5mm)、両木端から
板厚(19mm)に下穴の位置を印します。
 

小口から9.5mmの位置では下穴なしで
コーススレッドを打ち込むのは無理です。
 

径2.0~2.5mmのドリルで下穴を開け、
材に加わるストレスを低減させます。
 

コーススレッドは反対側に僅かに先端が
突き出るまで予め打ち込んでおきます。
 
 

接着剤を入れます。2面いずれの
接合面にもやや多めに入れます。
 

部品同士が密着した状態を保ちながらコーススレッドを
打ち込みます。クランプをかけると作業しやすいです。
 
 

もう1本の座枠を取り付けます。強度が不足する
場合は、コーナー部内側を三角材で補強します。
 

反対側の脚を取り付けます。前もってコーススレッドを
打ち込んでおくことは、正確に作業する上で有利です。
 

必ず2つの接合面いずれにも接着剤を入れます。さらに
座板が接合されることで十分な強度が得られます。
 

全ネジのコーススレッドを使用しているため、部品の
浮き上がりを防止するにはクランプの使用が有利です。
 

部品同士の密着を確認しながらコース
スレッドを最後まで打ち込みます。
 

前後の脚、前後座枠、左右の側座枠が組み上がりました。既にかなりの
強度が出ています。今回は三角材によるコーナー部の補強は見合わせます。
 

座板と背板の取り付けにかかります。32mm
程度の真鍮釘に下穴はおそらく不要でしょう。
 

しかし、真鍮釘は鉄釘より遥かに柔らかいため
打ち込んでいる最中に座屈する可能性があります。
 

SPF材ではなく真鍮釘へのストレスを低減
させるために1.5mm径の下穴を開けます。
 

コーススレッドと同様に先に真鍮釘を
途中まで打ち込んでおきます。
 

材の反対側に真鍮釘の先端が僅かに
突き出るところまで打ち込みます。
 

その後で接着剤を塗り、最後まで打ち込みます。
相手材に先端が刺さり位置がずれ難くなります。
 

5枚の座板を打ち付けました。奥の1枚のみ
長さが板厚2枚分(38mm)だけ短くなります。
 

続いて4枚の背板を打ち付けます。玄能の角を
打って材に凹み傷を付けないよう留意します。
 

前脚の前方外側縁をルータでR加工します。座板
との連続性を保つため、この時点で作業します。
 

綺麗に連続したR加工が出来ました。全体の視覚的
デザインを向上させ、板材のもつ頼りなさを低減します。
 

1×4チェアの完成です。安価な材料から
簡便な方法で実用的な椅子を製作しました。
 

実際に腰掛けてみると、座板の懐(前後)長が
少し狭いようで、落ち着かない感じがします。
 

時期改善策として、背板を上側2枚のみとし臀部が直接背板に当たらないようにすれば懐長を
稼ぐことができます。さらに、2枚の背板を後脚の内側に挟み入れて取り付ければ、20mm
ほど深くすることができます。気軽な普段使いを想定すれば、サンダーによる表面研磨のみで
仕上げ、塗装は略して良いと思います。使用する方の好みで塗装していただくのも方法でしょう。


 

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