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オーダーメイドシューズボックス その1(2018.9.1)
 

しばらくぶりにオーダー家具製作のご依頼をいただきました。守谷工房の本業は
家電修理ではなく「家具製作(届け出)」です。滅多にない機会で張り切ります。
マンション住戸の玄関に備え付けられている靴箱です。小型でとても靴が入り
切らないので、上部の空間を生かしてもっと大型にして欲しいとのご要望です。
 
 

玄関ドアの外側から見たところです。靴箱の上部に加え、ドアとの間にも
デッドスペースがあります。傘立てを置くぐらいではもったいないです。

 

ご依頼主と相談の結果、靴箱の上部からドア
手前に棚が延びるデザインを提案しました。
 

上部ボックスは既存の靴箱のデザインを踏襲し、
ドア開口部の内側に棚が収まる形状にします。

 

CADで正面寸法図を描きます。使用材の板厚を計算に
組み込み、部材の切断寸法を正確に割り出します。

 

同じく平面寸法図を描きます。一部に化粧合板を
貼り合わせるので、板厚は同一ではありません。

 

設計図面をA3用紙に印刷し、部品・工程管理に
役立てます。時々部品を作り間違えますので・・

 

12mm厚のファルカタ合板を使用します。軽量で
靴箱全体の重量を小さく抑えることができます。
 
 
3×6尺板2枚で全ての部材が用意できる計算です。
ほとんどの部材が棚板であり、長尺方向に切り出します。

 

工房の昇降盤は奥行き方向に十分なスペースが
ないため、長尺部材は途中で方向を反転させます。
 

桐代用材とも言われる柔らかいファルカタですが、積層合板
なのでかなり強度があります。サクサク切断が進みます。

 

スライドソーで長手方向の長さを決めます。
切断の正確さが組み立て精度を左右します。

 

必要な部材を揃えていきます。設計図面と
突き合わせ、寸法が正しいことを確認します。

 

右側棚部分はドア開口部に向かい奥行きが
狭まる設計です。この部分を加工します。

 

切断線から丸鋸のプレート幅(88mm)だけ
離れた位置に、ガイドとなる板を固定します。

 

固定されたガイドに沿って斜めに切断します。
手鋸を使用した方が手っ取り早い気がします。

 

しかし、切断面の垂直な仕上りを考えると、
手間がかかっても電動丸鋸に分があります。

 

天板・底板以外の4枚の棚板は
昇降盤を使用して切断します。

 

天板か底板の切れ端を、棚板の
木端にテープで仮固定します。
 

斜めの角度は同一なので、切断線に鋸刃が
合うよう昇降盤のフェンスを調整するだけです。

 

柔らかいファルカタ合板なので、昇降盤にも
材料にも無理がかからず、安定して切断できます。

 

仮固定していたテープを剥がします。
この方法で残り2枚を片付けます。

 

ファルカタ合板の表面は、そのままでは製品としての
品質に至りません。まずオービタルサンダーで研磨します。

 

木端面は小口テープで処理しますが、テープの
粘着力が損なわれないよう軽く鉋を当てます。

 

表裏両面にプラサフを2回吹きます。
表面の手触り感を向上させます。

 

サンディングシーラーを使いたいところですが、
速乾性の点でプラサフに頼りがちです。

 

30分~1時間も乾燥させればサンディング
できます。表面が一挙に平滑になります。

 

艶消し黒のカラースプレーで両面を塗装します。
写真は乾燥前なので表面が光って見えます。

 

周囲の切断面を小口テープで化粧します。12mmの
板厚に対して15mmのテープしか入手できません。

 

裏紙を剥がしながら、上面側の縁に
テープ縁を合わせて貼り付けます。

 

柔らかい木片で表面を強く
押さえ付け、粘着を促します。

 

縁からはみ出ている分(3mm)を
カッターナイフで丁寧に切り取ります。

 

稜線に沿って軽く鉋をかけ、小口テープの縁を面取りします。高級家具
では有り得ませんが、普及品レベルでは一般的な仕上げ方法です。

 

ボックス部分の両面開き戸を加工します。
表面に化粧合板を貼り付けて仕上げます。

 

既存の靴箱と同様の木目化粧合板を用意します。
開き戸と現物合わせでカッターナイフで切断します。

 

刃が左右にぶれないよう大型のカッターナイフを
使用し、切り込みを5・6回繰り返して切り離します。

 

木目印刷面(表側)は塩ビ製、裏側は
MDF材に近い木質系材料です。

 

木目柄の印刷は、色合いともにまあまあです。
配置方向に縛りのない木目デザインです。

 

塩ビ製の表側は撥水性がありますが、
木質系の裏側は木工用接着剤が使えます。

 

開き戸本体との間に隙間が生じないよう周囲には
途切れなく、内側は適当に接着剤を広げます。

 

開き戸本体と化粧合板の縁を正確に
合わせ、周囲をクリップで密着させます。

 

3枚の側板は、ボックスの内側やドア横の
壁面に隠れる部分を除き化粧合板を貼ります。

 

同サイズ2枚の側板を同時に圧着しています。クリップ
(クランプ)をかける前にテープで仮固定しずれを防ぎます。

 

化粧合板を重ね貼りすることで、ファルカタ合板の強度がかなり
向上します。フラッシュ(中空)構造に近い性状(軽く強い)です。

 

ボックス部上下の手前部分は、開き戸が閉じていても
僅かにはみ出る設計です。目立たないよう塗装します。

 

3cmほど奥にマスキングテープを貼ります。ボックス
内部は無塗装、無垢材料の状態で仕上げます。

 

艶消し黒のカラースプレーで
手前部分を塗装します。

 

乾燥を待ちマスキングテープを剥がしていると・・、
うっかりしていました、棚部分は奥まで丸見えです。

 

右側の棚部分は上下とも開口なので、
棚板同様に塗装する必要があります。

 

あらためてマスキングを施し、
棚部分にカラースプレーを吹きます。

 

主な部品加工は終了です。
組み立て作業の段階に入ります。

 

部材同士の接合位置、木ネジを打つ位置を
印します。手を抜かず正確に作業します。

 

側板(中仕切り板)の取り付け
位置と、木ネジを打つ位置です。

 

木ネジを打つ位置に下穴を開けます。
通常よりも1・2本多く木ネジを打ちます。

 

ボックス左側の側板を固定する木ネジの下穴
です。天板・底板を2枚重ねて作業しています。

 

左側側板と右側側板(中仕切り板)に、
棚板取り付け位置と木ネジ位置を印します。

 

2枚を重ねた状態で下穴を開けます。
組み立て開始目前で気持ちが逸ります。

 

つい怠りがちですが、設計図に戻り
作業に間違いがないか確認します。

 

先に左側側板に3枚の棚板を取り付けます。棚板外側から木ネジ
(コーススレッド)を仮打ちします。先端を内側に1mm弱出しておきます。

 

棚板の木口に接着剤を塗り付けます。
木ネジと接着剤の併用による接合です。

 

印しておいた取り付け位置に正確に合わせます。
軽く押さえると木ネジの先が刺さり固定されます。

 

木ネジを少しずつ様子を見ながら締め込みます。
調子に乗って一気に締めると・・失敗します。

 

次の棚板を取り付け位置に合わせます。
本体が自立するので作業が楽です。

 

棚板の取り付け位置が固定されたら、残りの
木ネジはクラッチを鳴らしながら一挙に打ちます。

 

3枚の棚板が取り付けられました。ここで中仕切り板を
取り付ければ取りあえずボックス構造となりますが・・

 

組み立て作業時の姿勢を考えると、中仕切り板に先に本体
右側の棚板が取り付けられている方が、楽に作業できそうです。

 

ボックス内の棚板高さは不等間隔、右側棚板高さは
等間隔のため、木ネジ位置が重なる心配はありません。

 

接着剤を塗り付けます。が、塩ビ表面には
接着しないことに、後で気付きました。

 

木ネジが頑張ってくれることを
期待しそのまま組み立てます。

 

木ネジ(コーススレッド)を
慎重に打ち込んでいきます。

 

接着剤の選択ミスに気付かない
まま、作業を進めています。

 

1枚につき4本の木ネジを打っています。
実際にはかなりの強度が出ています。

 

右側3枚の棚板が中仕切り板に取り付けられました。
化粧合板と艶消し黒が違和感なくマッチしています。

 

ボックス部と右側棚板部を合体させます。
ボックス側棚板の木口に接着剤を塗ります。

 

既に右側棚板が取り付けられているので、
木ネジを上側から打ち込むことになります。

 

下側から覗き込んで取り付け位置を正確に
合わせます。下から木ネジを打たなくて済みます。

 

設計図の中に留まっていたイメージが具現化
してきます。実際の大きさも実感できます。

 

実際に使用する姿勢(横向き)に戻します。既存の
靴箱に本当に合う大きさなのか不安になります。

 

現場で慎重に採寸し何度も確かめてきた結果を信頼するのみです。ここで
天板を仮置きしてみます。いよいよ完成状態が実感できますが、右端の
側板・天板・底板の組み立て、開き戸や背板の取り付けも残っています。

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