守谷工房の製作品へ                守谷工房Topへ

ライティングデスクの改造 その1(2017.12.23)


こちらの重厚なライティングデスク、長年にわたりお使いになり、既に書斎机としての
役目を終えているそうです。今後はガラス製品などを収納する食器棚として利用されたい
そうで、開き戸にガラスを入れて外から中が見えるように出来ないかとのご相談です。


 

無垢材(一部集成材)が全面的に使用されており、重厚な
印象ばかりでなく実際にかなり重量があり、造りが堅牢です。

 

ひとつは下部の両開き扉にガラスを入れます。
内側に嵌め込まれた面板をガラス板に替えます。

 

もうひとつ、上部ドロップ扉にもガラスを入れます。依頼主の
ご意向を良く聞き、入れ替える範囲を慎重に決定します。

 
 1.下部開き扉の加工


本体から取り外して、開き扉のみ
お預かりし工房に持ち帰ってきました。

 


内側の面板は、外枠に裏から加工
された溝に嵌め込まれています。

 

脱落防止のため、2辺のみ細い
桟が釘打ちされています。


 
打ち付けられている桟の隙間に
マイナスドライバーの先を差し込みます。

 

桟を徐々にこじり開けていきます。
外枠の表面に傷を付けたくありません。

 
 
釘のみの固定で接着剤が使われて
いないので、綺麗に外れてきます。

 

固定用の桟木ひとつも実に
丁寧に部品加工されています。

 
 
他方の桟も取り外します。釘が錆びており
桟を通り抜けて外枠側に残っています。

 

ラジオペンチで引き抜こうとしますが・・、
錆で固着していて抜けて来ません。

 
 
ニッパの顎をてこにしてようやく抜けますが、
桟を取り去っても面板が外れて来ません。

 

外側枠組みの組み立て時に、中に嵌め込まれた
ようです。一部を切断しなければなりません。

 
 
昇降盤で切り込みを入れます。
フェンスの位置を慎重に調整します。

 

嵌め込みのある辺と平行に切り込みを入れていきます。面板は
犠牲になりますが、ガラス板と入れ替えるので止むを得ません。

 

外側枠組を傷付けないないよう、
切り込みの範囲に十分留意します。

 
 
両端の手前まで切り込み
残りは手作業で進めます。

 

久々に両刃鋸の登場です。手作業により
外側枠組の手前ぎりぎりまで切り進めます。

 

数mmを残したところで手前側から
軽く叩くと、残りが折れて面板が外れます。

 

両開き扉の左右とも面板を取り除きました。この開口部に
裏側から同じ大きさの透明ガラス板を嵌め込みます。

 

1辺のみ段付きではなく嵌め込み溝が切ってあるだけです。
ガラス板を入れるには支障があるので段付きに加工します。

 

トリマーにストレートビットを取り付け、切り込み幅を
決めるためガイドとなるフェンスをセットします。

 

径の小さなビットを2往復させて必要な幅を欠き
取ります。手間はかかりますが確実に作業します。

 

切削前に開始点と終了点に鑿で切り
込みを入れておくと、綺麗に仕上がります。

 

また、開始点と終了点はビットの形状に
従い丸く残ります。鑿で修正します。

 

2方向から垂直に鑿を入れ、
さらに底をすくって仕上げます。

 

ガラス板がガタつかないよう、底の
深さが一定であることを確認します。

 

ここでガラス板を切断加工します。
久々の作業で緊張します。

 

開き扉には3mm厚の透明ガラスを使用
します。同色の材料で桟を用意します。

 

桟にガラス釘を打ち付け
ガラスを固定します。

 

外側枠組みの木材と、ガラスが良く似合います。
素敵な食器棚になるような予感がします。

 
 2.引き出しの修理


中段に入れられている引き出しです。
壊れかけているので修理します。

 


以前にご自身で修理されたようです。
折り曲げたT字型金具で補修しています。

 

全体的に接合部が傷んでいます。
底板は溝から脱落して撓んでいます。
 

引き出し面板と側板の接合部は、
接着が失われて完全に離れています。

 

ダボが入れられているにも関わらず、
ここまで壊れてしまった理由が分かりません。

 

ともあれ、一度分解して組み立て
直します。金具を取り除きます。

 

底板は引き出し面板の溝に嵌めてあるだけで接着剤が
使われていません。強度を保つのは難しいでしょう。

 

接着剤を使わず嵌め込みだけで組むのが
セオリーですが。反対側の金具も取り除きます。

 

奥側の接合は蟻組みで、さすがに補修の
必要がないので、このまま組み上げます。

 

接合面にくまなく接着剤を行き渡らせます。
ダボ穴の中にも十分接着剤を入れます。

 

引き出しの面積が広く、柔らかい桐材の側板、薄い
合板製底板なので、底板周りにも接着剤を使います。

 

元通りに嵌め込みます。残っていた古い接着剤が
凹凸を作るので、そのままでは隙間が生じます。

 

クランプをかけ力ずくで
隙間を解消します。

 

旗金を併用することで
ようやく密着しました。

 

はみ出た接着剤を拭き取ります。拭き取らなければならないくらい多めに
接着剤を入れることで、凹凸のある接合面の隅々まで行き渡らせます。

 

ひと晩乾燥を待ち、クランプを外します。
かなりの剛性感が出ているようです。

 

引き出し面板と左側々板の接合部です。
隙間なく強力に接合しています。

 

右側々板との接合部です。こちらも
隙間なく強力に接合しています。

 

引き出し面板の溝にも接着剤を入れたため、底板も
強力に接合しています。押してもほとんど撓みません。

 
 3.仮納品


引き出しと開き扉が完成したところで、いったん納品に
出向きます。ドロップ扉の開口部を確認するついでです。

 


悪くありません。元の全面木材製と比べて
華やかさ、明るさが加わったようです。

 

引き出しも問題ありません。スムーズに開け閉め出来ます。ドロップ扉開口部の
範囲も了解をいただきましたので、工房に戻り残りの作業を進めることにします。

ライティングデスクの改造 その2へ

 

守谷工房の製作品へ                守谷工房Topへ