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ライティングデスクの改造 その2(2017.12.29)


長年愛用されたライティングデスクの改造に取り組んでいます。全面が木製の堅牢な製品で、
上部ドロップ扉と下部開き扉にガラスを入れ、今後は食器用飾り戸棚として利用されたいそう
です。既に開き扉と引き出しの修理を終え、ここまでは納品済みです。残る作業にかかります。


 
 4.ドロップ扉の加工


ガラス板を入れるため開口部を作ります。仮納品に
伺った際に範囲について了解をいただいています。
 


開口部周囲の直線性や内側切断面の仕上りを
考えると、昇降盤で可能な範囲切りたいところです。
 

バンドソーを使えば、表裏で切断位置にずれが
出ませんが、生憎「くり抜く」ことが出来ません。
 

ほどほどのところで止めておきます。
面積で半分以上が開口部となります。
 

縦方向の切断にはスライドソーを使用します。
表裏でのずれに注意ながら慎重に刃を入れます。


限界近くまで切断しました。中の化粧加工
されている部分をほぼ切り離してしまいます。
 

切り残している部分を両刃鋸で切り込みます。
昇降盤やスライドソーに見合うアサリで切ります。
 

内側の化粧彫りされている部分は
板厚が大きくかなり重量があります。
 

つまり、開口部が出来ることでドロップ扉の重量は半分以下に低減する
ことになります。ガラス板を入れても、十分な強度を維持出来そうです。
 

ガラス板を嵌め込むため、周囲に段付き加工を施し
ます。両開き扉と同様にストレートビットで切削します。
 

外側枠組みの幅が狭くフェンスを固定出来ない
ので、トリマーガイドを取り付けて作業します。
 

ビット位置が切り込み方向に制限されないので、トリマーが
暴れないよう十分に注意します。コーナーは丸く残ります。
 

2方向から鑿を使い修正します。
両刃鋸の挽き痕は後で整えます。
 

ガタつきなくガラス板が入るように
全周に渡り段の底を均一に整えます。
 

ここで、開口部の切断面を丁寧にヤスリ掛けして仕上げ
ます。段付き加工後なので切削量が少なくて済みます。
 

切断やヤスリ掛けした結果、当然木材の地肌が露出して
います。開口部周囲の塗装を落とし、一緒に塗り直します。
 

周囲をマスキングし、無難なところでウォルナット
色のオイルステインで濃い目に着色します。
 

段付きの手前まで塗料を入れます。濃淡のムラが出ないよう
留意します。完全に乾燥してから軽くサンドペーパを掛けます。
 

上塗りとしてクリアを吹き付けます。オイルステインが
溶けて流れ出すので、ひと吹き目を1発で決めます。
 

オイルステインの塗膜を完全に仕上げないことで、上塗りクリアの
光沢が抑えられます。半艶消しクリアを使用するほどではありません。
 

マスキングを剥します。着色をもう少し
控えめにしても良かったかも知れません。
 

ガラス板を用意します。重量の増加を
抑えるため、2mm厚ガラスを使用します。
 

枠内に正確に嵌まり込みました。
早く表側から眺めてみたいものです。
 

加工前に取り外してあった丁番です。ガラスが
入ることによりネジ穴1個分が余分になります。
 

開口部の内寸に合わせて
サイズを調整します。
 

ネジ穴1個分のはみ出し部分を
切断砥石で切り取ります。
 

回転砥石の性状のためなのか、切り口はあまり
綺麗とは言えません。こんなものなのでしょうか。
 

サイズの微調整も兼ねて
切断面を仕上げます。
 

先に丁番を取り付けてしまいます。全体重量が
半減しているので、2本の固定ネジで十分です。
 

他方の丁番も同様に取り付けます。
開口部の内側に正確に留まっています。
 

ガラス板を固定する桟を用意します。
外に出る2面を同色で着色します。
 

開口部周囲の内側に桟を嵌め込みます。
旧来の木製家具製作に沿った方法です。
 

10mmのガラス釘を打って
ガラス板を固定します。
 

ガラス釘の頭が目立つので
黒のサインペンで化粧します。
 

マグネットのキャッチ金具を取り付け、
ドロップ扉の加工作業はこれで終了です。

 

簡単に包装し、ご依頼主の元へ
納品・取り付けに出向きます。

 
 5.ドロップ扉の取り付け、完成


先に伺った際に、引き出しと下部
開き扉の取り付けを終えております。

 


加工が終わり運び込んだ上部ドロップ扉です。
これを無事取り付け終わると納品完了です。

 

取り付け作業は簡単なものです。
元のネジ穴に丁番を固定するだけです。

 

上部ドロップ扉にガラスが入りました。
外から程よく内部が見えています。

 

中に収納する食器類が良く映えると思います。ライティングデスクとして
堅牢に作られているので、食器用飾り棚としての耐久性も十分でしょう。

 

このような改造には危険も伴います。完成してみるとイメージが
台無しになることもあるからです。しかし、今回は非常に上手く行き
ました。理由はご依頼主のセンスが優れていたからだと思います。

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