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直列4気筒エンジンディスプレイモデル(2017.11.14)


V8エンジンディスプレイモデル英AIRFIX製ジェットエンジンモデルと前後して、
Smithsonian製4サイクルエンジンモデルを組み立ててみました。Amazon
覗いていると、購入履歴から関連商品が次々と表示されてきます。関心のある
製品(教材関係)を労せずして見つけられるので便利といえば便利ですが・・・。

 

聞きなれた「スミソニアン」、「酢味噌和え」とは無関係で
スペルは「Smithson」+「ian」。製造元を調べてみると、

 

米国スミソニアン博物館のショップに行き当たり
ます。WEBでの販売は終了しているようです。

 

About Usを確認すると、ワシントンDCを中心に19もの
博物館を擁するスミソニアン学術協会が紹介されています。

 

Amazonでは外観がほぼ同じHynes社製モデルも販売されて
います。おそらくスミソニアンにOEM供給しているのでしょう。

 

箱の中からパーツを取り出してみます。日本製品
では考えにくいずいぶん無造作な詰め込み方です。

 

組み立て部位ごとに大まかに袋分けされています。
ジッパー付きのビニル袋なので再利用できそうです。

 


英文の組み立て説明書です。冊子ではなく、大判1枚に細かな文字で
ぎっしり印刷されています。組み立て作業よりも読み取りに苦労しそうです。



ピストン周りのパーツを取り出します。右端は
精密に一体成型されたクランクシャフトです。
 

別のパーツ袋にピストンピンがあります。
同色の樹脂ごとに袋分けされています。
 

見たことのあるパーツです。以前に組み立てた
Hynes社製V8エンジンと全く同じパーツです。

 

Hynes社製モデルがパッケージを変えて
Smithsonianへ供給されているようです。

 

本キットは4気筒エンジンモデルなので
計4組のピストンを組み上げます。

 

V8エンジンでベアリングキャップと呼んでいたパーツ
名が、コネクティングロッドキーパーに変わっています。

 

ピストンのベアリング部を
クランクの溝に嵌め込みます。

 

ベアリングキャップ(コネクティングロッドキーパー)を
2本のビスで固定し、アセンブリを完成させます。

 

ロワークランクケース(ハウジング
下部)にオイルパンを組み付けます。

 

さらにスタンドを組み付けます。スミソニアンモデルでは
スタンド部に乾電池ホルダーを内蔵しないようです。

 

シリンダブロックにクランクシャフト
アセンブリを組み込みます。

 

各シリンダにピストンが入ります。2組ずつ
180度の位相と燃焼サイクルが異なります。

 

ロワークランクケースにシリンダブロックを組み付けます。薄い青色に着色された
半透明の樹脂材を通して、ピストンやクランクシャフトの動きを観察することができます。

 

バルブ周りのパーツです。圧縮荷重数グラム
程度のごく柔らかいスプリングを挿入します。

 

スプリングを介してシリンダヘッドにバルブステムを
通し、シリンダ側に吸排気バルブを取り付けます。

 

4気筒分の吸排気バルブステムが並びました。
ドーム型シリンダヘッドの垂線方向に傾斜します。

 

吸気バルブ(小)、排気バルブ(大)で
異なるバルブ径も再現されています。

 

ロッカーアームをシャフトに差し込みます。
この辺りもV8エンジンと同じパーツです。

 

ロッカーアームアセンブリをアッパーシリンダヘッドに組み
付けます。各気筒吸排気バルブに2個ずつ対応します。

 

ベアリングカバー(実物ではべアリングが組み
込まれるから)を取り付け、シャフトを固定します。

 

5個のベアリングカバーをネジで固定します。V8
エンジンでは同じアセンブリを2セット使用しました。

 

シリンダヘッドを構成するアセンブリです。おそらく4気筒エンジンのモデルが先に開発され、
その後パーツを再利用することでV8エンジンのモデルが開発されたのだと思われます。

 

シリンダブロックとシリンダヘッドの中間にガスケット
(厚紙製)を入れます。なぜか2枚同梱されていました。

 

ガスケットを挟みシリンダヘッドを組み付け
ます。6か所をネジ止めして固定します。

 

カムシャフトを組み立てます。ロッカーアームごとにカムの
位相角が決まっているものの、パーツの判別が困難です。

 

V8エンジンを組み立てた時の経験を
元に、何とか配置を割り出します。
 

シリンダヘッドの中、バルブステムの間を
貫通するようにカムシャフトを取り付けます。

 

ロッカーアームの先端がバルブステムに当たるよう、
アッパーシリンダヘッドを正確に組み合わせます。

 

ロッカーアームによりバルブステムが押し下げられ、
スプリングにより元に戻る動作は実物と同等です。

 

アッパーシリンダヘッドをシリンダヘッドにネジで
固定します。シャフトの細いドライバが必要です。

 

ロッカーアームカバーを取り付けます。
V8エンジンと多少デザインが異なります。

 

ロッカーアームの樹脂材が明るいグレー、シリンダ
周りが薄い青色の半透明樹脂で、内部が良く見えます。

 

ピストンやバルブを駆動する
機構周りを組み立てます。

 

タイミングギヤ(下)をクランクシャフトに、タイミング
ホイール(上)をカムシャフトに差し込みます。

 

ギヤとホイールを同期させるため、このような専用
ツール(アライメントツール)が付属しています。

 

ギヤ・ホイール表面の穴に爪を差し込むことで、
ピストンとカムが互いに正しい位置に調整されます。

 

両者を連結するタイミングベルトを掛けます。同期を維持する
ため、小さなコグドベルト(歯付きベルト)が用意されています。

 

タイミングベルトカバーを取り付けます。ここも
半透明樹脂により内部の動きを観察できます。

 

ウォーターポンプを取り付けます。V8エンジンと
ほぼ同じパーツで、これは飾りに過ぎません。

 

ウォーターポンプを介してファンベルトプーリをネジ止めします。
樹脂の色が違うだけで、V8エンジンと同じパーツです。

 

冷却ファンを取り付けます。V8エンジンと全く
同じパーツです。ネジ2本で固定します。

 

クランクシャフトの先端にプーリを取り付けます。
冷却ファンを駆動する動力を取り出します。

 

ファンベルトプーリとクランクシャフトプーリの
間にゴムベルトを掛けます。かなりきつめです。

 

クランクシャフトの反対側にフライホイールクラッチと呼ぶ
部品を差し込みます。モータの回転を受ける平ギヤです。

 

クランクシャフトを回転させる動力ユニット、V8エンジンと
同じく点火プラグを点灯させるディストリビュータです。

 

ディストリビュータを取り付けます。4気筒分の
点火プラグに対して、配線も4本出ています。

 

ピストンの動作に合わせ点火のタイミングでLEDが
順次光るのは、とても良いアイデアだと思います。

 

モータを内蔵した動力ユニットを取り付けると組み立て完了です。動力ユニットを
目立たなくするため、クラッチコーン(カバー)と称する樹脂製カバーで覆います。

 

完成後に実際に駆動させてみると、減速ギヤから
耳障りな音が聞こえ、モータが途中で停止します。

 

モータシャフトのピニオンギヤが、減速1段目の平ギヤと、
さらに出張って減速2段目の平ギヤにも噛んでいます。

 

ピニオンギヤの長さを切り詰めて、
2段目の平ギヤとの接触を避けます。

 

また、ピニオンギヤの取り付け位置を
出来るだけ奥に押し込みます。

 

減速ギヤとの接触が解消されました。思い起こすと、子供の頃に夢中になった
モータライズされたプラモデルは、このような欠陥だらけでした。自動車や戦車や
ロボットの模型が、説明書通りに動き出すまで色々と工夫・苦労したことを思い出します。

 

最後の完成写真ですが、こちらはHynes社のパッケージで販売されている製品です。
オイルパンの下部、スタンドのデザインが異なっています。スタンドの中にバッテリーを
組み込み、V8エンジンモデル同様に全体がすっきりした印象があります。一部のデザインや
樹脂色を変更し、パッケージも別途用意してSmithsonianに提供しているのだと思います。

 

今回組み立てたSmithsonian版のパッケージ写真です。いくつかのエンジン模型を
組み立ててきましたが、このような純粋にメカニズムを紹介する教材的製品が現存する
ことに少しほっとします。しかし、どれも海外製品であり、技術立国・ものづくり大国である
はずの日本製品は見当たりません。このモデルが対象にしている8歳以上、中でも日本の
8歳以上の子供は、今やゲーム機やスマホに夢中で放そうとしません。その大元は、例えば
エンジンサイクルをCGで説明しようとする大人、それも教育に影響力のある大人たちでしょう。


 

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