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毛玉クリーナーの魔改造(2023.2.14)


自宅にある乾電池式毛玉クリーナーです。電気ケトルで有名な
T-fal社から販売されています。セーターを着ることが多いこの
時期、両袖や腹部など擦れる部分に毛玉が目立ってきます。

 

パンチングメタルの穴に入り込んだ毛玉を、内部で回転する
ステンレスブレードが刈り落とす仕組みです。しかし、実際に
使用してみると、そのどうしようもない非力さに落胆します。

 

内蔵される小型モーターが、ディスクに
取り付けられた3枚のブレードを回転させます。



電源は2本の乾電池による電圧3V、
パワーが期待できるはずはありません。
 

勢いがあるのは最初の数分間だけで、
回転が落ちるともう毛玉など取れません。

 

新品のアルカリ乾電池2本で、セーターを
1枚仕上げられるか・・微妙なところです。

 

乾電池を無駄遣いするだけの残念なT-fal製品を、
劇的に高性能化するべく魔改造に挑みます

 

魔改造と言えばNHKBSプレミアムの魔改造の夜
有名ですが、番組はいったん置いて作業を進めます。

 

乾電池ホルダーの内部に1本、
切り刃の奥に2本固定ネジがあります。

 

白い樹脂製部品は毛玉をボックスに送り込む
ファンです。外さなくてもネジを緩められます。

 

固定ネジ3本を緩めると、ハンドル部の上半分が分離します。
内部に乾電池ホルダーと簡単なスイッチ基板があります。

 

乾電池ホルダーは内外2ピース構造で、
内側の半分はネジで固定されています。

 

ホルダー金具を取り付けるためかも知れ
ませんが、面倒な構造が理解できません。

 

外側のカバーを取り付けた状態で、内部にこれだけの
空間があります。バッテリーを組み込むのに好都合です。

 

もちろんカバーは取り外しできるので
バッテリーを着脱式にすることも可能です。

 

とにかく乾電池ではやってらんないので、充電式バッテリーに
置き換えることにします。ニッケル水素電池では電圧が1.2V
(2本で2.8V)で乾電池よりも低く、1.5Vのリチウムイオン
電池は高額です。これらは単3乾電池と同サイズで、実装が
簡単なのですが。多くのサイズが揃うリチウムポリマー電池を
検討します。電圧3.7Vは乾電池を0.7V上回り、おそらく
組み込まれているモーターの定格を超えるでしょう。しかし、
非力さを打破・解消するため、多少(かなり?)の無理を押し
通します。品揃えの良いAmazonで883048を入手します。

 

883048は厚さ8.8mm、幅30mm、長さ48mmの
意味です。何と乾電池ホルダー内に完璧に収まります。

 

外部からバッテリーを充電するためAmazonで
手に入るこの激安モジュール
を利用します。

 

充放電制御用チップTP4056を搭載したこのモジュールは
倹約DIY氏により使い方が分かりやすく紹介されています。
充電に必要な外部電源には、そこら辺に転がっているUSB
5Vのアダプターを使用でき、負荷を接続した状態でリチウム
イオン電池の充放電を管理できます。Amazonのレビューに
リチウムポリマー電池でも使用できると書き込みがあります。

 

スイッチ基板を通して乾電池からの
電源がモーターへと配線されています。

 

スイッチ基板とモーターの間にスペースが
あり、そこにモジュールが上手く収まります。

 

モジュール上のUSBソケットを
外部に取り出す必要があります。

 

本体前部の化粧グリルの一部を
モジュール幅に合わせて欠き取ります。

 

モジュール基板の短辺端に取り付けられているUSB
ソケット(type-B)が、本体表面に顔を出せそうです。

 

ソケットだけ顔を出せば良いのですが
基板の両肩も出てしまいます。

 

両肩の周囲に回路配線がないことを
確認し、ルーターで削り落とします。

 

このくらい削り取れば化粧グリル
との干渉が避けられるでしょう。

 

本体前面部に当てながら
調整を繰り返します。

 

デザイン的なアクセントを与える
黒色のグリル部品も加工します。

 

USBソケットが顔を出す部分を
幅を合わせて切り欠きます。

 

元の外観を損なわないよう、極力
少ない加工に留めたいものです。

 

グリル部品の切り欠きに
上手くフィットしますが・・

 

ソケット下側に隙間が生じます。
急遽基板の表裏を逆にします。

 

グリル部品とUSBソケットの
高さがほぼ同じで位置が揃います。

 

ハンドル部の上半分を重ねてみると、違和感もなく
USBソケットが顔を出し元から充電ができる仕様
だったようにも見えます。製作所等ではなく工房を
名乗る以上、少しでもこだわりたいと思う部分です。

 

外科手術的な加工を終え、
電気の配線作業に移ります。

 

内蔵されていたスイッチ
基板を再利用します。

 

モーターからの配線の1本をモジュール
基板の出力(OUT-)に接続します。

 

もう1本のモーター配線は、外刃キャップの取り付けに
よりON・OFFされる安全スイッチを経由しています。

 

安全イッチから戻ってくる配線を、
スイッチ基板に接続します。

 

スイッチを経由した配線を、モジュール
基板の出力(OUT+)に接続します。

 

乾電池ホルダーの金具を取り除き、
収めたバッテリーから配線を引き込みます。

 

内側のカバーを元に戻します。
バッテリーが程良く保持されます。

 

バッテリーからの配線を、付いていたコネクタを取り除き、
モジュール基板のバッテリー端子(B+-)に接続します。

 

裏返しにしたモジュール基板を固定します。
難しく考えずに、グルーガンを使います。

 

強度的には十分です。かつ、何か変更したい場合には引き剥がす
ことも可能です。この時点で動作を確認してみます。3Vで回転させて
いたモーターに3.7Vですから回転数もトルクも申し分ありません。
それでも、新品のアルカリ乾電池に代えた時の勢いを少し上回る
くらいでしょうか。新品乾電池が1.6Vくらい、2本で3.2~3.3V
なので、さほど無茶な電圧を加えているわけでもありません。
所詮我が家の持ち物ですから、壊れた時にはそれまでです。

 

ハンドル部の上半分を
元通りに取り付けます。

 

元の外観をほとんど損ねることなく
充電用のUSBソケットが加わります。

 

改造後も乾電池ホルダー部の外側カバーを脱着する
ことができます。配線コネクタを切り落としてしまった
ので、簡単に交換することはできませんが。それに
しても、厚み・幅・高さともぴたりと一致したものです。

 

自宅に持ち帰り奥さんに手渡すと、スイッチを入れた瞬間、
パワーアップした回転に驚きの声を上げていました。充電
できるので電池を変える必要がないと説明すると、もう一度
驚いていました。洗濯後の毛玉だらけのセーターで試すと
それはもう面白いように毛玉が取れ、セーターは新品です。

さて、途中で話を置いておいた「魔改造の夜」ですが、
トースターが食パンを高く跳ばすとか、掃除ロボットに
幅跳びをさせるとか、子犬のおもちゃを爆走させるだの・・、
NHKはいい加減にしてもらいたい。ロボコンの段階で既に
呆れ気味でしたが、この無意味で破滅的で資源を無駄遣い
するだけの愚かな番組にどれだけ価値があるのでしょうか。
価値がないどころかエンジニアの尊厳を貶め、技術教育を
蔑ろにし国民全般の技術的教養を地に落としかねません。
加えて、この最低の番組にのこのこと出演してくる一流の
企業や技術者たちもどうかと思います。最も著しく無駄遣い
されているのは、あなたたちの資源である無二の知恵と経験
です。馬鹿な企画に踊らされていないで、本来の製品開発に
邁進して下さい。でなければ、世の中でこれだけ大勢の人が
困っているんです。保証期間が過ぎただの部品がないだのと
言ってないで、故障した自社製品を修理してあげて下さいよ。


 

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