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単6乾電池ホルダーの製作・模索編(2019.6.14)


UM-6(単6)乾電池をご存知でしょうか。米国の規格AAAAに該当し、日本国内では
製造されていません。その単6乾電池用のホルダーを製作して欲しいというご依頼です。
乾電池自体が製造されていないので、ホルダーを手に入れることは不可能でしょう。

 

用途はこの何ともレトリックな
トランジスタラジオに使用するそうです。

 

ナショナルの製品で、ラジオ
自体は正常に機能します。

 

裏蓋を開けてみます。カバーの
材質にも時代を感じます。



SONY製に比べると部品の
実装密度がそこそこです。
 

左下のこのスペースに
乾電池が収まります。
 

使用されるのはとっくに廃版となったM004P型
乾電池(6V)、ご依頼主が参考に送って下さいました。
 

このサイズに合わせて乾電池
収納部が設計されています。
 

M004Pの代わりに単3を4本このホルダーに
入れて、外付け電源として使用してきたそうです。
 

単6乾電池のサイズを
確認します。長さ42mm、

 

直径7.8mmといったところです。
単4乾電池よりも微妙に小型です。

 

電圧6Vを供給するには4本を
直列にする必要があります。

 

乾電池収納部のサイズも確認します。
幅18mmなので単6を2本収納可能です。

 

長さは45mm近くあるので、ホルダー
金具の分を含めても収まるでしょう。

 

単4乾電池と僅かな違いしかないので
単4用のホルダーを試してみます。

 

嵌め込みが少し緩いだけで、ホルダー
金具はそのまま使用できます。

 

ですが、長さが2mmほど
大きく収納部には余ります。

 

2本を並べた場合、横幅も
かなりオーバーしてしまいます。

 

単4乾電池2本用のホルダーも
同じくらいオーバーします。

 

乾電池ホルダーという簡単な部品ですが、急に厄介な話になってきました。
ゼロから設計・製作する必要があります、「特注・ワンオフ」の仕事です。

 

単6乾電池の実測寸法を元に、4本を
収納する最小限のホルダーを設計します。

 

製作方法は3Dプリンターによる成型です。
元々ご依頼主が検討された方法です。

 

「3Dプリンターがあれば製作できるのではないか」、
そこを理解されているご依頼主の着眼が素晴らしい!

 

ホットエンドが乾電池
ホルダーを出力し始めます。

 

デルタ型は性能が安定しています。
1発目でCAD通りの出力が得られます。

 

手に取って見ると、外側の壁面に
縦方向の欠損があります。

 

ホルダーの大きさを最小限にしようと
壁面の厚さを薄くし過ぎました。

 

スライサーの計算誤差と3Dプリンターの
限界により、壁面が連続しない場合があります。

 

肉厚を僅かに増やして再度出力します。壁面の
欠損は解消され、全体的に綺麗に成型されています。

 

単6乾電池を入れてみます。円筒内部に糸引きが
残っていますが、乾電池の挿入には問題ありません。

 

簡単な部品製作ですがCADの威力を
感じます。乾電池がぴたり収まります。

 

工夫と手間を要するのはここからです。
ホルダーに電極となる金具を取り付けます。

 

0.3mm厚の真鍮板を加工します。
細長く(1.5mm幅)に切り出します。

 

乾電池を直列に接続する金具を
作ります。必要な長さに切断します。
 

両端を折り曲げホルダー
底面の穴に通します。

 

乾電池4本を直列に接続するため、
底面側には2列の金具を取り付けます。
 

内側に飛び出た金具の先を、乾電池に
接触するよう折り曲げておきます。

 

実際に乾電池を入れて2本分の電圧(3V)が出ていることを確認します。底面側に取り付けた
金具は、電極としてうまく機能しているようです。さて、ここまで作業して問題に気付きます
底面ではない側(回路計を当てている側)の電極はどうするのか・・、何とかなるだろうと思い
進めてきましたが、簡単ではありません。電極をどのように固定するか見通しが立ちません。

 

設計を大きく変更します。上下に
分割し、差し込む方式にします。

 

上下それぞれのピースに電極を取り
付け、乾電池を挟み込むようにします。

 

中心を貫通する配線を中央で分離し、
合体時に接触させるようにします。

 

再び3Dプリンターに
データを送ります。

 

以前に駆動部を改良して以来、何とか
実用レベルのクオリティを維持しています。

 

成型が終了しました。CAD内の
イメージが実物となり出現します。

 

内部に細く糸を引いた跡が残っていますが、除去しなくても特に影響はありません。
中心を貫通するポストの強度が少し不安なので、接着剤を浸透させて強化します。

 

上下のピースを合体させてみます。
差し込み部分を噛み合わせます。

 

当たり前ではありますが、上下が完全に
合体・一致して乾電池ホルダーを構成します。

 

単6乾電池を入れてみます。
前作同様にぴったりです。

 

乾電池を入れた状態で
上下ピースを合体させます。

 

単6乾電池4本を完全に保持しています。電極となる金具を
うまく取り付けることができれば、ホルダーとして完成します。

 

前作同様に真鍮板から
金具を製作します。

 

細長く切り出した真鍮板を
「コ」の字型に折り曲げます。

 

底面側のピースに
差し込みます。

 

底面側は2列2本の乾電池を
いずれも直列に接続します。

 

差し込んだ金具を2本とも
ホルダー本体に密着させます。

 

ホルダー内側に突き出た
部分を折り曲げます。

 

反対側ピースは1列だけ取り付けます。
瞬間接着剤で金具をホルダーに固定します。

 

上下ピース間で中心を貫通
する配線を用意します。

 

端を鍵型に折り曲げた金具を
中心の穴に差し込みます。

 

底面側に接続する電極
位置(穴)に通します。

 

ポストを出たところで金具の先を折り曲げます。底部側も
同様に加工することで、合体時に互いに接触するはずです。

 

と、ここまで作業したところで再び設計変更です。
両端の電極の取り付け方を変えた方が良さそうです。

 

ホルダーの構造はそのままなので、
何度でも3Dプリンターを動かします。

 

CADデータができてしまえば
何度出力しようが苦になりません。

 

電極金具の取り付け方を変えるとは、「コ」の字
型金具をホルダーの内側から差し込むことです。

 

内側に突き出た分を折り曲げるよりも
乾電池との接触範囲を大きく取れそうです。

 

乾電池の+側電極も-側も、
より確実に接触するはずです。

 

乾電池を入れてみます。
装着感は前作と変わりません。

 

前作とは逆に、ホルダー外側に
突き出た部分を折り曲げます。

 

上下ピースとも直列用の
金具を取り付けました。

 

再び中心を貫通する
金具を取り付けます。

 

細長く切り出した真鍮板の
先を「鍵型」に折り曲げます。

 

底面側に接続する電極位置(穴)に通します。
作業にやや「うんざり感」が漂ってきます。

 

中心を貫通しポストを出たところで
金具を内側に折り曲げます。

 

うんざり感に加えて、反対側の金具と
うまく「接触するだろうか感」も漂います。

 

ラジオ側のホルダー金具と接触させる構造も
考えなければなりませんが、ここで一息入れて・・

 

ホルダーの強度向上も兼ねて、外側のみ塗装することにします。
3Dプリンターの積層痕を埋めるようにプラサフを数回吹き付けます。

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