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バスルームドアの補修(2015.06.12)
 

平成元年完成、築27年になる戸建家屋、バスルーム内の設備も劣化が進んでいます。
水回り設備はカビが発生しがちで、特に汚損が目立ちます。
バスルームのドアにはカビが繰り返し発生し汚れが重なってこびり付くので、掃除の効果も低く外観の印象を悪くしています。

ガラス(ポリカーボネート)を固定しているポリ塩化ビニル製のビート(パッキン)は、カビに浸食された状態で汚れると、
洗剤等で除去するのは非常に難しくなります。

TOSTEM社のバスルームドアに適合するビートを手に入れ、全てのビートを新しくすることで一挙に清潔感を取り戻します。
ドア自体の機能に何ら問題はありませんので、バスルーム自体のリニューアルには及びません。

 
 現状の確認

30年近い使用によって、フレームやビートの
隙間に奥深く汚れが入り込んでいます。
 

ポリ塩化ビニル製のビートが、経年変化に
よって硬化・収縮し隙間が空いています。
 

ビートの間に入り込んだ汚れは反対側
からガラス越し見ると余計に目立ちます。
 

隙間に入り込んだ汚れにはスポンジや
ブラシの毛先が届きません。
 
 ビートのサイズを調べる

ガラスを固定しているゴム状のパッキン(ビート)は、
全て新しいものに交換したいところです。
 

メーカーからは補修部品が販売・提供されていない
ので、同等品を探さなくてはなりません。
 

カッターで両面から切り込みを入れ、ビートの
一部を取り出して正確な寸法を調べます。
 

万一、同等品がない場合はここで作業を諦めます。
幸い「YKKAP窓サッシ部材K-6426」が該当します。
 
 ドアストッパー取り外し

ドアは片側だけスライドしないようストッパーで固定されて
います。その結果、定位置で回転することができます。
 

ストッパーの内側にはネジを受ける
金具が挿入されています。
 

下側も同様にネジを緩めてドア
ストッパーを取り外します。
 

高耐久性の樹脂製部品も、経年変化によって汚れが
こびり付き部分的に表面の浸食が進んでいます。
 
 ドアを取り外す

ドアストッパーが外れると、ドアを左右に
自由にスライドさせることができます。
 

先に、中央部分で折り畳んでおいて、

 

折り畳んだまま斜めに傾けると
簡単に外れてきます。
 

横に寝かせた状態で作業します。
作業性を考え十分なスペースを取ります。
 
 スライダーとスリーブを引き抜く

樹脂製の戸車が内蔵されたスライダーを引き抜きます。
軽く押し込まれているだけなので簡単に抜けます。
 

次にスライダーを受けるスリーブを引き抜きます。
かなりきつめに押し込まれ、経年で固着しています。
 

隙間にドライバの先を入れて抉り、さらに
ラジオペンチで力を入れて引き抜きます。
 

ドア上側のスリーブが外れました。

 

続けてドア下側のスライダーとスリーブを引き抜きます。
上側よりもさらに汚れや固着が進んでいます。
 

スリーブをかなり傷付けてしまいましたが、
丈夫な部品なので再利用可能です。
 
 ドアフレームの取り外し
 
ガラスを引き抜くため、縦方向のドアフレームを
片側(左端と右端)だけ取り外します。
 

上・中・下の3か所でねじ止めされています。
中間のネジ穴にはキャップが被されています。
 
 
先にキャップを取り、失くさない
ように保管しておきます。
 

3本ともネジを緩めます。

 

ドアフレームを外します。経年によりあちこち固着
しているので、全体にまんべんなく力を入れます。
 

一方の縦方向フレームが外れました。軽合金(アルミ)の
薄板製ですが、強い構造に組み立てられています。
 
 ドアガラス(PCB製)を引き抜く

フレームを外すとビートの内側が露わになります。
ブラシが届かないためこの通りカビが密集しています。
 

ガラスを引き抜いていきます。PCB(ポリカーボ
ネート樹脂)製なので割れる心配はありません。
 

下側ガラスの下部に特に汚れが集中して
います。水滴が長時間滞るためです。
 

ガラスから古いビートを取り外します。

 

ガラスの周辺部にも汚れが
こびり付いています。
 

ここでドアの引手を外しておきます。

 

中央部分と横方向のフレームが残ります。
これ以上の分解は必要ありません。
 

ガラスの四隅部分ではビートに
切り込みが入れられています。
 
 ドアガラス(PCB製)のクリーニング

ガラスをクリーニングします。紋様入りの不透明
ガラスなので、躊躇なくクレンザーを使用します。
 

水道水に含まれるカルキが凝集している
場合は、スクレーパなどでこそぎ落とします。
 

汚れが落ちて綺麗になった状態です。

 

クリーニング前(左)と後(右)です。

 
 ドアフレームのクリーニング

ドアフレームも洗剤を使用して汚れを落とします。
傷が付いたり塗装が剥げないよう注意します。
 

ガラスが嵌る溝の内側は古い歯ブラシ
などを使って汚れを落とします。
 

隅々まで丁寧に汚れを落とします。

 

ドア下部のスリット板も分解して
1枚ずつ両面から汚れを落とします。
 
 ビート(ガラスパッキン)の交換

交換用のビートはYKKAPから同等品が
販売されています。約10m使用します。
 

四隅の部分に多少余裕を持たせて
切り込みを入れておきます。
 

ガラスの周囲3辺にビートを取り付けます。
ビートの溝でガラスを挟み込みます。
 

ビートを取り付けたガラスを
ドアフレームに嵌め込みます。
 

ガラスの左右端に均等に力を加えて
少しずつ嵌め込んでいきます。
 

上下左右とも完全に嵌りました。

 

下側のガラスはまだスリットを入れていないので
2辺のみビートを取り付けて嵌め込みます。
 

上下ともガラスを嵌め込んだら
残る1辺にもビートをかけます。
 

四隅部分の切り込みです。

 

ガラスを1周したビートの端を
長さを揃えて切り落とします。
 
 ドアフレームの組み付け

取り外しておいた外側(左右端)の
フレームを元通りに組み付けます。
 

先にドアの上側を位置を合わせて嵌め込みます。
ビートを噛み込まないように注意が必要です。
 

続いてドアの中央部をフレームに
位置を合わせて嵌め込みます。
 

ビートを噛み込んでいないか確認します。

 

ドア下部のスリット部分を組み付けます。4枚の
スリットを同時に嵌め込まねばなりません。
 

何度か失敗を繰り返して何とか
嵌め込みに成功しました。
 

外しておいたネジを元通りに締め
付けてフレームを固定します。
 

浮き上がっているビートをドライバの先などで
押さえつけてフレームに密着させます。
 
 作業終了

ほぼ作業が終了しました。最後に
ドアを元の位置に取り付けます。
 

カビや汚れが完全に落ちてほぼ
新品状態、清潔感が漂います。
 
   
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