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ラジオCD・MD・カセットプレーヤ(大型ラジカセ)の修理(2015.05)
 

小型のラジオカセットプレーヤと一緒にもう1台大型プレーヤの修理を依頼されました。
CD・MDのデジタル系ピックアップに故障があると、メーカーでもほとんど修理不能です(代替パーツがあれば交換)。
幸いそれらには問題がなく、カセットテープトレイのカバーがきちんと閉まらないというトラブルでした。
簡単な調整で済むだろうと作業を始めてみると、予想だにしない何とも情けない事態に発展。

 
製品の確認
    
ジョグダイヤルの操作性で人気のあったシャープ社製MD-F250-P、大型の部類に入る重厚な設計のプレーヤです。
取扱い説明書がまだネット上にあります。http://www.sharp.co.jp/support/audio/doc/mdf250_mn.pdf
カセットテープトレイのカバーが完全に閉まらず、写真のように少し隙間が空いた状態で動かなくなってしまったそうです。
テープの再生ができません。
 
  
最外殻部のトレーカバーの不具合とはいえ、いったん本体を分解して内側からアクセスする必要があります。他社製品と
同様に、カバーを外すために必要なネジ(元は組み立てるときに締めるネジ)には矢印マークが付いいます。
 
裏カバーの取り外し・・が、
 
早速ネジを緩めるべくプラスドライバを差し込みます。ところが、工房で一番シャフトの長いドライバを使用しているにも
かかわらず穴が深くてネジの頭までドライバーが届きません。マイナスドライバならば届く長さのものがありますが、
使用されているネジはマイナス溝兼用タイプではありませんでした。
 
 
シャフトの長いドライバなしでは最低限の分解もできないわけです。情けないながらも止むを得ずドライバを調達する
ことに。ホームセンターで250mm#2(写真)のドライバを手に入れてきました(400円、安い?)。結果は楽勝。
 
内部へのアクセス
 
裏カバーというよりも表側パネルが外れていく設計です。ラジカセはとうに進化し切った製品で、実に合理的で無駄の
ない内部構造と各部へのアクセスのし易さが分かります。スピーカ後部のマグネットがいかにも強力そう。
 
 
前面パネルが外れると、パネルに抑えられていた爪が解放されることで上部パネルが取り外し可能になります。
CDトレイ・カセットトレイの内側に3本、後部に3本の計6本のネジを緩めると上部パネルがあっけなく外れます。
 
不具合原因の判明・修理
 
カセットトレイのカバーの根元を注意深く観察します。間もなく不具合の原因が見つかりました。カバーの開閉軸が
「軸受穴からずれて飛び出して」います。カバーの開閉時に力を入れすぎたか何かを挟み込んだかしたのでしょう。
カバーを持ち上げるスプリングも所定の位置からずれています。
 
 
修理は簡単です。開閉軸を軸受穴に元通り戻してやるだけです。スプリングも正しい位置にセットして、カバーが
スムーズに持ち上がるか確認します。
 
クリーニング
 
折角内部のメカ部を露出させたので、この際クリーニングを施しておきます。刷毛で塵や埃を掃き出し、エアを吹き付け
ます。再度ロングシャフトに登場してもらい、全体を元通りに組み直します。
 
修理完了
 
スムーズにカバーが開閉し本来の位置に閉まります。CD・カセットテープいずれも快調に動作し、ソースを再生します。
大型ラジカセにはパワフルなスピーカが採用されているので、さすがに重厚で表情豊かな再生音が流れ出てきます。
 
 
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