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水素水生成器の修理(2015.11.24)

シルバー精工社製「ミネラル還元水素水生成器(SWM510)」の修理依頼をいただきました。
水素水の効果について色々と議論された後、会社は2011年に倒産しています。
 

段ボール箱に梱包されて送られてきました。
説明書等は一切(ネット上にも)ありません。
 


水を処理するポット部、電解生成電源部、
電源アダプターで構成されています。
 

水道水を処理して還元水素水を生成するポット部。
約1L水が入り底部に電極が取り付けられています。
 


電解生成用の電流を作り出す電源部。
ポット部の電極に電流を送る端子が見えます。
 

「ENERGY HYDROGEN」活性水素を
生成するという意味でしょうか。
 


電源部の底面に製造シールが残っていました。
会社は既に倒産しており修理の当てがありません。
 

ポット部の底面にも3本の端子があり、電源部の端子と
接触します。2個の黒い部品はマグネットでしょう。
 


端子の近くにホール素子が内蔵されていて
ポット部がセットされていることを検知します。
 

電気分解により常時水素と酸素が発生し、
水道水のカルキがびっしり付着しています。
 


カバーの奥に電気分解用電極が3枚見えます。
中央の1枚にカルキが分厚く積もっています。
 

基本的な確認から始めます。まずAC
アダプターの状態を確かめます。
 


アダプタ表面に出力電圧15Vとあるところ
無負荷で20Vほどです。問題ありません。
 

電源を入れてもLEDが点灯しないとのことです。
ポット部よりも先に電源部の点検にかかります。
 


ケース裏蓋を開けた瞬間一目瞭然です。
電子回路基板に腐食が広がっています。
 

基板の裏側です。左上部と右下部、さらに中央部にも腐食が見られます。
特に左上部の損傷が深刻です。ここは回路全体の電源供給部のようです。
 


表側(部品取り付け側)も見てみます。
裏側ほど酷くはありませんが・・・
 

一部表側にも腐食が広がっています。両面配線
基板なので、部品の取付穴はスルーホールです。
 

外から眺めるだけでは腐食の進行具合は分かり
ません。ワイヤブラシを使って酸化物を落します。
 

電源供給部の状態です。赤錆色が見えるので、パーツの
リード線やランドに腐食が及んでいる可能性があります。
 

ワイヤブラシで腐食によってできた表面の
酸化物をできるだけ取り除きます。
 

酸化物の下に残っていた半田や
ランドの一部が見えてきました。
 

腐食によりあちこちで半田やパーツのリードが失われて、ソリッドステートの意味が
なくなっています。普通ならば完全にお手上げの状態ですが、「何とか」します。
 

劣悪な環境下に置かれ、コーティング等の処理もない
ため、非耐蝕性の半田では簡単に腐食が進みます。
 

半田をボロボロにしながら腐食が進み、ついに
パーツのリード線や基板のランドにも及びます。
 

ワイヤブラシをかけた後、半田ごてを使って
残っている半田を溶かして除去します。
 

パーツのリード線やランドにも腐食が進んでいる場合、
新しい半田がのるようにその表面を研磨します。
 

リード線が失われている場合は新しい部品に交換し、ランドが欠損している場合は、
ジャンパ線で配線を補います。接続が怪しい箇所全てについて作業を繰り返します。
 

電源供給部周辺をほぼ復旧させました。ランドに腐食が
広がりレジストが浮き上がって一部剥がれ始めています。
 

作業の途中でACアダプタソケットすぐ横の
マイラコンデンサが脱落してしまいました。
 

腐食により片側のリード線がなくなっています。
同等部品(104)を補うことにします。
 

幸いなことにストックの中に同等の
マイラコン(104)がありました。
 

この青色LEDのリード線も片方がほとんどなくなっていました。最後にLEDの
根元部分を引き出して半田付けし直したところ、ついに回路が復活しました。
 

もうひとつの難題は、本体各所にこびり付いた
カルキを取り除くことです。洗剤では除去不能です。
 

カルキの沈着と同時にカビを取り込み、黒い汚れとなって
残っています。スクレーパ等でこそぎ落とすしかありません。
 

ハンドルと本体の差し込み部内部にも汚れが
侵入しています。外して完全に洗い落とします。
 

電源部のカルキは少な目ですが、塗装表面の汚れと
劣化が進んでいます。できれば再塗装したいのですが・・
 

ネームプレートや説明書きのマスキングが
大変なので、普通に洗剤でクリーニングします。
 

塗装の傷みがあるので綺麗にはなりませんが、
煤けたような汚れが落ちて清潔感が出ました。
 

ポット部の電極をメンテします。陰極側(中央)に大量の
カルキが付着しており、電解を低下させかねません。
 

洗剤等で除去できるものではなく、ドライバの
先などを使って根気よくこそぎ落していきます。
 

3枚ある電極をクリーニングし終わりました。中央の1枚(陰極側)はカルキが
落ちて金属面が露出しました。電気分解の能力が大幅に復活するはずです。
 

クリーニングを終えた電源部裏蓋に
パーツを組み付けて行きます。
 

電極へつながる端子、ポット部検出用ホール素子
からの配線をコネクタを介して基板に接続します。
 

タクトスイッチの接触位置を確認しながら
回路基板を電源部内に組み入れます。
 

回路基板に腐食防止レジスト処理を施すべきでしょうが、
いずれその下から再度腐食が進むのでこのままにします。

 

4本のタッピングネジを締め付けて電源部
(ポット部を載せる台)の組み立て完了です。
 

ポット部と電源部を合体させてみます。

 

カビ混じりのカルキ汚れが落ちて
全体がすっきり綺麗になりました。
 

ポット部の注ぎ口周りも完全に汚れが
落ちて清潔感が漂っています。
 

いかに綺麗にクリーニングされようとも、電気分解によって水素水が生成
されなければ意味がありません。写真はスイッチOFF状態の電極周りです。
 

スイッチONにすると中央の電極(陰極)から無数の泡(水素)が
出てきます。ほとんど絶望視していた故障品が復活を遂げました。
 
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