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ご婦人用バッグ修繕(2017.1.16)

ご婦人用バッグ(ショルダーバッグでしょうか?)修繕のご依頼です。多目的に
利用できそうな素敵なバッグです。工房はこれまで皮革製品を扱ったことは
ございませんが、ダメモトを了解いただいた上でお預かりしてきました。
 

バッグ開口部の周囲に巡らされて
いる紐状の縁取りが切れています。


元々は部品の段階で外皮の縁に
沿って、縫い込まれていたようです。
 

損傷の及んでいない反対側を確認します。縁取りの
ある2枚の皮革が綺麗に縫い合わされています。
 

切れてしまったのはバッグ内側の
皮革に取り付けられていたものです。
 

縫製により本格的に修繕するには、経験も技術も
道具も不十分です。接着により修復するしかありません。
 

接着には接着面を整えておく必要があります。
ほつれて残っている糸を丁寧に取り除きます。
 

この程度に整えておけば、十分な接着面が確保できるでしょう。問題は接着剤の選定と作業
方法です。皮革に順じた柔軟性を考慮すれば、合成ゴム系の接着剤を使用したいところです
 

しかし、接着面が線状で面積が確保できず、接着
強度が十分出ないでしょう。瞬間接着剤を選びます。
 

多少柔軟性を欠いても「取れない」ことを
重視します。この極細ノズルが役に立ちます。
 

いきなり部品を貼り合わせるのは無謀です。
先に端面に接着剤を塗布し下地を作ります。
 

下地を作りながら、破れて乱れて
いた皮革の端面を修復します。
 

外側・内側皮革を端面に沿って接着することで、
今後損傷が進行することが防止されるはずです。
 

離れてしまった紐を接着します。まず、中間の
数か所を位置を決定しながら仮止めにします。
 

予め同じ瞬間接着剤による下地が出来ているので、正に瞬間で接合力が生じます。ここで極細
ノズルを使用します。仮止め箇所の間で、紐を押さえながら隙間に接着剤を均一に流し込みます。
 

紐が撓まず突っ張らず、程良く均一に
接着されるよう、少しずつ丁寧に進めます。
 

瞬間接着剤は余分がはみ出て固化すると、光沢を
放ちます。しっとりした皮革の印象を損ないかねません。
 

逆に接着剤が不足すると接着強度が出ません。
美観を損ねないように注意深く修正を加えます。
 

ひと通り接着を終えました。紐が切れて
いたり隙間が見える部分はありません。
 

難を言えば、やはり瞬間接着剤を使用したため、開口部の柔軟性
(しなやかさ)が修繕していない側に比べて若干失われています。
 

見た目には修繕していない側とほとんど区別が付きません。
ご依頼者に見ていただいて納得されるかご判断を待ちます。

 
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