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東芝製TY-CDS3サクッと修理(2017.6.20)

愛らしいラウンドシェイプ(丸胴型)のCDラジオカセット修理のご依頼です。年配の
方々のご家庭には、かつての「ラジカセ」が相当数眠っているようです。その多くが
どこか故障していて、使えないけれど捨てることもできない状態・・です。守谷工房で
直らなければ粗大ごみ、直れば再び懐かしいテープを楽しんでもらうことができます。

 

CD再生機能がまだメジャーだった頃、CDの
円盤形をベースに全体がデザインされています。



型番を確認します。経営再建に必死の東芝製、
既に音響関係の製品から撤退しています。

 

2007年発売の「TY-CDS3」、東芝のWEBに記載は
なく、発売時に取り上げられた記事があるのみです。
 

取扱説明書は現在もダウンロード可能です。発売後10年が
経過し、東芝に限らず修理対応期間は終了しています。

CDドライブ(光学ピックアップ)が機能するか心配
です。案の定、エラーが表示されて再生されません。

 

ピックアップレンズのクリーニングで復活してくれると
幸いです。レザーの出力調整は極力避けたいものです。

 

ピックアップレンズをクリーニングしようと不用意にレンズ支持部を動かすと、
ピックアップ保持機構のバランスを完全に崩し、修復不能状態になりかねません。
柔らかいフェルト状のブラシに専用のクリーニング液を付けて、丹念に拭きます。



運良くCD再生は復活しました。CD-R等も問題なく
再生できます。続いてカセット再生機能に移ります。

 

ミュージックテープをセットし、
再生機能を確認していきます。

 

音がややふらつくものの何とか再生できます。
が、早送りと巻き戻しが正常に機能しません。

 

早送り・巻き戻しともに巻き取り速度が極端に遅く
なります。デッキのメカニズムに問題があるようです。

 

ネジを緩め底部カバーから外します。意匠を凝らした
デザインほど複雑な組み付け構造を伴いがちです。

 

底部カバーの内部に電源周りの部品がまとめて取り
付けられています。コネクタでケーブルが脱着できます。

 

内部に大量のごみ・埃が溜まって
います。修理前に掃除しておきます。

 

メイン基板から出る音量調節用の可変抵抗、ラジオの
チューニング用バリコン、いずれもツマミを取り外します。

 

メイン基盤を取り外すため固定ネジを緩めます。が、
直後に緩めずともデッキにアクセスできることが判明。

 

CDドライブとメイン基板を含む上部カバー、カセット
デッキとスピーカーを含む前面パネルに分離します。

 

両者は互いに嵌め込まれているだけです。ケーブルも
全てコネクタ接続なので簡単に切り離すことができます。

 

カセットデッキ部を固定しているネジを緩め
ます。ここまで来れれば後は何とかなります。

 

デッキ部分を持ち上げてみます。表裏両面から点検
できるので、原因が見つかるのは時間の問題です。

 

押しボタン直下の本体カバー内部です。夥しい
埃が入り込んでいます。掃除機で吸い取ります。

 

デッキを動作させるのに必要なケーブルのみを接続し、裸の状態で駆動系を
動作させてみます。キャプスタン軸(写真手前の大径プーリ)は問題なく
回転していますが、真上に見えるリール駆動軸がほとんど回っていません。

 

キャプスタン軸経由でリール軸に回転を
伝達するゴムベルトが劣化しています。

 

非オートリバースデッキなので、駆動機構が
単純で使われているベルトも2本のみです。
 

先にモーターとキャプスタン軸を連結するベルトを
外しておき、その下から劣化したベルトを取り出します。

 

工房在庫のベルトと照らし合わせます。幸い
丁度良いサイズのものが見つかりました。

 

僅かにきつめのベルトですが、いずれ多少は伸びてくるのでこのままで
問題ないと思います。再生音も正常です。当初のふらつきも解消しています。

 

元通りに組み上げて修理完了です。ハイレゾ音源の普及が進みつつある中、何とも
手軽な(気軽ではなく)再生音で聴き疲れしません。手放せない理由が分かります。


 
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