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超音波洗浄器修理その1(2016.4.1)

以前に卓上ボール盤を頂戴した井出電機製作所様から、製作所内で部品の洗浄に
使用されている超音波洗浄器修理のご依頼がありました。低出力の家庭用機器
ですが、部品に付着した油脂を取り除くには十分機能してきたようです。故障状況は
前面パネルに組み込まれているスイッチを操作しても動作しないとのことです。

 

酸性の薬液が付着して樹脂が浸食され
本体は褐色の汚れが広がっています。
 


CITIZEN製SW5800、現行の製品です。
通販価格は4000円を下回っています。
 

本体の分解に取りかかります。ACコード
取り出し口の留め具を外します。
 

留め具の中で、ACコードが突起を
ひと回りしてから引き出されています。
 

ゴム足の中に本体の固定ネジが
隠れています。ゴム足を取ります。
 


ゴム足の位置でステーが延びています。
ドライバーを入れて固定ネジを緩めます。
 

薬品やスラッジの影響で本体底部分と上蓋が
固着しています。ドライバーを入れて抉ります。
 

底部分が外れ内部の回路基板が露出しました。
ACコードと前面パネルへの配線が残ります。
 

本体内部に組み込まれている回路基板です。高圧を発生するダイオードによる倍電圧回路、
超音波周波を発振するドライバーとコイル類、リレーの制御回路などで構成されています。
 


本体内部の環境が悪いせいでしょうか、
基板の留めネジに腐食が生じています。
 


リレーの制御回路辺りで基板が変色しています。
リレーを駆動するためかなり電流が流れるためです。
 

留めネジを全て緩め、回路基板を取り外します。
基板に接続されるコネクタは予め抜いてあります。
 


基板を取り外してみると、樹脂製内側ケースの底に
焦げ痕があり、ケースにはクラックが入っています。
 

基板を裏返してみると、ケース焦げ痕の
真下位置に同じような焦げ痕があります。
 


煤を取り除くと、隣り合った配線パターン間で
短絡があったようで、銅箔が焼損しています。
 

この辺りは振動子に送り込む高圧高周波を作り出す部分で、パターン間には1000V以上の
電位差があります。洗浄液が本体内部に侵入し、ケース底のクラックから基板上に滴下して
高圧部の短絡・焼損を招いたようです。パターンが欠損した部分はリード線を補って修復します。
 

AC電源用コネクタの脇にヒューズが
入っています。導通を確認すると・・、
 

回路形の針が振れません。ヒューズが切れています。
高圧部分の短絡により過大電流が流れたのでしょうか。
 

切れているヒューズを取り外しました。
基板上に「FUSE1A」の表示があります。
 

カバー(絶縁用チューブ)を切り取ると
リード付きの1Aヒューズのようです。
 

工房に1Aヒューズの在庫がありました
けれど、リード付きではありません。
 

単芯コードの芯線を加工して
リードの代わりにします。
 

切れたヒューズの交換を終えました。洗浄液が侵入した以上、基板上の全ての電子部品と
半田付け箇所を点検します。半田やパターンに腐食が見られる部分は半田付けし直します。
 

本体内側ケースと上蓋の接合ネジを緩めます。洗浄液の
侵入を防止するため10本もの小ネジが打たれています。
 

内側ケースと上蓋の間には、洗浄液の進入を防ぐ
シールとしてゴム製パッキンが入れられています。
 

白色の柔らかいシリコンゴム製です。耐候性に富んでいる
ものと思われますが、この通り5cmほど破れています。
 

ここから洗浄液が侵入したようです。分解時に
回路基板の表面に水滴が残ってました。
 

新品が4000円以下で購入できるので補修パーツなど
取り寄せるわけにはいきません。近所のHCを調べると、
 
 
断面がU字型の幅5mmほどの
ゴム製ストリップが見つかりました。
 

ステンレス製洗浄容器の縁周りに密着します。普通の
合成ゴム製なので耐候性やシール性は期待できません。
 

一端をクリップで固定し洗浄
容器の全周に回します。
 

丁度良い長さでカットします。接合時に隙間を作らない
ようにするため、断面をできるだけ直角に切ります。
 

端面を密着させた状態で
瞬間接着剤で接合します。
 

パッキンの交換を終えました。上蓋を均等に隙間なく組み付ける
ことができれば、今後洗浄液の著しい侵入は起こらないと思います。
 

汚れが付着した本体のクリーニングにかかります。
普通の樹脂(ABS?)製なので家庭用洗剤を使います。
 

操作パネルの内部に水が入ら
ないようテープで養生します。
 

家庭用洗剤ではまるで歯が立ちません。汚れは樹脂の
内部まで浸潤しています。削り落とすしかありません。
 

操作パネルの表面を傷付けないよう
マスキングテープで丁寧に養生します。
 

サンドペーパーの粒度を徐々に変えながら
汚れを削り落とし、続けて傷を落とします。
 

最後に樹脂用専用コンパウンドで
丁寧に研磨して光沢を出します。
 

上蓋窓に嵌め込まれている透明アクリル材も
染みのような汚れが広がっています。
 

有機溶剤が付着したのか、染みは表面に付着して
いるのではなくアクリル材内部に浸潤しています。
 

浸潤した深さまで削り落とすしかありません。
染みが消えたところで傷落としに移ります。
 

1000番の耐水ペーパーと樹脂専用コンパウンドではこの程度の仕上がりが
(時間的にも)限界です。完全透明には及びませんがかなりマシでしょう。
 

ゴム製パッキンの嵌め込みを確認しながら
内側ケースと上蓋を慎重に組み上げます。
 

ステンレス製容器と上蓋にゴム製
パッキンが上手く密着しています。
 

回路基板の取り付け位置に少しでも余裕を
持たせるため、ワッシャの位置を変更します。
 

回路基板を元通りに取り付け、超音波
振動子の配線コネクタを差し込みます。
 

内部を引き回す配線は、適宜
タイラップで固定します。
 

電源プラグを差し込み通電してみます。LEDが点灯し
「ON」を押すとステンレス容器の底から振動音が聞こえます
 

作業が終了しました。クリーニング前と後を比べて下さい(画面をクリックすると
クリーニング前にジャンプします)。早速、井出電機様に納品に伺います。

 
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