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全自動洗濯機の不具合(2016.10.25)

特養老人ホームから全自動洗濯機に不具合があるとの連絡をいただき
ました。先だって修理を終えた衣類乾燥機とセットになっている1台です。
静かさが売りの機種にもかかわらず、脱水中の騒音が大きく、途中で
停止することがあるそうです。今回は現場での原因究明と修理作業です。
 

HITACHI製NW-8SY。2013年秋に発売、既に
生産終了していますがまだ店頭に在庫があります。


ネット上には現在も、取り扱い
説明書のPDFファイルがあります。
 

シャワー浸透洗浄、簡易風乾燥、カビ取りなど
機能が多く、作業前に取扱説明書を一読します。
 

付属DVDの中に、洗濯中や脱水中に出る(正常な)
音が収録されており、静かさを強調しています。
 

脱水運転で内側ドラムを回転させると、確かに
底の方からタッタッタッタとけたたましい音がします。


洗濯機を広い場所に引き出し、
背面のカバーを開けて点検します。
 

駆動モーターや回転ドラムのシャフトにアクセスするには、
本体を横倒しにして、底面から覗き込まなければなりません。
 


使用年数が浅いせいか内部はかなり綺麗です。
以前にモーターに不具合があり交換されたそうです。
 

騒音に関係するか分かりませんが、モーターと
ドラムにかかるベルトにずい分遊びがあります。
 

背面側から見えるこの赤い円形パーツは、
工程に従って一定角度回転するカムです。
 

カムの先に取り付けられているレバーのような
金属製パーツが、カムの位置により下がったり・・
 

カムに押されて持ち上がったりします。この時、騒音はピタリと
止みます!
 レバーの機能を割り出すためさらに分解します。
 

レバーの先はL字型に2回折れ曲がって、
ドラム回転用のプーリの奥(上)に届いています。
 

ドラム回転時の騒音はプーリの奥、
レバーが届いている辺りから聞こえます。
 

レバーの組み付け状態を確認するため、
駆動ベルトを外し従動側プーリも抜き取ります。
 

本体を横倒しにして底側から作業して
いますが、姿勢的にかなり辛い作業です。
 

ベルトとプーリが外れ、レバーの取り
付け具合が見えるようになりました。
 

赤いカム側でレバーが下がると反対側は持ち上がり、
駆動シャフトの根元にある緑色のパーツに接触します。
 

カム側が持ち上がると反対側は下がり、
接触が解除されます。これはブレーキです。
 

レバーを取り出してみると、カムによって上下される
接点にはこの樹脂製パーツが使用されています。
 

騒音はカム側でレバーが完全に持ち上がらないことで
発生します。ブレーキが十分解除されていないのです。
 

その根本原因は、カムと接触する樹脂パーツの先端が
摩耗したことです。レバーの動作位置を変化させています。
 

パーツ交換が最適ですが、最初の解決方法
として突起を多少高くすることを考えました。
 

樹脂パーツの根元にスペーサ代わりに
ワッシャを入れて高さを稼ごうとしました。
 

ワッシャを固定した瞬間接着剤は敢え無く取れてしまいました。
次に考えたのは、ペンチでレバーに力を加えて僅かにL字の角度を
小さくする方法です。先端の摩耗分を元に戻したことになります。
 

屈んだ姿勢での作業が限界に近づいています。
レバーを元通り組み付けプーリやベルトを戻します。
 

以前にモーターを交換された際、ベルトの張りが不十分
だったようです。適正に調整してボルトを締めます。
 

脱水運転を行っても騒音はしません。この機種の売りの通り、非常に静かな運転音です。
途中で停止してしまうのは足が1個接地しておらず、しかも水平からかなり傾いていたため
でしょう。足の下にスペーサーを入れて適切に設置することで、その後無事解消しました。

 
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