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Amadanaオーブントースター修理(2017.7.15)

市内に在住の方から、お洒落なオーブントースター修理のご依頼です。
Amadana、聞いたことのないメーカーですが、洗練されたデザインです。

 

耐熱ガラス製のドアに自然木をあしらった取っ手が付いています。火傷防止用でしょうか、
取っ手は二重構造で指がガラス面に直接触れません。食パンを同時に2枚トースト
できるよう内部は2段構造で、両面を焼くために3本のヒーターが組み込まれています。

 

TT-111型は現在もWEBに紹介されていますが、既に販売
終了品です。「Amadana」は「尼店」から来ているそうです。



大手の電機メーカーを辞めた社員が2002年に
設立した会社です。製品の説明が面白いです。

 

ヘルメット代わりに使用する人はいないでしょう。
1000Wを消費する高出力トースターです。

 

回すとタイマー設定、押すとスタート・ストップ
できるスイッチ(のツマミ)です。抜き取ります。

 

最下段のヒーターが発熱しないそうです。ヒーターの
断線、接続部の劣化、スイッチの不良等が考えられます。

 

このヒーターが発熱しない・・、最低限の点検が
できる状態まで分解しなければなりません。

 

やや高さのある足を取り外します。固定
ネジが外側カバーの固定も兼ねています。

 

電熱器具なのでドア以外筐体は全て金属製です。
ほとんどがタッピングネジで組み立てられています。

 

外側の大きなカバーが外れ、ヒーターへの配線が露出しました。
ヒーターの劣化・断線であれば、新しいものと交換すれば完了です。

 

念のため最上段のヒーターから抵抗値を
確認していきます。問題ありません。

 

中段のヒーターも正常です。上・中段2本のヒーターは
並列に接続されており、常に同時に発熱します。

 

発熱しない下段のヒーターを点検します。
電力の配線を予め外しておきます。

 
 
筐体の左右両面にセラミックス製のホルダーが
固定されており、その中に端子があります。

 

内心、断線を期待していたのですが・・、
問題ありません。抵抗値は正常です。

 

側面から庫内の温度上昇を監視する
温度ヒューズも、一応点検します。

 

ヒーターに問題がないとすると、故障原因はさらに奥まった
ところにあるということです。制御回路部分まで分解を進めます。

 

制御回路基板は、前面ドアの下部に取り付けられて
いるようです。ドアを完全に取り外す必要があります。

 

パンを乗せるトレイを前後させ、ドアの開閉を補助する
スライダーです。スプリングをいったん外します。

 

スライダーからドアリンクを抜くと、
フレームごとドアが解放されます。

 

ドア下部に樹脂製カバーに覆われた
制御回路部分が取り付けられています。

 

固定ネジを緩め、樹脂製
カバーを取り外します。

 

回路基板は2枚で構成されています。
手前側と奥側で役割を分担しているようです。

 

手前側の基板には変圧用トランスと大きめの
リレーがスペースの大部分を占めています。

 

本体背面側からの配線に余裕がありません。
作業が困難なのでいったん全て抜き取ります。

 

左側側面の配線口から引き出します。
3段のヒーターへ電力を送る配線です。

 

この状態で配線を回路基板に戻します。
余裕ができて点検し易くなりました。

 

短絡(ショート)等に注意しながら
ここで一度通電してみます。

 

タイマーを適当にセットし
スタートさせてみます。

 

確かに最下段のみ発熱してきません。上段と中段の
2本は、しばらくすると赤熱して猛烈な熱を放射します。

 

ヒーターへの電力供給を制御するリレーです。リレー端で
供給電圧を確認します。上中段用は電圧が出ています。

 

下段用リレー端では、電圧が確認できません。
この段階で既に不具合が生じています。

 

リレー自体に問題があるかも知れません。
さもなければ原因はさらに奥です。

 

リレーが取り付けられた基板を取り外し、
奥側基板との間に短絡防止の措置をします。

 

回路基板裏側のプリント配線側
から、さらに点検を進めます。

 

2個のリレーに共通する1次側接点への配線部で
電圧を確認します。もちろん問題ありません。

 

2時側接点に電圧が出ているか
各々配線部分を点検します。

 

下段ヒーター用の制御リレーに電圧がでていません。
リレーの接点が導通していないことになります。

 

念のため、リレーを動作させる電圧が各々の
リレーに印加されているのかも確認します。

 

2個とも間違いなく電圧がかかっています。片側の
リレーが正常に動作していない・・ということです。

 

完全に修理するためには、不具合のあるリレーを
新しいものと交換しなければなりません。取り外します。

 

半田をできる限り綺麗に取り除き
ます。半田吸い取り器を使います。

 

「GOLDEN GH-1C-12L」、125VACで15Aにも耐えうる強力なリレーです。ネットで
検索しても同等品が見つかりません。15Aのパワーリレーはいくらでもありますが、端子の
配置が異なると面倒です。ようやくAliexpressで見つけるも、届くまでに1か月近くかかる
ようです。止むを得ず、工房に在庫していた中古の相当品を使って応急修理します。

 

ヒーター制御用リレーを仮修理した
ところで、再度動作確認を行います。

 

タイマーをセットしてスタートさせます。奥側にあった
タイマー制御やLED表示用基板の動作は正常です。

 

下段のヒーターからも発熱しています。
時間が経過すると赤熱状態になります。

 

上段・中段のヒーターも問題なく
発熱・赤熱しています。

 

修理の経過をご依頼者様に説明したところ、取りあえずこの状態で使っていただけるとの
ことです。再度不具合が生じた時点で、補修部品を手配することで了解をいただきました。

 
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