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入浴用介護椅子キャスター修理(2017.10.13)


高齢者施設で利用されている、今回は入浴用介護椅子の修理です。
キャスターの1個が壊れて、ブレーキがかかったままになっています。

 

足でブレーキを操作するレバーです。解除しても
車輪方向軸のブレーキがかかったままです。

 

当該キャスターのみ取り外し工房に持ち帰ってきました。
新品に交換したいところですが、1個6000円もします。

 

シンプルかつ堅牢に組み立てられており、
どこから分解するのかにわかに分かりません。

 

車輪の両側にキャップが嵌め込まれて
います。ドライバーの先でこじ開けます。

 

キャップを開けると、車軸端に
スナップリングが入っています。

 

スナップリングを抜き取ります。
その下は同径のワッシャです。

 

片側の車輪が外れてきました。
無駄のない構造をしています。

 

反対側の車輪を残して
本体を取り外します。

 

本体はポリアミド(6PA)樹脂、デュポン社が開発したナイロン66由来の
材質です。耐薬品性、強靭性、耐衝撃性、柔軟性など打ってつけの材料。

 

レバーを下げるとカムの小径部により
黒いブレーキ板が引き上ってきます。

 

レバーを上げるとカムの大径部により
ブレーキ板が押し下げられます。

 

ブレーキ板の表面は歯車のような
形状に加工され突起があります。

 

その突起が車輪内側の溝に嵌まり込み、
車輪の回転に対するブレーキがかかります。

 

方向軸の下端も歯車状に形状加工されており
手前から飛び出た爪が溝に嵌まり込んでいます。

 

内部に取り付けられているこの金具を動かすと
爪の付いたプレート全体がスライドします。

 

プレートが引き戻されていると、爪が
引き込まれてブレーキは解除されます。

 

しかし、レバー操作とプレートのスライドが連動しない
ため、回転軸はブレーキがかかったままになっています。

 

プレートをスライドさせているのは、この
金具のようです。固定ピンを抜きます。

 

金具および金具の周囲がひどく錆で
汚れています。明らかにスチール製です。

 

プレートをスライドさせる突起は残っていますが、ブレーキ板の動きを
受け止めレバー操作と連動する何か突起のような部分が脱落している
ようです。腐食が進行し一部分が破断していったような跡が見えます。

 

ならば、ブレーキ板の動きを受け
止める部分を補う方法を考えます。

 

ステンレス製の6角シャフトです。取り付け部
周囲を採寸し折り曲げ位置を決定します。

 

ステンレス製で硬いので
簡単には曲がりません。

 

折り曲げ位置でバイスに
固定し玄能で叩きます。

 

できるだけ湾曲しないよう
根元を狙ってシャープに叩きます。

 

片側の折り曲げは
まぁまぁでしょうか。

 

反対側も同じように折り曲げます。内側に
残す幅が狭く、バイスを使い切れません。

 

両端を折り曲げて中に残った
部分が微妙に湾曲していますが。

 

残っている金具に取り付けることができれば何とかなります。
この位置に取り付けて、ブレーキ板の動きで金具を回転させます。

 

取り付け位置を慎重に調整し
両部品をバイスで固定します。

 

ブタンバーナーを使った半田付けで固定します。
ステンレス用の半田を使用し強度を確保します。

 

専用フラックスの効果で、半田が金具にも
シャフトにもしっかり喰い付いています。

 

元の位置に組み付けます。シャフトの先端
部分をブレーキ板の下面に接触させます。

 

レバーが下がった状態ではブレーキ板が引き
上がり、連動してシャフトも引き上がります。

 

レバーを上げるとブレーキ板は押し下げられ、連動して
シャフトも下がり、金具他端がプレートをスライドさせます。

 

その結果、プレート端の爪が方向軸の溝から抜けます。
ブレーキ時、プレートはスプリングにより押し戻されます。

 

ブレーキ周りの構造は、キャスター自体の強度に
影響しません。費用をかけて交換するほどでしょうか。

 

しかし、入浴用途にもかかわらず、一部でも
スチール部品が使用されているのは不可解です。

 

現場にて元の介護椅子に取り付けました。今回補修した小さな金具部品は、仮に取り除いて
しまうと方向軸のブレーキのみかからなくなります。車輪の回転自体には従来通りブレーキが
かかるので、差し支えないのであればその状態で使用することも検討いただけると思います。

 
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