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デロンギ製スチームアイロン修理(2017.8.23)


デロンギ製スチームアイロン修理の依頼が舞い込んできました。数年間
使用の後、ある日突然温まらなくなったとのことです。以前にメーカーに
連絡を取るも、もう部品がない(ので修理できない)と言わたそうです。

 

県内にお住いの方なので、機会があり
直接お預かりすることができました。



イタリアならではの使いやすく斬新なデザイン
です。発熱体に断線がなければ良いのですが。

 

アイロンかけ面はテフロン加工・・ではない
ようです。スチームの噴き出し口が見えます。

 

製品シールを確認します。ボイラー内蔵式
スチームアイロン、6299/2Nとあります。

 

2013年10月にイタリアアリエテ社の旧6299/2を引き
継ぐ形で発売されています。翌年には在庫が尽きたようです

 

デロンギ社WEBには取扱説明書もアップされており
製造・販売を終了したとは書かれていません。

 

このアイロンの最も優れた点は、タンク式のボイラーを備えていることです。滴下式を採用して
いる一般的な家庭用アイロンに比べ、圧倒的に強力なスチーム噴射が得られます。しかし、
発売から4年未満で補修部品が無い、元々アフターサービスの用意がなかったのでしょうか。
*図版はhttps://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3-23934(コトバンク)より引用

 

販売会社が修理を放棄しているので、躊躇なく手を入れられ
ます。本体後方の樹脂製カバーがネジ止めされています。

 

アイロンかけ面に6角ネジが見えます。
レンチを掛けるも固すぎて回りません。

 

後方カバーの取り外しに戻ります。この
中に電気系が集中しているようです。

 

底部に篏合爪が仕組まれています。
ドライバーの先を入れて解放します。

 

後方カバーが外れると、内部に
電気配線・制御系が見えます。

 

真っ先に発熱体の導通を調べます。発熱体に断線があると部品交換以外に
方法はありません。補修部品がない以上、そこで作業終了、修理失敗となり
ます。10オームほどの直流抵抗があるので大丈夫です。現在の発熱体は
外気と接触しない密閉型シーズヒータなので、断線はほとんど起こりません。

 

発熱体へ電力を送る配線途中に、温度調節用の
バイメタルと過熱防止用サーモスタットが入ります。

 

スチーム洗浄機などにも使われる、この過熱防止用
サーモスタット、回路形を当てると導通がありません。

 

常温の環境下では導通状態でなければなり
ません。電流を妨げているのはこの部品です。

 

左右に突き出た端子にコネクタが差さります。
が、その片方が黒く焼け焦げているようです。

 

コネクターの樹脂カバーが焼け焦げています。サームスタット本体には影響が
及んでいないようです。原因が判然としませんが、コネクタの接触不良でしょうか。

 

取り外したサーモスタットです。規格を調べて相当品と
交換するだけです。調べもしないで部品がないとは・・。

 

外側に焼け焦げがないので、内部が焦げている
可能性は低いのですが、念のため分解してみます。

 

アルミ製のキャップをこじ開けました。
キャップ内にバイメタルがあります。

 

本体に内蔵されているスイッチです。バイメタルの
湾曲により押し上げられて導通が切れる構造です。

 

この状態でもう一度サーモスタット(スイッチ部)を点検してみると、
問題なく導通します。スイッチの頭を軽く押すと導通が切れます。

 

スイッチの接点に問題はありません。とすると、
スイッチを動作させるバイメタルが原因でしょうか。

 

バイメタルに経年劣化があるとすると、スイッチを
押し上げたままの状態に変形しているはずです。

 

キャップを元に戻して再度導通を確認します。
いつの間にか導通するようになっています。

 

その直後、僅かにキャップの持ち方を
変えると、導通が途切れてしまいます。

 

温度によるバイメタル自身の変形ではなく、このキャップの
形状がバイメタルを押し上げ、スイッチを切っているようです。

 

バイメタルが十分に変形できるよう、
余地を残しておかなければなりません。

 

小型ドライバーの柄尻の丸みを利用して
キャップの平板部分に膨らみを与えます。

 

膨らみと言うよりも、やや凹んでいたものが
元に戻って平らになったようなものです。

 

キャップを軽く押した程度では切れません。表面が凹むほど
強く押すと切れるので、スイッチは正常に機能しています。

 

再度キャップの形状を整えてから、サーモスタットを元の位置に戻します。
バネ状のブラケットで固定されていることも、誤動作を招く原因だったようです。

 

取り付け後にもサーモスタットの
導通を確認します。問題ありません。

 

電源プラグの両極間で導通を確認します。
発熱体相当の抵抗値が測定されています。
 

コンセントに接続し通電してみます。オレンジ
色のパイロットランプが点灯しています。

 

放射温度計でアイロンかけ面の温度変化を
確認します。一挙に上昇し100℃を超えます。

 

本体の所々に汚れが付いています。
グリップ部の溝にも埃が溜まっています。

 

機能が復活したスチームアイロン、
外観も新品に近くリフレッシュします。

 

しばらく様子を見ていただくことにします。再度サーモスタットが
不具合を起こすようでしたら、汎用品を使って部品交換します。

 
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