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勝手口サッシドアリサイズ その2(2017.8.9~21)


「ドアを付け替えて欲しい」とのご依頼でしたが、交換用のドアは
「同じサイズ・規格のもの」ではありませんでした。現地で間口を
実測し、アルミ製サッシドアを間口に合わせてリサイズします。
*写真をクリックすると付け替え後の写真をご覧いただけます。

 
7.間口枠のリサイズ


建屋側間口に取り付けるフレーム
(間口枠)のリサイズ作業に入ります。

 


4隅でネジ固定されていますが、組み付けの
仕口が複雑で再現できそうにありません。

 

側柱端を切り詰めるのではなく、
途中を一部切ってリサイズします。

 

蝶番の内側寄りを切り取れば、
蝶番位置を変更する必要がありません。

 

切り落とす長さはもちろん62mmです。ただし、
高速切断砥石による切り代を含む長さです。

 

上下に分割されてしまった間口枠です。
何らかの方法で連結しなければなりません。

 

上下に分かれた枠を密着させた状態で長さを確認
します。実測した建屋間口の高さ1943mm、丁度です。

 

高速切断砥石で切断した断面
です。物凄いバリが出ています。

 

ヤスリを使い手作業で
丹念に取り除きます。

 

バリを残すと、連結させる際に
精度を低下させ長さが狂います。

 

断面形状が閉じている部分の
内側寸法を正確に測定します。

 

角材を加工して内側寸法通りの
断面形状を持つ連結材を作ります。

 

この連結材をサッシ内に打ち込んで、
上下に分かれた枠を連結させます。

 

サッシの内側寸法よりも微妙に
大き目に切り出してあります。

 

連結材の材料端を予め「木殺し」して
おき、木槌で叩き込んでいきます。

 

半分の長さまで叩き込んだところで
連結材の固定方法を考えます。

 

ポンチを打ち、ドリルで
ネジ穴を開けておきます。

 

木ネジを2本打って固定することで、
連結材は抜けてこなくなります。

 

残っている枠を嵌め込みます。
材料端を木殺ししておきます。

 

側柱枠を交互に少しずつ叩き、
左右同時に入れていきます。

 

力の要る最終段階は、掛けやを
持ち出して力づくで叩き込みます。

 

切断部分の塗装が剥げて、連結部にアルミ色の線が出てい
ます。後でサインペン等で塗り潰せば目立たなくなるでしょう。

 
8.ドアノブの再塗装


先に取り外しておいたドアノブです。
塗装が剥げ落ち傷が目立っています。

 


ドアを開閉するたびに目に付く
ので、再塗装して綺麗にします。

 

表面を軽く研磨し先にプラサフを吹き
ます。塗料の食い付きが向上します。

 

2・3回吹き重ねると、表面の
荒れはほとんど目立たなくなります。

 

自動車塗装用のスプレー缶で上塗り
します。塗装色はシルバーメタリック。

 

2重ロックが装着されているところ、
補助側のシリンダーを取り付けます。

 

続けてメインのシリンダーも取り付けます。
アーマープレートは既に手入れされています。

 

再塗装されたドアノブを取り付けます。
ほぼ新品の状態でとても綺麗です。

 
9.メッシュ障子のリサイズ


リサイズの作業も最終段階です。
外側に被せる網戸枠もリサイズします。

 


普通の網戸と同じように、周囲の溝に
押さえゴムと共に押し込まれています。

 

4隅で枠を組み付けているネジの
うち、上側左右の2本を緩めます。

 

押さえゴムを引き出します。非常にきつく入って
おり、手作業によるものではないようです。

 

リサイズする範囲内で網を捲れば
良いので、この程度にしておきます。

 

木槌で框材を軽く叩き、
少しずつ抜いていきます。

 

最初の桟辺りで切断することになるでしょう。
多少誤差があっても建付けに影響しません。

 

組み付け部分の仕口がやや複雑な形状をして
います。上手く再現しないと框材が噛み合いません。

 

仕口の再現手順を考えている最中に気付きました。網戸枠のフックが掛かる障子枠側の溝は、
溝位置の外側をリサイズしているので、その位置に変更がありません。網戸枠の上部が何かに
干渉しないのであれば、そのままで良いのです。急遽、リサイズを取り止めることにしました。

 
10.現地搬入・取り付け


試行錯誤しながらもようやく工房内でのリサイズを終え、現場据え付け作業に臨みます。
ドア丸ごとは乗用車内に積み込めないので、先に間口枠を搬入し取り付けてしまいます。
間口枠が問題なく取り付けられれば、開閉部は蝶番を掛けるだけなので完成同様です。

 

現場に乗り込んでいきなり大問題に直面しました。既存の間口枠が何としても
取り外すことができません。木ネジ固定以外に接着剤・シール剤等が併用されて
いるようで、無理をすると建物の構造材を損傷しかねません。ところが、リサイズした
間口枠を実際に当ててみると、既存間口枠の表側寸法にほぼ合致しているのです。
 

土壇場で計画を変更し、既存間口枠を残したまま、リサイズした間口枠を取り付けることに
しました。上下方向で約20mm、左右方向で5mmの隙間が生じますが、スペーサを
入れることで十分対処できます(このあたりの経緯、写真を撮るどころではありません)。

 

化粧回しにしようと用意していた角材が、運良く
上下方向の隙間を埋めるのに丁度の寸法です。

 

既存間口枠にリサイズした間口枠が嵌まり込んでいます。
隙間に5mm厚の板材を挟み、木ネジで固定します。

 

化粧回しの板厚が変更になったため、隙間を充填する
板材を別途用意し、木ネジにより一体として固定します。

 

間口枠の取り付けを終えてしまえば、
開閉部は蝶番を掛けるだけです。

 

重量のある開閉部(外枠+障子枠+ガラス戸)は、現地でご依頼主から
軽トラをお借りし工房まで往復しました。その際に、新たに必要となった
スペーサ用の材料、忘れてきた一部工具を調達することができました。

 

化粧回しと建物壁面との境界に防水シールを施します。
特に上下方向の隙間を閉じた周囲は入念に入れます。

 

取り外しておいたクローザーを元に
戻し、開き止まり位置を調整します。
 

既存のドアを取り外し、リサイズした間口枠の取り付け作業に入ると、もはや
後戻りすることができず、ドアが付かないままで作業を中断するわけには
行きません。ご依頼主に大変な迷惑がかかります。既存の間口枠が
外れない問題を、何とかその場で解決できて胸を撫で下ろしています。

 

以前の化粧合板製のドアに比べ、格段に美しく高級感があり、しかも
ガラス戸がスライドして換気機能が加わります。当初の計画よりも
外側に飛び出ているのですが、外観的に不自然な印象もありません。
*写真をクリックすると付け替え前の写真をご覧いただけます。

 
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