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すべり出し窓フリクションステー交換(2017.9.26)


「窓の開閉ができない」とお聞きし、ご依頼主のお住まいに出向きました。
2階の1室の3面にすべり出し窓があり、実際に開閉しようとすると動きが
ひどく重く、力を入れてようやく30cmほど開きます。閉じようとするとさらに
重く、今度は窓障子が開口部窓枠からずれて閉めることが出来ません。

 

窓を開閉させているのは、開閉に合わせてアームがスライドする
フリクションステーと呼ばれる金具です。築30年近い建物本体と
ともに長く雨風に耐え続け、部品の劣化が進んでいるようです。

 

窓障子の上下で、吊り方向の異なる2本の
フリクションステーが使用されています。

 

アームの摺動部が材質劣化をきたし、
摺動摩擦が極端に大きくなっています。

 

この機会に新しい部品に交換することをご希望
でしたので、一部を取り外して持ち帰ってきました。
 

レール部分に注油することで取りあえず
復活、スライドするようにはなりますが、
 

レール内を摺動するこの
小さな樹脂製アームが、

 

破断しています。このためパンタグラフを
構成するリンク構造が成立していません。

 

単に開閉できないばかりか、中途半端に窓を
こじ開けると閉鎖位置に復帰できなくなります。

 

窓3面、計6本のステーのうち、破断はこの2本
です。しかし、他も破断は時間の問題でしょう。

 

補修部品が入手できるのであれば6本全てを交換して
おく方が賢明です。しかし、30年近く前の部品です。

 

サッシのメーカーは新日軽、現在のLIXILです。
LIXIL製ではなく汎用品の中から該当品を見つけました。

 

元の部品と各部寸法が微妙に異なり一抹の不安がありましたが、半月以上もの納期を
経てようやく配送されてきました。同色塗装品は見つからずステンレスの無塗装品です。

 

強度を向上させているのか、レール部の幅が
やや大きくなっています。部品構造は同一です。

 

発注段階で気付いておりましたが、1か所だけ
ネジ穴の位置が異なります。工房で再加工します。

 

他のネジ穴と位置関係を正確に合わせるため、
別のネジ穴2か所をネジで仮り固定します。

 

ステンレスの固さに負けることなく、元の部品と
同じ位置に正確に穴を開けることができます。

 

2回りほど太いドリルに付け替えて
ネジ穴の周りを皿モミします。

 

皿ネジの頭を引き込まないと、窓の開閉に伴い
回転してくる樹脂製摺動部品に干渉します。

 

引き込み方が少し甘い感じですが、他の既存穴もこの程度です。
全てのフリクションステーに加工を施し、再び現場に出向きます。

 

ほとんど仮固定状態だった窓障子を取り外します。
この間に台風が通過しているので心配していました。

 

作業は窓の外、1階の屋根上に立って行います。
勾配の緩やかな屋根でいくらか安心です。

 

劣化した古いステーを取り外し、工房で
加工した新しいステーに交換します。

 

窓障子側、窓枠側いずれも
ネジ穴は完全に一致しています。

 

下側ステーを窓枠に載せた状態で
上側ステーを先に取り付けます。

 

風のない日だったので、窓障子が煽られる心配はあり
ませんが、高所でバランスを維持するのはしんどいです。

 

下側フリクションステーも取り付けを終えました。
窓障子や窓枠と色違いですがさほど気になりません。

 

30年近く前の製品とはいえ、サッシシステムの
デザイン・施工性は実に良く考えられています。

 

所定のネジ穴にネジ固定するだけで、閉まり具合や隙間の調整
など全く行う必要がありません。誤差や狂いなく1発で決まります。

 

屋根伝いに北東側の小窓に移動します。
窓幅が狭くここから出入りすることはできません。

 

窓障子が小さく軽いので
作業も比較的簡単です。

 

上下のフリクションステーを交換し終わりました。
手回しのドライバーでネジを確実に締め付けます。

 

北東壁の反対側に同じサイズで
開閉方向が逆の窓があります。

 

屋根伝いに移動してこちらも
同様にステーを交換します。

 

3窓全てのフリクションステー交換を終えました。もうしばらく
台風シーズンが続きますが、これで安心していただけます。

 
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