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灯油ヒータ燃焼芯の交換(2017.11.24)


旧来の灯油ヒータ(石油ストーブ)のメンテナンスです。燃焼時の臭いが強く、燃焼芯の
劣化が疑われて交換を依頼されました。ファンヒータよりも機構がはるかに簡単で、
臭いの元になる不完全燃焼の原因は、燃焼芯の劣化以外には考えにくいところです。

 

コロナ社製、RX-221型です。一般的に反射型と呼ばれますが
裏面シールには「自然通気形開放式石油ストーブ」とあります。

 

手前の危険防止ガードを外します。
その奥に反射板が見えます。

 

燃焼筒を確認します。内側に金属製の
炎筒グリル、外側は耐熱ガラス製ホヤです。
 

燃焼筒を持ち上げると穴の開いた小型の筒があります。
本体下部から供給される1次空気の出口でしょう。

 

現状を確認するため一度点火してみます。
点火や火力調整は正常に機能しています。

 

点火直後、加熱された灯油が生ガス状態で立ち上ります。
かなりの異臭ですが、点火・消火時は止むを得ません。

 

燃焼が安定し、灯油ヒータらしく周囲に熱気を放出します。
が、確かに鼻を突くような刺激臭が立ち込めてきます。

 

ご指摘の通り燃焼芯が劣化しているので
しょうか。分解して内部を点検します。

 

本体両サイドに2本ずつあるネジを緩めます。
放熱部を兼ねた本体上部は簡単な構造です。

 

本体上部を取り外します。年数がかなり経過
している割には、反射板がとても綺麗です。

 

本体下部、燃焼装置が露出しました。灯油タンクをベースにして
その上部に燃焼に必要な機構を全て直接取り付けています。

 

交換用替え芯を購入すると、分解手順を記載した説明書が
付属してきます。手順に従い、まず案内筒リングを外します。

 

3か所で爪が芯案内筒に掛かるので、
1本のネジだけで固定されています。

 

芯案内筒そのものを取り外す必要があります。
周囲3か所を6角ナットにより固定しています。

 

芯上下(火力調整)機構の一部に、上下レバーの
連結を解除する仕組みが組み込まれています。

 

連結が解除されれば、芯案内筒を
簡単に引き抜くことが出来ます。

 

燃焼芯の裾は灯油タンク内に放射状に
浸され、灯油を効率よく吸い上げます。

 

周囲3か所の穴に嵌まる金具を解除し
燃焼芯から芯保持筒を抜き取ります。

 

交換用の替え芯を入手します。
通販等で簡単に購入できます。

 

適応する機種範囲が広く、このSX-2270が
数十~数百の機種で共通に使用できます。

 

燃焼芯はガラス繊維製のようです。
手触り感では綿芯とあまり変わりません。

 

取り外した古い芯と新しい芯を比較してみます。古いものは先端が黒く変色していますが、
ガラス繊維なので炭化であれば空焚きで除去できるはずです。灯油に含まれる微量の
不純物が燃焼し、生成されたタールが不完全燃焼および異臭の原因ではないでしょうか。

 

新しい芯を芯保持筒に通します。3か所の
金具が側面の穴に嵌まる位置まで入れます。

 

芯保持筒の内側に、中心方向に向って爪が
出ています。この爪が芯に刺さり固定されます。

 

灯油タンク内に芯の裾を差し入れ浸します。
分割されているので周囲に満遍なく広がります。

 

芯の上下機構と再び連結させます。付属の説明書は
代表的な機種で解説しており、にわかに理解できません。

 

芯の上下機構が正しく機能するか、ここで確認します。点火装置および乾電池を
取り外してあるので、火が付く心配はありません。スムーズに上下します。

 

内部を分解したついでに、積年の汚れ(さほどひどく
ありません)や錆を出来るだけ取り除きます。

 

分解と逆手順で芯案内筒を取り
付け、点火装置も復旧します。

 

燃焼芯の交換を終え、試運転してみます。当初の鼻を突くような異臭こそしませんが、
全く無臭かというとそうでもありません。近年はFF暖房やエアコンが普及し、暖房
器具により室内の空気が汚染されることもなく、臭いがしないことに慣れてしまって
います。久しぶりに灯油ヒータに再会し、臭いに敏感になっていたのかも知れません。

 

燃焼筒の温度が上昇し、内部の炎筒グリルが赤熱し、外側のホヤが赤熱を
反射して周囲をがんがん温めます。灯油臭の混じるこの旧来の暖房器具には、
エアコンでは味わうことのできない、真冬を乗り切る心強い温かさがあるようです。

 
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