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洗濯機上蓋の修復(2017.10.21)


洗濯機の蓋が壊れたと連絡をいただきました。滅多に壊れる
ものではありませんが、取り急ぎ状態を確認しに伺います。
ランドリー室に衣類乾燥機とセットで設置されている1台です。

 

上蓋の奥の方が部分的に欠けています。そこから
手前方向にかけて、大きくひびが成長しています。

 

上蓋は既に脱落しています。
ヒンジが機能していません。

 

幸いなことに職員の方が、欠け落ちた
破片を保管しておいて下さいました。

 

破断面が一致します。脱落
した破片に間違いありません。

 

ヒンジの中心的部分で、開閉の度に相当の荷重が加わります。
繰り返される荷重により、徐々に破壊が進行していたようです。

 

ヒンジ部分をロックする
ピンが残っています。

 

ヒンジを嵌め込んでから挿入される
ものなので、いったん抜き取ります。

 

軽く力を加えひびを広げて
その範囲を確認します。

 

破断面が元通り完全に
一致する位置に戻します。

 

欠け落ちた破片も破断面を
当てて元の位置を確認します。

 

ABS樹脂なのでアクリル用接着剤
(二塩化メチレン溶液)を使用します。

 

先に大きくひびが成長した部分を修復します。
表側を汚損しないよう裏側から接着剤を入れます。

 

ヒンジ部分の破片修復には十分な
強度を与えなければなりません。

 

裏側・表側の両方からやや
多めに接着剤を入れます。

 

圧着すると溶融した破断面の樹脂がはみ出して
きます。破断面どうしが融着し合っている結果です。

 

破断面が細かく壊れている部分は、どうしても隙間が残ります。
接着剤により融着した樹脂が固化するのを待ち、瞬間接着剤を補います。

 

接着が完了するまでの間、上蓋
全体を清掃(水洗い)します。

 

開閉補助バネを組み込み、ヒンジを
合わせてロックピンを差し込みます。

 

洗濯中は蓋をロックする機構なので、正確に作業する必要が
あります。元通りスムーズに開閉します。修復完了です。
 


メーカーで修理を受けると上蓋全体の部品交換となり、相当の
金額になるでしょう。守谷工房にご依頼いただいて光栄です。

 
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