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Pana VHSデッキNV-HC1長期戦 その1(2017.9.15)


9月7日(木)にお預かりしたパナソニック製VHSビデオデッキです。もちろん故障していて
テープ再生はできません。それどころか中にテープが取り込まれて、イジェクトできなくなって
います。その昔、VHSがまだ主流だった頃、何度かデッキを修理したことがあります。しかし、
一度調子を崩したデッキは、どのように修理しても完全には元に戻らないことを覚えています。

 

背面の製品シールで型番を確認します。NV-HC1、1994年製、20年以上も前の製品です。
松下電器がVHSデッキ「マックロード」を発売したのは、そこからさらに20年近く以前です。



パナソニックのWEBに、かろうじて
製品情報(製品名のみ)が残っています。

 

面白いことに取扱説明書をダウンロードできます。
画質の悪いアナログコピーをPDF化しています。

 

各社VHSデッキの製品開発が進み、操作が
簡略化され、サイズは小型化されています

 

実にシンプルな構成で、映像端子は
コンポジットのみ、S端子がありません。

 

トレイカバーを押し開けて見ると
中にテープが入ったままです。

 

修理の前に、中のテープを
取り出すことにします。

 

外側に露出しているネジを
片端から緩めていきます。

 

左右側面のネジを緩めれば、全体を覆うカバーが
大概外れてくるのですが、そうではないようです。

 

普通は前面パネルの固定にしか使われない
爪による篏合が、背面パネルにも使われています。

 

背面パネルを先に外す仕様です。
固定ネジの使用本数が多めです。

 

ようやくカバーが外れてきました。4kg
近い重量で、大きさの割に重く感じます。

 

ここでも電源を入れて見ますが、
テープが動く様子は全くありません。

 

テープのローディング機構が誤作動により膠着
しており、テープがメカに噛み込まれています。

 

膠着部分を解除し何とかカセットをイジェクトさせ
ます。テープがローディングピンに掛ったままです。

 

左右のローディングピンの動作にも
問題があるのかも知れません。

 

ローディング機構の不具合のせいで
デリケートなビデオテープもこの有様です。

 
 
コンパクトサイズのデッキである故に、内部スペースに余裕がなくカバーやパネルを
外さないと分解が先に進みません。前面パネルは爪による篏合のみの固定です。

 

前面パネル上の操作ボタンや液晶表示と
信号をやり取りするフラットケーブルです。

 

装置全体を底部で支える金属製シャシーが
見えてきました。分離する必要があります。

 

テープトレイの真下に2本、ヘッドの奥に1本、計3本の
4mmネジでテープメカごとメイン基板が固定されています。

 

回路基板とのショートを防止するため、
樹脂製のスペーサが取り付けられています。

 

回路基板のアースがシャシーの一部に
接続(接地)されています。外します。

 

コンパクトな電源ユニットからメイン基板に
フラットケーブルで電力が供給されます。

 

コネクタの配線固定具が少し壊れかけてい
ます。交換は困難なので慎重に扱います。

 

電源ユニットも後方で1か所シャシーにネジ
固定されています。扱いやすい設計です。

 

金属製のシャシーが、上側カバー、前後のパネルと組み合わされて全体の
構造と強度を維持しています。電気的シールドも兼ねた合理的な設計です。

 

裏返しにしたメイン基板です。この基板に
デッキメカがネジ止めされています。

 

シャシーへの固定ネジはデッキメカ部を通ります。
正確には、デッキに基板が取り付けられています。

 

テープデッキの動作位置を検知する
ロータリースイッチとその接続端子です。

 

ヘッドシリンダ、音声ヘッド、消去ヘッド、
サーボ系の配線ケーブルを抜きます。

 

テープデッキメカとメイン基板が分離しました。ここまでで既に1週間ほど時間を要して
います。組み立て構造を探りながら、各部の機能や動作を理解しながら作業を進めている
ので長い時間がかかります。適切な修理には正確な原因把握が必要です。そして、故障
原因の把握には、構造の完全な理解が不可欠です。時間がかかるのは止むを得ません。

 
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