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洋間壁紙塗装(2017.12.4・5)

エクステリア(屋根塗装)に続いて今回はインテリアのお仕事です。戸建て住宅2階にある洋間の
壁紙リフォームのご依頼です。本来ならば元の壁紙を剥し、新しい壁紙を張り直す作業になりましょう。
残念ながら工房は壁紙張り替えの技術を持ち合わせておりません。代わりに古い壁紙の上に塗装する
方法をお勧めしています。壁紙が大きく剥がれたり破れたりしていなければ、張り替えと変わらない
仕上りが期待できます。最近は壁紙用の塗料が販売されており、色褪せなどの耐久性、カビ防止、
無臭・無害など高性能化しています。古い壁紙が廃材として出ることもなく、低価格で経済的です。
欠点は何と言っても塗装前の養生の手間が大変です。完璧にマスキングしたつもりでも、僅かな
隙間に塗料が入り、仕上がりを微妙に損ないます。ご依頼主様に判断いただくしかありません。

 

築30年近くになる戸建て住宅の2階洋間です。
広さ5畳弱、ややアイボリーがかった白壁紙です。

 

やはり築30年近くにもなると、壁紙全体が
色褪せ、黒っぽく煤けた汚れが広がります。

 

収縮により壁紙の張り合わせ目が分離し、隙間が
生じています。一部に震災によるクラックもあります。

 

壁際に机などの家具を置いていた跡も
残り、腰上と腰下で状況が異なります。

 

足元近くは室温が低めで結露しやすく、カビが成長しがちです。
部屋のコーナー部、巾木の近くにカビの発生痕が残っています。

 

養生すなわちマスキング作業に取りかかります。
最も手間がかかる天井周囲の廻り縁から始めます。

 

天井面と壁面に接しており、2辺同時にマスキング位置を
決めなければなりません。作業姿勢的にも辛い部分です。

 

廊下側に開口する通風窓です。枠材が壁面から
飛び出ているので割と位置決めが簡単です。

 

出入り口ドアとクローゼットの両開き扉を
どのように養生するか、段取りをよく考えます。

 

先に枠部分を壁面との境界でマスキングしておき、クローゼット扉は
取り外して個別に塗装することにし、全体を養生シートで保護します。

 

腰高窓の枠材をマスキングします。10mm弱の
飛び出しがあるので、位置決めは難しくありません。

 

窓枠上部に取り付けられているエアコンを養生します。
室外と冷媒管で接続されているので外すことは出来ません。

 

エアコン全体も養生シートを被せ、窓枠の
内側も養生シートで完全に覆います。

 

壁面に設備されているコンセントや電灯スイッチの
化粧プレートを外し、内側をマスキングします。

 

フローリング巾木と壁面の境界をマスキングします。
塗料が流れ込みやすいので密着するよう気を付けます。

 

床全体にブルーシートを敷き詰め、マスキング
テープに連続して養生シートを広げます。

 

養生シートの粘着テープで巾木のマスキングを行えば手間は半減しますが、テープ厚があるため
密着が容易ではなく、以前に試して上手く行かなかった経験があります。養生作業の終了です。

 

使用する塗料は特別のものではありません。水性4ℓ
入り、2回塗りで13~14畳を塗装出来る市販品です。

 

定番の塗装容器に移し、実際に塗料の伸びを
見て必要ならば水を5%ほど加えます。

 

ローラー刷毛に延長ハンドルを取り付けます。自宅や
工房の内装リフォームで散々練習してきました。

 

ローラーに含ませる塗料の量、移動させる速さ、移動の
方向、塗装面に押し当てる強さなど多くのコツがあります。

 

直前の塗装面との重なり幅も重要です。
天井面の1回目塗装(下塗り)の終了です。

 

続いて壁面の塗装に移ります。腰の曲げ伸ばしが
大変なので、ほぼ腰高で上下に分割して塗装します。

 

壁面のローラー刷毛移動は垂直方向です。境界部分でも
平刷毛等をまず使用しません。ローラー刷毛で対応します。

 

隣の壁面に移ります。天井面や巾木との境界を塗装
する場合のみ、ローラー刷毛を水平方向に動かします

 

通風口、出入り口、クローゼットの周囲を塗装します。元の壁紙面と
塗装面を比較すると、長い年月による退色や汚れが判然とします。

 

窓枠の下部を塗装します。まだ1回目の塗装
(下塗り)ですが、室内が劇的に明るくなっています。

 

通風口上部の狭い壁面は、ローラー刷毛が
入らないので平刷毛で手塗りします。

 

取り外したクローゼットの両開き扉、
および通風口に入る2枚の襖です。

 

これらも壁面と同じ塗料で塗装します。
周囲の木枠を養生(マスキング)します。

 

同じくローラー刷毛を使用して一挙に塗り上げます。
床に置いた平面状態なので非常に作業が楽です。

 

楽であるばかりか、ローラー刷毛を思うように
運ぶことが出来るので仕上がりも綺麗です。

 

1日置いて翌日、2回目塗装(仕上げ
塗り)のため再び現場へ出向きます。

 

水性塗料は乾燥時間が短いので、1日で2回塗装を
行うことも可能です。が、体力の配分も考えます。

 

昨日、1回目塗装の終了時点でかなり綺麗に見えて
いましたが、まだムラがあり地色が透けています。

 

2回目の塗装を重ねていくと、ムラが
解消し塗装面の発色が安定します。

 

壁面の仕上げ塗りに進みます。壁紙が細かなエンボス加工
なので、エンボス目の中に塗料が入り込むよう注意します。

 

隣の壁面との境界部分に塗装の濃淡が生じやすいので、
ローラー刷毛に含ませる塗料の量を適宜調整します。

 

濃淡を生む原因は、ローラー刷毛が壁面と平行に押し
当てられないからです。ローラー幅全体を均一に使います。

 

出入り口の上部を最後に室内
全ての壁面を塗り終えました。

 

塗装膜が半乾きのうちにマスキングを剥します。
固化すると塗装面にクラックが入ることがあります。

 

一方で、剥がれてきたマスキングテープに残る
半乾き塗料で、他の部分を汚さぬよう気を付けます。

 

窓を覆っていた養生シートも取り除きます。
マスキングテープもろとも手早く剥がします。

 

窓を閉め切っていたせいで、室内の湿度がかなり
上昇しています。外気が入り一挙に乾燥が進みます。

 

通風口周り、出入り口ドア上のマスキングを
剥します。ドアの養生シートはその後で取ります。

 

通風口に、別途塗装を終えた引き戸を
入れます。非常に明るい印象です。

 

クローゼットの両開き扉に、塗装時に
外しておいた取っ手を取り付けます。

 

丁番をネジで固定し、元の位置に戻します。
建具が収まると部屋の印象が落ち着いてきます。

 

こちらも予め取り外しておいた照明器具のカバーを戻します。
外している間にご依頼主様が綺麗に洗っておいて下さいました。

 

コンセントや電灯スイッチの化粧カバーも元に戻します。最後に室内全体を
丁寧に点検し、塗り残し部分や逆に塗料のはみ出し部分を補修します。
床面を養生していたブルーシートを片付けて全ての作業終了です。

 
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