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大切にしているキッチンタイマー(2018.8.3)


クマのプーさんがあしらわれたキッチンタイマーが郵送されてきました。事前に
連絡を頂戴しておりましたが、送料も含め費用をかけて修理を望まれる理由が、
正直なところ理解できないでいました。既に製造元にも問い合わせたそうで、
販売も修理も終了していたとのです。お母様から譲り受けた大切なものである
ことが後で分かり、工房にご用命いただいたことを大変有難く光栄に思いました。

 

タイマーをセット(0分以上)しても戻ってきません。動作
不良を起こしています・・が、これは何としてでも直します。

 

最大60分にセットできる機械式タイマーです。
手前のタイマーセットダイヤルを引き抜きます。

 

背面側はマグネットラバーが貼られています。
よく冷蔵庫のドア辺りに付けて使用します。

 

背面側に1か所固定ネジがあります。100円ショップの
安物などではありません。造りや手触り感が違います。

 

セットダイヤルに前後のカバーを加え、3個の樹脂製パーツで本体が
構成されています。その内部にタイマー用ムーブメントが収められています。

 

ムーブメントは全金属製のようで、
周囲3か所でネジ固定されています。

 

手前のシャフトがセットダイヤルの溝に嵌まり、
動力のゼンマイをセット時間分巻き上げます。

 

ムーブメントと一体化されているキャップ形状の
部品は、セット時間経過を知らせるベルです。

 

ムーブメント内でハンマーが回転
すると、優しい音色で鳴動します。

 

3か所のツメを元(組み立て前)の位置に戻し
ます。音色を損なわない巧妙な取り付け方です。

 

再度ベルを取り付けるため、ツメ部分が
金属疲労を起こさないよう慎重に戻します。

 

ムーブメントが姿を現しました。デロンギのトースターに組み込まれているような、時計並みに
組み立てられた精巧なタイマーです。近年の1チップIC+LCD式のイージーさが感じられません。

 

かなりの年数が経過しているせいでしょうか、歯車に
金属のスラッジが付着し、黒っぽく変色しています。

 

スラッジはシャフトや軸受にも及んでいます。動作しない
のは、スラッジ集積により抵抗が増大したためでしょう。

 

歯車を挟む上下プレートはカシメにより固定されています。
無理に分解することは避け、スラッジを洗浄します。

 

パーツクリーナーを、方向を変え
ながら徹底的に吹き付けます。

 

しばらく待ってから高圧エアでクリーナーを飛ばします。
再びクリーナーを吹いて飛ばす・・を数回繰り返します。

 

ほとんどのスラッジが除去されましたが、
最後に溶剤を使用して、残る油分を除去します。

 

瓶にシンナーを取り分け、その中に
ムーブメントを漬け込みます。

 

溶剤を攪拌し、ムーブメントに付着した油分、
油分と結合しているスラッジを溶かし出します。

 

ムーブメントに樹脂製パーツが含まれないので、この方法を取る
ことができます。十分攪拌した後、ムーブメントを取り出します。

 

再び高圧エアを吹いて溶剤を飛ばします。自然に乾燥
させると僅かなスラッジが凝集する可能性があります。

 

シャワーを浴びてさっぱりしたような雰囲気です。
金属部品が本来の色合いを取り戻しています。

 

何よりも、ムーブメントが動き出しています。タイマーを
セット(0分~)するとゼンマイの力で回転し続けます。

 

さらに動作を確実にするため、
軸受部にごく少量注油します。

 

油が歯車やシャフトに及ぶと埃が付着しやすくなる
ので、ピンセットを使いピンポイントで注油します。

 

プレート表面に広がった油膜を拭き取ります。
タイマーは動き続けています、調子が戻りました。

 

取り外しておいたベルを、元通りに組み付け
ます。ツメを破断しないよう慎重にひねります。

 

樹脂製カバー内に戻します。カバー周囲のスリットは、ベル
音の高周波分をほど良く外部に取り出す働きがあります。

 

お母様から譲り受けた大切なキッチンタイマーは、シンプルながら
優れた設計が施された完成度の高い装置でもあります。お母様を
大切になさって下さい。タイマーの不具合は守谷工房へどうぞ。

 
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