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掃除機ホースの補修(2018.1.15)


家庭用電気掃除機(クリーナー)のホースが壊れている、との
連絡をいただきました。スイッチ周りのトラブル(スイッチが入ら
ない等の故障がよく起こります)かと思いながら伺ってみると・・

 

掃除機本体側の接続部近くで、ホースの外皮が切れ始めています。
ホースを引くことで掃除機本体が左右に移動するたび、この部分を
折り曲げる力が集中的に加わります。保護ブーツの外で切れています。

 

このままでは破断が進むばかりです。ビニルテープなどで
補修されているのを見かけますが、ほとんど無意味です。

 

接着剤に依存する補修方法は、接着強度の不足と
接着部分の美観的問題があり避けたいものです。

 

本体との接続部近くでの破断なので、ホースの一部を切り
詰めて補修することにします。保護ブーツを取り外します。

 

保護ブーツは左右のピースが爪に
よりしっかり篏合する構造です。

  

保護用のビニルテープを剥すと、手元スイッチへの配線が
露出します。3条巻きの鋼線が配線を兼ねています。

 

配線をいったん切り離します。鋼線側を
切るためワイヤカッターを使います。

 

ビニル線側を切ると配線長が足りなくなります。配線は
電源と制御線です。色の並びを記録しておきます。

 

掃除機本体側接続部からホースを切り離します。
破断部から遡るようにビニル外皮を切り込みます。

 

シールを兼ねた特殊な接着剤で固定されています。
ビニル外皮を切り込みながら引き剥がします。

 

接続部に差し込まれていた
部分を完全に分離します。

 

残っていた接着剤を丁寧に取り除きます。接続口は鋼線の3条巻きに
合わせて螺旋状の突起が成形されています。ホースをねじ込める構造です。

 

切れていた位置に合わせて、手前の引き剥がした部分を
切り取ります。これ以上破断が進まないよう留意します。

 

鋼線を後でビニル線に接続する
ため、この程度を残しておきます。

 

カッターナイフでビニル外皮を切り
取り、内部の鋼線を露出させます。

 

鋼鉄線の表面に銅メッキが
施されているようです。

 

樹脂製の接続口とビニル製ホースは
ゴム系接着剤で固定することにします。

 

接続口の表面全体に接着剤を塗り付け、
突起に沿ってホースを一気にねじ込みます。

 

鋼線の張力が強烈なので、終端部分を
2本のバークランプで強く固定します。

 

実は、終端部分の内側にはまだ接着剤を
入れていません。配線を終えてからにします。

 

ビニル線端の半田を溶かし、
芯線を露出させ整えます。

 

芯線を鋼線に絡げます。記録を
確認し色を正しく配置します。

 

銅メッキがされていますが、半田の
付着を促すためフラックスを使用します。

 

鋼線の熱容量が大きいので、120Wの
半田ごてで一挙に半田付けします。

 

芯線の周りに半田が十分流れ込んでいます。3本の配線は樹脂突起の溝内に
収まるので、接触・短絡の心配はありません。従って特に絶縁保護はしません。

 

接続を終えた時点で終端部分の内側に接着剤を追加
します。元通り保護用にビニルテープを試用します。

 

鋼線が露出している部分にはビニル
テープを重ねて巻き付けます。

 

また、終端部分から外皮の破断が成長して
こないよう、手前に向かい多めに巻き付けます。

 

元通りに保護ブーツを取り付け
ます。片側を先に嵌め込みます。

 

接続口をひねり突起部の干渉を避け
ながら他方のブーツを嵌め込みます。

 

強く押さえ付けると内部でツメが
噛み合いしっかり固定されます。

 

新品時と同等の状態に補修出来ました。ホースの総延長が5cmほど短くなり
ましたが、使用時にほとんど支障はないでしょう。願わくば、製造元には耐久
試験を繰り返し実施し、保護ブーツ部分のデザインを改善してもらいたいもの
です。長さと形状を少し変更することでホースの耐久性が向上するはずです。

 
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