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BOSEプレーヤーAWRCピックアップ交換(2019.5.25)


BOSE社プレーヤーの修理件数が増えています。これまでリモコン操作の不良も含め
ほとんどの修理に成功しております。今回は一体型の中でも初期の頃のモデルです。

 

このモデルは本体上面に操作ボタンがあります。操作ボタンと付属リモコンのどちらでも操作
できます。ボタンが省かれた中期以降のモデルは、リモコンなしでは操作できなくなりました。

 

操作ボタンの付いたパネルはCD
プレーヤーの上蓋でもあります。
 

底面のシールで型式を確認します。
MODEL AWRC/0Pです。

 

不具合の状況を確認します。
上蓋を開けてCDをセットします。

 

取りあえず再生します・・が、間もなく音飛びが
出ます。ご依頼主から伺っていた通りです。

 

ピックアップユニットの劣化が原因です。
交換作業のため本体を分解します。

 

本体上面後方に2本、CDプレーヤーの
上蓋を開けた中に1本固定ネジがあります。

 

このモデルの分解のコツは、上面の固定ネジを緩めた後、本体上側カバーと
底面側カバーの篏合を解除しながら分離することです。隙間からドライバーの
先を入れ、本体左右のツメによる篏合部を押し広げてカバーを引き上げます。

 

表示パネルの防塵シールを
避けながら引き抜きます。

 

表示パネル背面の基板から操作ボタンへ
延びるフラットケーブルを引き抜きます。

 

ケーブルを抜かずに作業することも可能ですが、
作業性・安全性を考えカバーを完全に外します。

 

ピックアップユニットは本体最上部に取り付け
られています。手入れのし易さ抜群です。

 

そして、ピックアップユニットはインシュレーターを介して本体構造体に
載せられているだけです。固定ネジを一切使用しないフローティング
方式で取り付けられています。持ち上げると簡単に外れてきます。
 

信号伝送用のフラットケーブルと
モーター制御用のケーブルを抜きます。

 

ピックアップレンズ部を確認します。日常的に
クリーニングされているようで特に汚れていません。

 

レンズクリーニングにより音飛びが改善しない場合、
補修部品があればピックアップユニットを交換します。

 

シールの刻印は製造番号のようで、
該当するユニットは見つかりません。

 

海外サイトで該当品を探します。ピックアップ部の
型番はSF-P100、13ピン仕様でなければなりません。

 

何と7.99US$(1000円以下)です。
しかも送料無料、念のため2個購入します。

 

新品なのでレンズのトラッキング性能や
レーザー出力など問題ないでしょう。

 

製品に貼り付けられているシールは
やはり製造番号のようです。

 

元のピックアップを取り外します。
ガイドシャフトの固定ネジを緩めます。

 

ガイドシャフトを取り出します・・が、それ
だけではピックアップが外れてきません。

 

ピックアップ移動用の平ギヤも
外します。固定ネジを緩めます。

 

平ギヤと同軸のピニオンギヤが、ピック
アップのラックギヤと噛み合います。

 

ピックアップが外れてきます。ユニット全体の
交換ではないので、安価に済みそうです。

 

入手したピックアップにはラックギヤが
付属しないので、元の部品を再利用します。

 

2本の小ネジで固定されています。中間に残って
いるネジは、レンズ部フレームの固定用です。

 

新しいピックアップをユニットに取り
付けます。問題なく収まります。

 

再利用する元のラック
ギヤ部を取り付けます。

 

ガイドシャフト端をネジで固定し、平ギヤも取り
付けます。シャフトに少量のグリスを入れます。

 

簡単かつ低価格で作業を終えられそうです。が、
ユニットを本体に収めようとすると・・収まりません

 

ピックアップに付属する小さな基板が
ユニットが収まる溝の底に干渉します。

 

あらためて新旧のピックアップを比較してみると・・、この通りです。基板部分の上下
サイズが異なっています。新しく入手した製品(写真上)は上下長が長くなっています。

 

販売サイトの写真では、サイズの違いを確認
できませんでした。ピックアップを探し直します。

 

あらためて入手したSF-P100(13PIN)です。
ラックギヤ付きですが80US$(9000円)もします。

 

基板上の「FAS」は同じで、明らかにサイズが小さく
なっています。製品にバリエーションがあるようです。

 

あらためて(気を取り直して)
ピックアップを交換します。

 

ピックアップ移動用シャフトや駆動
ギヤの取り付けも問題ありません。

 

念のため新旧両ピックアップを比較して
みます。基板のサイズも同等です。

 

ケーブルを差し込みユニットを
プレーヤー本体に組み込みます。

 

実際にCDをセットし動作確認します。
上蓋を開ける方式も悪くありません。

 

問題なくCDが再生され工房到着時の音飛びも解消されています。2日間にわたりCDを交換
したり連続再生を繰り返し、十分に動作を確認してからご依頼主にお返しします。ところが、
ご依頼元に届くや、CDが再生できないとの連絡が入り、急遽工房に送り返してもらい再修理と
なりました。結果は、ピックアップユニットの取り付けが微妙にずれて、ケーブルの接続がやや
甘くなっていただけです。組み直しにより問題は解消しました。配送中に加わった衝撃が原因と
考えられます。フローティング方式で取り付けられているため、強い衝撃によりユニットが暴れて
しまいます。荷物を「精密機器」や「こわれもの」に指定し、配達員の方がどれだけ丁寧に扱って
下さっても、配送センターのコンベア上は別次元です。あの超高速搬送からして、荷物に加わる
加速度は想定を超えるでしょう。減速時(停止時)のそれは、ほとんど「衝撃」だろうと思います。



 
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