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掃除機インペラー修理不能(2019.5.6)


布団乾燥機と一緒に送られてきた掃除機です。廃棄寸前だったので
しょうか、粗大ごみ処理券が貼られています。乾燥機同様に電源が
入らないそうです。悪くてもカーボンブラシの交換で直りそうなものです。

 

99年7月、20年前に製造された
550Wの東芝クリーナーです。

 

最初にハンドルを外します。
ドライバーで隙間をこじ開けます。

 

曲面形状にデザインされた
ダストカバーを外します。

 

本体を構成する上側の
カバーを外します。

 

割と単純な組み付け構造です。
ネジを緩めるだけで外れてきます。

 

内部は手前1/3にコードリール、
残り2/3がモーターユニットです。

 

モーターユニットの上に樹脂製カバーを介して制御回路が
組み込まれています。外観的に特に損傷はないようです。

 

制御回路基板はツメで固定されている
だけです。接続コードを抜き取り外します。

 

モーターユニットを覆う樹脂製カバーを
外します。残る固定ネジ1本を緩めます。

 

モーターユニットを引き上げます。
ゴム製ブーツに覆われています。

 

モーターユニットの後端を支えるゴム部品
です。固定、防振、防音を兼ね備えます。

 

ゴム部品の突起がモーター背面の
穴に入り、モーターを程良く支えます。

 

ブーツを外すと中に温度スイッチが取り
付けられています。故障の多い部品です。

 

温度スイッチの導通(常温時)を
確認します。問題ありません。

 

電源コードから掃除機内部に電力が引き込まれて
いるでしょうか。コードリールの周りを点検します。

 

本体からコードリールを引き抜きます。外から汚れが
入り込んでいることが多いのですが、比較的綺麗です。

 

既に本体上側カバーが外されているので
ドラム巻き戻りのストッパーが効きません。

 

ドライバーを差し込んで
リールの回転を防ぎます。

 

金具の接触により樹脂製キャップの内側に
電力が伝わり、コードが引き出されています。

 

樹脂製キャップの表面に「電流
ヒューズ」と刻印されています。
 

キャップを外すと、狭い隙間に
ヒューズが組み込まれています。

 

電源が入らない原因はこれです、ヒューズが飛んでいます。
修理は簡単です。このような修理ばかりだと助かるのですが。

 

切れたヒューズを取り出します。
新しいものに交換するだけです。

 

ヒューズの容量を確認します。
30mmサイズの15Aです。

 

15Aの在庫がないので
ホームセンターで調達します。

 

ヒューズホルダーが使用されておらず
コードを直接半田付けしてします。

 

半田ごての熱でヒューズが切れや
しないかいつも心配に思いますが・・。
 

ヒューズや周囲の
コードを内側に収めます。

 

あっけなく作業終了と思いきや、電源を入れてみるとほんの一瞬モーターが
唸り、その直後に「プツッ」という音が聞こえ、再び何の反応もしなくなりました。
「プツッ」はヒューズが飛ぶ音です。回路に定格以上の電流が流れたようです。

 

モーターユニットに異常があるよう
です。取り出して詳しく調べます。

 

整流子電動機にありがちなカーボン
ブラシの接触と摩耗状態を点検します。

 

カーボンブラシはまだ残り長さが十分にあります。
インペラーを点検するためハウジングを分解します。

 

インペラー部は、板金加工されたハウジングにより
完全に覆われています。分解は容易ではありません。

 

ハウジングを外してみると・・、内部はこの有様です。タービン羽根が
完全に破損・脱落し、ハウジング内部に散乱しています。いったい何が
起こったのでしょう。高速回転している際に、紙パックやフィルターが
何もない状態で石のような固いものを吸い込んだのかも知れません。

 

インペラーの固定
ネジを外してみます。

 

インペラーが内側の樹脂製ハウジング
(導風板)に張り付いています。

 

精密加工されたインペラーディスクが変形し
樹脂製ハウジングもひどく破損しています。

 

樹脂製ハウジングも取り外してみます。
奥のモーター自体は無事のようです。

 

ハウジングの内側表面に、樹脂の一部が溶け出して流れたような跡が見られます。
インペラーディスクの変形が始まり、その一部が高速回転しながら接触したことで、
摩擦熱が生じて樹脂を溶かしたのでしょう。樹脂板に大きく穴が開いた部分もあります。
溶けた樹脂によりインペラーがハウジングに固着し、モーターが回転できず過負荷となり
過電流を生じさせたと考えられます。もはや部品交換以外に修理の方法はないのでは・・

 

20年前の家電製品に補修部品があるわけが
ありません。破損したインペラーを製作します。

 

ただし、板金の精密加工による製作は困難
なので簡易的にアクリル板を使用します。

 

もちろん強度的に不安がありますが、負圧を発生
させるだけであれば何とかなるかも知れません。

 

細長く切り出したタービン羽根を
熱加工によりR形状にします。

 

ディスク表面にレーザー刻印しておいた
ラインに沿ってタービン羽根を接着します。

 

実際、ハンディタイプの小型掃除機では
樹脂製のインペラーが使用されています。

 

7枚のタービン羽根を取り付けました。右回転する
ことで中心から空気を吸込み周囲に吐き出します。

 

2枚のディスクで挟むことでかなりの
強度が出るのではないかと思いますが・・

 
悲惨な状況につき
NO PHOTO
樹脂製インペラーをモーターに取り付け、金属製ハウジングを取り付け本体を組み戻して
試運転してみます。結果は・・、劇的に失敗です。モーターの回転を高速(強)に切り替えた
瞬間、内部から恐ろしい音がしてインペラーは原型を留めないほど破壊されてしまいました。
わずかな回転バランスの狂いが強い振動を引き起こしたか、樹脂製ハウジングとどこかで
接触があったのか、500Wのモーター回転に耐えるインペラーの製作はどうやら無謀でした。
 

国内では掃除機用モーターユニットの供給は皆無です。
しかし、中国の通販サイトを探すといくらでも手に入ります。

 

しかも、2000Wもある強力なユニットが
送料込み2000円前後で購入できます。

 

サイズを合わせて、合わなければ多少の加工をして新品のユニットに交換すれば
いいようなものです。ところが避けようのない問題に直面します。中国製のモーター
ユニットは全て220V仕様なのです。探し尽くしましたが110V仕様は存在しません。

 

まだ粘ります。樹脂製ハウジングを何とか
補修しインペラーだけ交換する方法があります。

 

インペラー単体に至っては何と500円で手に入り
ます。修理費用を格安に抑えることができます。

 

ご依頼主が喜ばれる顔を思い浮かべるも、BUYボタンをクリックする寸前にまたもや
避けようのない問題に直面します。中国製のタービン羽根は全て渦巻き方向が逆です。
つまりモーターの回転方向が逆に設計されているのです。交流整流子モーターの形式に
より逆回転させることが可能な場合もありますが、樹脂製ハウジングの導風板の方向が
逆のままです。ここまで作業を進めた段階で、残念ですが修理不能とせざるを得ません。

 
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