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技術科の基本 自転車整備(2018.11.9)


どなたかのご依頼ではなく、自分が所有する自転車の整備です。健康維持のため
意気込んで購入したものの、乗らず終いで雨晒し。自転車は放置しておくと傷みが
早く進むものです。自転車整備は昔から技術科の「基本」、中学生の頃、まだ白黒
印刷だった技術科資料集に、手書きのイラストだけで自転車の構造と整備方法が
隅々まで極詳細に説明されており、暇さえあれば眺めていたことを思い出します。

 

サドルの表皮が破れています。ここから中の
緩衝材に雨水が侵入し、座るとパンツが濡れます。

 

長い屋外放置の結果、メッキ層を突き破り
ハンドルバー表面に錆が浮き出ています。

 

ラバーグリップは捻れ、破れ、擦り減りが
進み、材質も劣化して無残な外観です。

 

新品時は光り輝いていたスポークです。光沢が
失せたどころか、錆が広がり出しています。

 

乗る気にならない最大の原因はタイヤのパンクです。何度かチューブの修理や虫ゴムの
交換をしましたが、どうしても空気が抜けます。タイヤ自体もトレッドにヒビが見られます。

 

前輪後部の樹脂製泥除けです。MTB仕様なので前部は
省略されています。表面が白く変色しかかっています。

 

後輪泥除けも表面が劣化し斑状態です。
取り付け金具や固定ネジは錆だらけです。

 

整備作業にかかります。手始めに
後輪泥除けから取り外します。

 

ネジが回らないほど錆は進んでいま
せん。ネジを2か所緩めると外れます。

 

前輪泥除けを外します。フロントフォークの
根元に貫通穴があり、ボルトで固定されています。

 

ここまで表面が劣化してしまうと
塗装により補修するしかありません。

 

前輪を外します。左右両側の
ハブボルトをレンチで緩めます。

 

ブレーキアームの上部がタイヤ幅以下に狭まって
いるので、このままではタイヤが抜けません。

 

固定ネジを緩めてブレーキワイヤーを
解放し、アームが広がった状態にします。

 

前輪にはブレーキ以外の装備が
何もないので、簡単に外れます。

 

空気バルブのリム固定ネジを
緩め、虫ゴムも抜き取ります。

 

空気が抜けたところでリムとビードの間に
ドライバー(-)を差し入れタイヤを外します。

 

タイヤは以前に一度交換しています。材質が
硬化しトレッドに細かなヒビが入りやすいようです。

 

シャフトを支えて車輪を回転させると、
かすかに「コツコツ」音がします。

 

ベアリングボールか玉押しに傷が入っているのかも知れま
せん。グリスを追加し玉押しボルトを調整して様子を見ます。

 

続いて後輪を外します。先に
ブレーキを解放しておきます

 

購入以来ブレーキシューを一度も交換して
いません。ほぼ限界近くまで摩耗しています。

 

チェーン駆動部が組み込まれており、
後輪の取り外しには手間がかかります。

 

転倒時のディレーラー(変速機)ガードを
外します。ハブボルトにレンチが掛かりません。

 

左右両側のハブボルトを緩めます。ディレーラーを
押し込みチェーンを弛ませながら車輪を抜きます。

 

後輪が外れました。こちら側のハブ
ベアリングに問題はないようです。

 

タイヤとチューブを取り外します。
いずれも新品に交換します。

 

スポークの錆を出来るだけ落とします。
スチールウールに水を含ませて擦ります。

 

新しいチューブをリムにセットします。径が小さ目
なので、引き伸ばしながら捻れないように入れます。

 

空気バルブが傾かないよう位置を
合わせ、固定ナットをねじ込みます。

 

チューブに空気を少し入れ、
リムとの密着具合を確認します。

 

新品のタイヤです。MTB用、26インチ径、1.95インチ幅のHooked Edge
規格です。ネット通販で購入すると、自転車店店頭価格の半額以下です。

 

後輪を先に取り付けた方が作業しやすくなります。
タイヤが新しいだけで見栄えが大きく変わります。

 

続いて前輪も取り付けます。幸いこの自転車は
フレームチューブにほとんど傷みがありません。

 

ボロボロのグリップラバーを取り除きます。
表面に切り込みを入れ引き剥がします。

 

交換用の新しいグリップです。配達後
開封してみると長さが合いません。

 

カッターナイフで余分を切り落とします。
隙間が出ないよう垂直に加工します。

 

ハンドルバー、グリップの両方に
洗剤を塗り付けて押し込みます。

 

元のグリップの方が高品質でしたが、それでも新品には
遠く及びません。握りやすくしっとりした良い感触です。

 

前後の泥除けを補修します。劣化した
樹脂表面を軽くペーパー研磨します。

 

劣化面を落とすのではなく
塗装のための足付けです。

 

プラサフを2回吹き付けます。
艶消しに仕上げるので研磨しません。

 

プラサフの乾燥を待って艶消し黒を吹き
付けます。雨天のため載りが今ひとつです。

 

泥除けを元の位置に取り付けます。固定
ネジは後でステンレスネジに変えましょう。

 

前輪泥除けも取り付けます。
新品時の見栄えが戻りました。

 

破れたサドルも交換します。サドルカバーを
被せてしまう方法もあるのですが・・、

 

細身で固いスタイリッシュなサドルは、
長時間乗車時にお尻に優しくありません。

 

新しいものをネット通販で一緒に購入しま
した。表面材質が柔らかく面積があります。

 

何とネット価格550円!です。
サドルカバーよりも安いのです。

 

ブレーキワイヤーの調整を済ませ、今回の整備作業は終了です。
ブレーキシューや伸びたブレーキワイヤー・変速ワイヤーも交換
したいところです。自転車に乗って部品を買いに行くことにします。

 
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