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電話機留守録レコーダーの故障(2019.5.10)


固定回線用電話機に留守録機能が付いています。マイクロカセット・・新しく登場した
デバイス名ではありません。その昔、超小型に設計された磁気記録テープに音声を
録音する方式です。音質的にオーディオ用には不向きで、会議録音用レコーダー等に
よく使われていました。この電話機の留守録もマイクロカセットで・・、故障しています。

 

電話機上部のカバーを開くと、内部にマイクロカセットのユニットが
組み込まれており、テープをセットするホルダー部が見えています。

 

底面のネジ固定を緩め、本体上側カバーを外します。
プッシュボタンとスピーカーが取り付けられています。
 

2か所のツメを解除すると、簡単に
プッシュボタン部が外れてきます。
 

プッシュボタンに対応するスイッチボードです。耐久性を
持たせるため、金属接点がシールで密閉されています。

 

スイッチボードはコネクタにより
底面の回路基板に接続されています。

 

スピーカーコードの接続
コネクタを抜きます。

 

ブッシュボタンとスピーカーを載せる
マウントプレートを取り外します。

 

マウントプレートが外れると、ようやくマイクロカセットのユニットに手が届きます。
不具合は、写真のようにピンチローラーがキャプスタン軸に接触した状態で停止し、
一切の操作ができないことです。そもそもテープをセットすることができません。

 

ユニットを取り出します。
ネジ2本で固定されています。

 

マイクロカセットのユニットとしては
大きい方でしょう。修理しやすそうです。

 

裏側の基板プリント配線面からも点検します。
キャプスタン軸の駆動プーリーが見えます。

 

側面からモーターの駆動プーリーを点検します。
何か黒い塊のようなものがまとわりついています。

 

駆動用のゴムベルトはどこへ・・? この塊こそゴムベルトのなれの果て、
またもや経年によるゴムの変質です。ドロドロに溶けながら、回転し続ける
モーター軸に綿飴機のようにまとわりついた結果です。ベルトの破片が
見当たらないことから、ゴムベルトの大部分がこの塊と化したようです。
 

先日のパイオニア製カセットデッキと同じ不具合です。
プーリーに手を入れるため、一時基板を外します。

 

キャプスタン軸の大プーリーです。
周囲の溝部分が黒光りしています。

 

よく見ると、溶けたゴムが
溝に入り込んでいます。

 

カーボンを含んでいるので始末が大変です。ティッシュを
ちぎってアルコールを含ませ、ひたすら拭き取ります。

 

モーター軸のプーリーも清掃したところで
交換用の新しいゴムベルトを選びます。

 

汎用のゴムベルトで十分間に合います。
ベルトの張り(長さ)もほどほどに合わせます。

 

基板を元に戻します。新しいゴムベルトが
モーターとキャプスタンを連結しています。

 

モーター軸を手で回すと、ピンチローラー
(ヘッドベース)の位置が元に戻ります。

 

ユニットを元の位置に戻します。2か所の
ソケットで基板と接続が完了します。

 

念のため液晶表示器との接続ケーブルも外しておき
ました。金属箔を傷めないよう慎重に差し込みます。

 

電源を接続してみると、マイクロカセットユニットのモーターが通電し、駆動メカが
リセットされて初期位置に戻ります。ゴムベルトが機能して、モーターの動力が
各部に伝達されています。テープが添えられていなかったことと、工房には固定
電話回線がないため、残念ながら実際に留守録機能を確認できていません。

 
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