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SONYラジオICF-SW20レストア(2019.2.28)


梱包を解いて考え込んでしまいました。写真の通りの外観もそうですが、ここまで
傷んでしまった製品を修理できるか、安請け合いしてしまったのではないだろうか。
不具合は「ラジオが鳴らない」です。ご依頼主にどう謝ろうか、体の良い理由を・・。

 

乾電池を入れ、全面のボタンを操作するも
全く無反応です。お聞きしていた通りです。

 

SONY製ICF-SW20、ダブルスーパーヘテロダイン
方式を採用するMW・SW・FMの3バンドラジオです。

 

現在もヤフオク出品の中古品で5000円前後もする
人気製品です。取りあえず曲がったアンテナから直します。

 

ペンチで軽くつかみ、つかむ位置を変えながら
少しずつ修正します。急ぐとボコボコになります。

 

ロッド内に収納できるようになりました。これだけの修理ならば楽勝・・ですが、
先が思いやられます。ラジオの外装表面には何やら得体の知れない汚れが
広がっています。もちろん、汚れが故障の原因であるはずはありません。

 

乾電池を入れてみます。単3
乾電池を2本(3V)使用します。

 

表側カバー前面下部に並ぶ押しボタンが、電源とバンド切り
替えを兼ねています。ボタンの周囲に汚れが詰まっています。

 

裏側カバーを開けます。数か所で
ネジ固定されています。

 

裏側カバーは数か所でツメに
よる軽い篏合があります。

 

内部のユニットは特にネジ固定されて
おらず、簡単に取り出すことができます。

 

表側に返すとダイヤルパネルと指針が見えます。
薄型スピーカーが一緒に外れてきます。

 

内部左側に回路基板、右側が周波数選択機構、下側にタクトスイッチが
並びます。基板上にはIFコイル6個とクリスタル発振子3個が見えます。

 

表側のボタンがタクトスイッチを押し込み
電源やバンドを切り替える構造です。

 

外側ボタン周りの汚れはさておき、肝心の
タクトスイッチの状態を確認します。

 

クリック感が完全に失われ、強く
押し込んでも全く導通しません。

 

タクトスイッチ4個とも、全く機能していません。分解して
修理できる範囲ではなく、新品に交換するしかありません。

 

ダイヤルパネルを取り外します。
汚れや傷が付かないよう留意します。

 
 
タクトスイッチを搭載する小型基板です。精緻に作られて
いますが、メイン基板との接続はまだリボンケーブルです。

 

タクトスイッチが固定されている半田面を
確認します。手作業で交換できるレベルです。

 

タクトスイッチの半田固定(各4か所)を外します。
この肝心な時に、半田吸い取り機が故障中です。

 

1個目を取り外しました。表面実装用に
近い、高さ1.5mmの極薄型です。

 

4個とも取り外しました。しかし、
同等部品が入手できるか不安です。

 

取り外した状態でタクトスイッチの動作を再度
確認してみます。やはり完全に壊れています。

 

タクトスイッチはNO(ノーマルオープン)
なので、この状態で電源を接続してみます。

 

タクトスイッチが押されると、FM受信の場合この2点が
短絡されるはずです。ピンセットの先でショートさせます。

 

あらら、いきなりFM放送が元気よく受信・再生されます。
SONY製ソリッドステートの高い耐久性、回路は無事です。

 

同調ツマミを回して受信局を変えてみます。MW・SW・FMいずれも
問題なく受信できます。評判通り高感度でクリアなSONY音質です。

 

ネットショップを散々探し回ったあげく、表面実装用
(SMD)で高さ1.5mmのタクトスイッチを見つけました。

 

元の位置に置いてみます。SMDなので
端子が短く、基板のホールに届きません。

 

何かスイッチへの配線を工夫しなければ
なりません。取りあえずスイッチを固定します。

 

瞬間接着剤でSMDを基板の所定位置に固定します。
耐熱性に乏しいものの、配線が終わるまで持てばOK。

 

写真右側から、FM、MW、SW、OFFの
機能です。配線作業にかかります。

 

ディスクリート部品から切り
落としたリードを使います。

 

適当な長さに切ったリードを字型に曲げておきます。
タクトスイッチが7mm角、老眼には辛い作業です。

 

字型のまま基板のホールに差し込みます。
バネ様に広がろうとするので落ちてきません。

 

半田面側を横方向に折り曲げておきます。
・・実際にはそのままでも作業できます。

 

字型のままリードを半田付けします。
1本ずつ作業するよりも簡単です。

 

同様にして、クトスイッチ4個分、8本の
字型リードを先に半田付けします。

 

もちろんこのままで良い訳はありません。
タクトスイッチが4個とも同時にONの状態です。

 

部品実装面側に出ている字型リードを
タクトスイッチの端子側に折り曲げます。

 

端子と2mmほど重なる長さ・
位置でリードを切断します。

 

タクトスイッチの端子に接触する
まで、さらにリードを折り曲げます。

 

接触部分を半田付けします。裏側の半田
付けが溶け出さないよう、一瞬で作業します。

 

1個目タクトスイッチの4本の端子にリードを接続しました。タクト
スイッチの本体(金属部分)に接触していないか、ルーペで確認します。

 

個目以降も同じように
リードに接続していきます。

 

4個とも接続作業を終えました。外観的には上手く
いったように見えますが、機能しなければダメです。

 

リードを接続した状態で、各タクトスイッチの
導通(押下時)と非導通(開放時)を点検します。

 

電源を接続し動作確認を行います。
問題ありません・・当たり前ですが。

 

小型基板を元の位置に戻します。同調機構に
僅かでも干渉しないよう慎重に組み込みます。

 

ダイヤルパネルを戻します。予め
細かな埃を落としておきます。

 

傷みの進んだ外装を何とかしたいものです。スピーカーグリルの
パンチングメタルは、塗装が剥げ落ちサビが広がっています。

 

固定のため折り曲げてあるツメを起こします。
無理すると折れてしまうので慎重に作業します。

 

スピーカーグリルは金属製なので、樹脂製
本体と別にしなければ補修できません。

 

取り外したパンチングメタルです。ひどく
汚れていますが、幸い傷や変形はありません。

 

ペーパーをかけて塗装もろともサビを
落とします。金属の光沢面が出てきます。

 

元と同色のブラックを吹き付けます。
スプレー缶を温めて霧を細かくします。

 

パンチングの目が細かいので、一度に多く
吹くと、すぐに塗料で目詰まりします。

 

樹脂製の表側カバーをクリーニングします。
クラシックカーのレストアのような気分です。

 

家庭用洗剤とアルコールを併用して表面を拭き上げ
ます。何の汚れなのか不明ですが一挙に落とします。

 

押しボタンの周囲にこびり付いていた
汚れも、ウェスを入れて丁寧にかき出します。

 

アクリルガラスに傷付けないよう優しく
汚れを拭き取ります。透明感が戻ります。

 

塗装が完全に乾燥するのを待ち、
スピーカーグリルを本体に取り付けます。

 

内側でツメを折り返して固定します。万一
破断した場合は接着するしかありません。

 

SONYのクオリティが蘇ってきました。ブラックに
再塗装されたパンチングメタルが精悍です。

 

表側・裏側カバーに内部ユニットを収めて
みます。特に問題ないようですが・・

 

SWバンド切り替えのスライダーが
この状態です。見落としていました。

 

歯ブラシにアルコールを浸み込ませ
溝に入り込んだん汚れをかきだします。

 

些細な汚れが残っていただけですが、目立ちます。
細かく丁寧に仕上げようとすると時間がかかります。

 

回路基板の半田面に貼り付けられて
いた、絶縁保護用のフィルムです。

 

フィルム裏面の接着力が失われている
ので、新たに両面テープで貼り付けます。

 

裏側カバーに取り付けられているロッドアンテナ
です。先に折れ曲がりを修正しておきましたが、
 

表面のメッキに広がる酸化膜を
金属用研磨剤で落とします。

 

メッキ面は比較的簡単に光沢が戻り
ます。一挙に見栄えが向上します。

 

裏側カバーを閉じ、ネジ固定します。
レストア作業も終わりが見えてきました。

 

表側カバー、裏側カバーともにクリーニングした
結果、全体の質感が大幅に向上しています。

 

と、まだ見落としがあります。選局ツマミ
(樹脂製)も汚れに塗れベトついています。

 

ローレット溝に入り込んだ汚れも、最後の仕上げの
つもりで洗剤と歯ブラシで徹底的にかき出します。

 

修理作業を全て終えました。まるで
中古車のレストアのような工程でした。

 

小型ながら高性能・高音質を秘めたSONYの逸品です。往時の姿を
取り戻してみると、いまだ人気が衰えない理由が良く分かります。

 

CSで放送されている「名車再生!クラシックカー・ディーラーズ(Wheeler Dealers)」を
ご存知でしょうか。年代物の中古車を、性能や機能を修復すると同時に、技術を駆使して
限りなく新車時の風合いを復活させる番組です。CS無料放送の日に録りためておき、
時々楽しんでいます。車のような大掛かりな作業ではありませんが、小型の製品でも
失われた機能を取り戻すだけでなく、往時の風貌を蘇らせる仕事はやりがいがあります。

 
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