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住宅用シャッター(雨戸)が開かない(2019.1.28)


シャッターの修理を頼まれました。雨戸代わりに使用される防犯性の高い
住宅用シャッターです。開閉がしにくいそうで、もし巻き上げ機構の分解
整備になると大仕事になります。もちろんシャッターの修理など初めてです。

 

現場に到着するとテクニカルパートナーの
S氏が既に作業を開始しています。

 

室外からシャッターの開閉を確認します。20年近く
使用されてなかったそうで、上下動が重くなっています。

 

それでも力を入れれば何とか開閉できます。
問題は別にありました。シャッターを閉じます。

 

シャッターが閉じていったんロックがかかると、どのように
操作しても開けられなくなります・・力づくで開けます。

 

シャッター下辺の左右に、ブロック状の部品が取り
付けられています。この中にロック機構があるようです。

 

外してみます。ブロック内部に突き
出るように金属製のツメがあります。

 

ロック解除用の操作部は、シャッター下辺の中央にあるこの細長いツマミだけです。
左にスライドさせると「解錠」、右にスライドさせると「施錠」と印字されています。左右の
どちらにスライドさせても、手前に引いてみても、何をしてもロックが解除されません。

 

左右ともブロックの内側にシャフトが出ています。ツマミの
左右スライドと連動しそうですが、実際には動きません。

 

左側に見えるシャッターレールの中に、ロック機構が
隠れているはずです。取りあえず潤滑剤を吹いてみます。

 

潤滑では状況は改善しません。ブロック内に
突き出ているツメを確認します。左右に動きます。

 

ツメのスライドにより、ロックと
解除が切り替わるのでしょうか。

 

そのようなはずはありません。ブロックを固定するネジに
より、ツメも固定されます。1か所でネジ穴が一致します。

 

ブロック部品の内側を確認します。金属板が貼り付け
られており、その一部がバネの役を果たしています。

 

試行錯誤の末、仕組みの解明に辿り着きました。シャッター
下辺にフラップ状の部品があり、丁番により回転します。

 

フラップを手前に引き上げると、左右に延びたシャフトが
ツメを少し回転させます。ツメの回転がロックを解除します。

 

側面から動作を説明します。ロック状態でフラップが下がって
います。フラップが起きないようバネがシャフトを押さえています

 

バネに逆らいながらフラップを手前に持ち上げると
ツメの角度が僅かに変化してロックを解除します。

 

仕組みが分かったところで再度ブロック内を確認してみます。シャフトを押さえ付ける
バネを押し込むと、元に戻ってきません。ブロックの内壁にバネが引っ掛かって
いるからです。よく見ると、ブロックに対して金属板が僅かに傾いています。その結果、
ツメが収まる溝内に金属板の一部が出ており、明らかにツメの出入りを妨げています。

 

金属板の貼り付け位置を色々修正してみるも、
改善に至りません。金属板を取り去ることにします。

 

シャフトはバネで押さえ付けられなくなりますが、
フラップは勝手に回転するほど動作が軽くありません。

 

シャッターを閉めると自動的にロックがかかり
ます。フラップに手をかけ手前に引き上げると・・

 

簡単にロックが解除され、
シャッターが開きます。

 

屋外天袋内に組み込まれているシャッター巻き
上げ機構は、今回は修理する必要はなさそうです。

 

左右のシャッターレール内に、
オイルを吹き付けておきます。

 

シャッターの開閉がかなり軽くなりました。「開閉のたびに腰が痛くなる」とご依頼主が
おっしゃっていました。冬季の夜間はシャッターによる断熱効果もある程度期待できます。

 
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