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ヘアドライヤー2台を連続修理(2018.9.27)


個人の方からヘアドライヤー修理のご依頼で、2台まとめて送られてきました。
1台はスティックタイプ、もう1台は業務用と思われるパワフルなタイプです。

 

スティックタイプはファッショナブルなローズ色、
松本市に工場を持つTESCOM社の製品です。

 

女性が前髪などを整える際に
使いやすい形状・デザインです。

 

温冷風の吹き出し口です。電源を入れても何も
反応しません。どこかで断線しているのでしょう

 

後部のキャップが外れる構造です。
内部に埃が溜まって(詰まって)います。

 

修理前に埃を片付けてしまいます。
掃除機で丁寧に吸い取ります。

 

ほぼ完全に除去できました。
スリットの隙間から内部が見えます。

 

外部から引き込まれた電源を、さらに内部へ接続するコードが見えます。
よく見るとオレンジ・白いずれのコードも、接続が切れて遊んでいます。

 

早々に断線箇所が見つかりましたが・・、何と本体が
分解できません。ネジによる固定が見当たりません。

 

ツメによる篏合にしては篏合が固過ぎます。
どうやら接着剤が使われているようです。

 

無理に分離すると樹脂製本体カバーを破損させる
危険があります。電源コード付け根のキャップを外します。

 

コードがねじれないよう電源コード付け根は
自在コネクターを介して接続されています。

 

キャップを外すだけでコネクターが抜けてくるはず
ですが、本体内に押し込まれており固着しています。

 

本体カバーの合わせ目にドライバーを差し入れ、
隙間を広げた状態で内部のソケットごと引き抜きます。

 

内部に残されている電源の引き込み線を、
スリットの隙間から外へ取り出します。

 

この2本が内部ソケットの端子に
接続されていたはずです。

 

本体が分解できない以上、このまま
では接続し直すことは不可能です。

 

本体の外でソケットに接続できるよう、
引き込み線を延長することにします。

 

コードの末端を丁寧に処理し、半田
付けによりしっかり接続します。

 

接続部分を露出させておくわけには
行かないので、チューブで保護します。

 

接続部分に熱収縮チューブを被せ
ます。接続部分の補強も兼ねます。

 

熱を加えて接続部分の
前後に密着させます。

 

延長された内部引き込み線を、後部の電源引き込み口から
外に引き出します。これでソケットとの接続が可能になります。

 

ソケット端子と接続できるぎりぎりの長さに切り詰めます。
端子にスパーク吸収用のCRが取り付けられています。

 

半田付けにより確実に接続します。本体が分解
できていれば余裕を持って作業できたはずです。

 

再びドライバーで隙間を広げ、ソケットを所定位置
まで押し込みます。ツメが噛み合い固定されます。

 

スリットの隙間から内部引き込み線の状態を
確認します。上手く収まっているようです。

 

電源コード側のコネクター先端です。
電極が汚れ接触不良を起こしています。

 

表面をヤスリで研磨し
汚れを落としました。

 

ソケット側の受け端子金具を点検します。接触
不良を起こさないよう間隔を狭めておきます。

 

電源コードのコネクタを差し込み、一度動作確認
してみます。接触不良の心配はありません。

 

コネクタの脱落防止キャップを元通り嵌め込みます。
本来はこの状態に組み立てられていたはずです。

 

修理完了です。本体が分解できず難儀しましたが、
引き込み線を延長することで解決できました。

 

もう1台のヘアドライヤー修理にかかります。こちらも電源コードの本体付け根部分に問題を
抱えています。以前に修理を試みたようで、ビニルテープがぐるぐる巻きにされています。。

 

取りあえずビニルテープを取り除きます。外観
からしてこのあたりで内部断線していそうです。

 

断線部分を切り落とし、電源コードを引き寄せて
接続し直さねばなりません。本体を分解します。

 

グリップ部が前後に分離し、
後部側カバーが外れてきます。

 

電源コードの引き込み状態です。
何となく違和感が漂います。

 

電源コードの固定クリップを取り外します。後で
差し込みプラグ方向に20cmほど切り落とします。

 

内部に引き込まれた直後に、何故か
半田付けによる接続箇所があります。

 

危険なことに、半田付けされた部分は
何ら保護されておらず露出状態です。

 

その先は金具によるカシメ接続で、
熱収縮チューブにより保護されています。

 

もう1本は内部の端子に直接半田付けされています。
しかし、製造元の実装作業によるものとは思えません。

 

電源コードの接続を2本とも切り離しました。
引き寄せた断線のない部分を接続し直します。

 

取り出した元の電源コードです。内部断線箇所はもう少し手前部分にあり、
そこを含む20cmほどの範囲を切り落とすことで、不具合を全て解消します。

 

電源コードの一方を半田付けにより接続します。
コードの太さの違いから圧着金具が使用できません。

 

半田付けの上に熱収縮チューブを被せ
危険のないようしっかり絶縁保護します。

 

他方の電源コードを端子に半田付けします。固定クリップを取り付けて不具合個所の修理
完了です。電熱器具のコード接続は、ことさら確実・入念に作業する必要があります。

 

安定した大風量を得るため、後部ブロアは斜流ファンに
安定羽根を組み合わせた構造です・・が、埃だらけです。

 

掃除機で徹底的に吸い取ります。
分解しない限り手が届かない部分です。

 

本体を元通り組み立てます。説明が後になりましたが、
ToricoIndustries社製、AIVIL AirBeat1400です。

 

届いた時点から憂鬱に思っていたのが、この
コードのヨレです。断線の大きな要因になります。

 

折角ご用命下さったのですから、腹を決めてヨレを修正します。
修正方法は企業秘密です。2台を梱包しご依頼主に返送します。

 
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