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縦型ブラインド修理(2018.12.26)


高齢者施設内食堂ホールの大きな掃き出し窓に取り付けられている縦型ブラインド
です。スマートなデザインで見栄えがよろしいのですが、常に円滑な動作を保つには
定期的な保守点検が不可欠です。また、補修用部品の入手が簡単ではありません。

 

状態を点検してみます。チルトコードを操作してルーバーを回転させると、ルーバーにより
回転状態がばらばらです。最後の1枚が開き切る、あるいは閉じ切るまで何度もコードを
操作しなければなりません。チルトロッドがランナーを正確に回転させていないようです。

 

次に、開閉コードを操作してルーバーを中央から左右に収納し、再び中央に寄せて
みます。数か所でルーバーが取り残され、外光を遮蔽できない部分があります。

 

注意しながらチルトコードや開閉コードを操作すると
所々でコードが引っ掛かり重くなる部分があります。

 

チルトロッド、開閉ロッドともに、金属表面の
汚れや腐食、潤滑油切れがあるようです。

 

ヘッドレールを外さないと点検も修理も
出来ないので、天井高から床に下ろします。

 

片側だけで20枚近くあるルーバーを全て取り外しました。
今回はパートナーの方に作業の補助をお願いしています。

 

ルーバーの先端には、このような
金属製フックが取り付けられています。

 

フックはランナーから出ている金属製ハンガーに吊り下げ
られます。ハンガーはチルト機構により約180度回転します。

 

ネジ固定されているヘッドレールを取り外し、床面に下しました。
ランナーが取り残される原因を、この状態で調べます。

 

隣り合ったランナー間を連結しているのは、この樹脂製の部品です。
スペーサーリンクと呼ばれています。取り残される原因が間もなく判明
しました。スペーサーリンクが外れ、後続のランナーを牽引していません。

 

ヘッドレール内には2本のロッドが組み込まれて
おり、1本はルーバーを回転させるチルトロッド、

 

もう1本はランナーを移動させるスクリューロッド
です。ヘッドレールから引き出す必要があります。

 

ロッドは2本ともサイドカバーを突き出たところで、
内歯型歯付きワッシャーで固定されています。

 

歯付きワッシャを引き抜き、
サイドカバーを外します。

 

スクリューロッドはブラインドの左右でネジ切り方向が
異なるため、中央で2本が突き合わされています。

 

アルミ製スリーブで連結され、周3か所で
6角止めネジにより強く固定されています。

 

ランナーとともにロッドを引き出し、スペーサー
リンクが外れている部分を探し出します。

 

手前のランナーに固定され、後続する次の
ランナーを一定間隔で牽引する仕組みです。

 

被牽引側のランナーでは、スペーサーリンクはツメの間をすり抜けることが出来ます。
スペーサーリンク端のストッパーがツメに掛かると、一定間隔で牽引されて行きます。
スペーサーリンクに捻れた痕のような傷があるのは、かなり強い力が加わった結果と
見られます。ストッパーは強引にツメをすり抜けて外れたようです。強い力の原因は、
ロッド表面の酸化(腐食)が進んだことで摩擦が増大し、無理に開閉しようとしたため
でしょう。スペーサーリンクを元の位置に戻し、ロッド全体に潤滑剤を吹き付けます。

 

スペーサーリンクの修理を終え、ランナー・ロッドをヘッドレール
内に戻します。最後尾ランナーが移動しないよう固定します。

 

2か所のブラインドの一方では、片側の
サイドカバーが脱落・紛失しています。

 

補修部品の入手は困難なので、
ビニルテープを当てて処置します。

 

ヘッドレールを元の位置(天井高)に戻し、
外しておいたルーバーを1枚ずつ取り付けます。

 

試しに開閉してみます。ロッド表面の潤滑が
回復し、実にスムーズです。滑るように開閉します。

 

縦型ブラインドの欠点として、ルーバーの裾を連結するボトム
コードが簡単に切れます。パートナーの方に交換してもらいます。

 

ボトムコードは床面近くに取り付けられているので、近付いた際に足で
踏みつけがちです。ボトムコードが略されたタイプも市販されていますが、
やはり取り付けられていた方が裾が安定し、開閉動作もスムーズです。

 

外観や操作性に優れた縦型ブラインドですが、水平型ブラインドに比べると製品価格、
設置費用ともに高価です。また、ひとたび不具合が生じると修理費用や補修部品も
高くつくようです。天井高での作業は危険も伴います。ロッドの潤滑が保たれていれば
不具合を大幅に低減できるので、定期的に潤滑剤を吹き付けることをお勧めします。

 
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