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ガス風呂給湯器のメンテ(2020.11.20)

 
新築以来30年以上を経た浴室です。平成18年の年末に突然給湯器が故障し、
業者に新しく交換してもらった以外は、特に問題もなく使用してきました。ところが、
2・3年前から追い炊き時に湯垢が混入するようになり、何度か風呂釜洗浄剤を
使ってきました。追い炊き用の配管経路から剥がれ落ちるのか、一時は茶褐色の
湯垢が循環口から大量に吐き出されていました。その後、茶褐色の湯垢は一段落
したのですが、前日・前々日の残り湯を沸かし直すと、今度は白~透明の濁りの
ような湯垢が混じるようになりました。ネットで調べると、専門業者に専用洗浄機を
使って配管を徹底的に洗浄してもらう必要がある、などと説明されていますが。
 

水面から撮影してもなかなか写りません。浴槽の
底近くに集積し、水面に浮いてくることは稀です。


2・3日放置しておくと急激に増えて浴槽全体が濁ります。
特に毛髪などにまとわりつきながら増殖するようです。

 

ネット情報を信じれば、この循環口の
奥は大変なことになっているはずです。

奥を確認するため、手回しで脱着できるフィルターを
外し、現れた3本の取り付けネジを緩めてみます。

 

分解できたのはフィルターを固定するガイド部分のみで、
循環アダプター自体は浴槽の外側から固定されています。

 

フィルターガイドにはお湯の「往き」と「戻り」を分離する機能が
あります。金属リングの内側に少し湯垢が付いています。

 

浴室の屋外壁面に給湯器が設置されています。
内部の追い炊き用配管経路を点検してみます。

 

リンナイ製RUF-A1610SAW(都市ガス用)、14年も
経過していますがネット上に関連資料が十分残っています。

 

本体の底面を確認しますが、まだ配管の区別が
分かりません。化粧巻きがボロボロに劣化しています。

 

あまりにも外観が酷いので、作業の
ついでに化粧巻きを新しくする計画です。

 

余っているコード類の処置がこの状態
です。施工時の雑な作業を想像します。

 

コードが必要以上に長いことも原因ですが、
もう少し見栄えよろしくまとめたいものです。

 

保管されていたRUF-A1610SAWの取扱説明書を確認します。
凍結防止用に配管内の水抜きをする際の手順が説明されている
ページです。左上図で当該機の各配管配置を確認出来ます。
 

近接しているこの2本が「往き」と「戻り」の配管
です。2本がまとめて化粧巻きにされています。
 

専門業者の仕事に文句を言うつもりはありませんが、
もっと丁寧な(に見える)作業は出来ないのでしょうか。
 

古い化粧巻きを取り去りコードを引き離すと
断熱材(チューブ)に覆われた配管が現れます。

 

「往き配管」も「戻り配管」もいったん
地中に潜って屋内(浴室)に入ります。

 

壁面にある浴槽点検口です。
あらためて内部を覗いてみます。

 

浴槽の短辺側側面が見えます。中央に循環アダプタ、
左右のフレキシブル配管は温冷水の給水管です。

 

ここで忘れてはいけない大事な作業、水道の元栓を
閉めておきます。忘れると周囲が水浸しになるでしょう。

 

往き配管、戻り配管以外は、水道給水管、給湯管、
ガス管、接続コード類です。理解できると簡単です。

 

手始めに「往き」・「戻り」の水抜き栓を確認します。
緩めると内部に残っていた水が出てきます(正常)。

 

ですが、水抜き栓内にくり抜かれた流路には何かが
詰まりかけています。虫が入り込んだのかも知れません。

  

いよいよ追い炊き用配管の点検に入ります。
先に手前側、「戻り配管」の接続ナットを緩めます。

 

青いノンアスベストパッキンを挟んでいます。
給湯用なのでゴムパッキンは使用しません。

 

さて、配管の口から内部を覗き込んでみますが、取りあえず見える範囲内
にはスラッジなどの汚れや湯垢は見当たりません・・綺麗なものです。

 

もう1本の「往き配管」を外します。ネット情報では
往復の配管内にもそれなりの汚れがあるはずです。

 

これで浴槽と給湯器をつなぐ配管内を
しっかり洗浄することが出来ます。

 

往き配管と戻り配管に直接水道水を流し込みます。
ポンプによる循環よりもはるかに高圧で通水出来ます。

 

通水しながら浴槽側を確認します。
期待に反して何も出てきません。

 

以前の浴槽洗浄により、少なくとも配管内は綺麗になって
いたということでしょうか。次に給湯器本体内を点検します。

 

左側手前に取り付けられているのが追い炊き用循環
ポンプです。真下に「戻り」配管が接続されています。

 

循環ポンプが浴槽から汲み上げたお湯が
右側に導かれて追い炊きボイラーに入ります。

 

配管接続口から水道の圧力で水を流し込みます。
残っている汚れの大方が洗い流されてくるはずです。

 

散水シャワーを最も圧力が高いストレートにセットして水を
流し込みます・・が、元の綺麗な水道水しか出てきません。

 

「往き」・「戻り」どちらから流し込んでも、勢い良く水が
出てきます。流路にはほとんど通水抵抗がありません。

 

念のため循環ポンプを分解して
その内部を点検してみます。

 

IN-OUTを分離するセパレータ
パッキンです。汚れも損傷も見当たりません

 

よく見ると、ブレードの隙間に毛髪が引っ掛かり、
僅かに湯垢が残っているのがわかります。

 

経路や構造が単純なボイラー部配管内が汚れている可能性は
まずありません。結論は・・給湯器内部は汚れていません

 

それが何かは不明ですが、湯垢が発生する
原因は給湯器以外にあるということです。

 

循環ポンプを元通りに組み立て、
本体や配管接続も元に戻します。

 

作業ついでの2次的な目的でしたが、配線コードを
見栄え良く始末し、化粧巻きを新しくします。

 

化粧巻きが新しくなりコード類も片付いた結果、給湯器の外観は劇的に
美しくなりました。しかし、酷い湯垢の発生は原因が分からず、当然防止
対策が何も出来ていません。その後も色々と調べてみたり、発生の様子を
注意深く観察してきたところ、以下のような結論に辿り着きつつあります。

状況として
・追い炊き配管の経路に著しい汚れや湯垢の発生はない。
・少し前に浴槽および配管の洗浄を行ったので、その効果が出ているのではないか。
・その後も2・3日経過した残り湯には多くの湯垢が発生する。
・湯垢は循環口から出てくる、つまり給湯器内で発生している様子がない。
・循環口の取り込み側(往き側)に取り付けられているフィルターに湯垢が付く。
・湯垢はほとんど浴槽内で発生していると考えられる。
・その湯垢は以前のように水面に浮くことは少なく、多くが底に沈んで蓄積する。
・湯垢の発生原因は、通説通りバクテリアが皮脂などを分解することによると考えられる。
・生息するバクテリアの種類や分布が以前と異なっているのではないか。
・経年劣化のため、樹脂製浴槽の表面にバクテリアが定着しているのではないか。

対策として
・風呂水清浄剤(ふろ水〇ンダーなど)を使用する。実際に投入してみると湯垢がほぼ発生しない。
・清浄剤を投入しないと途端に湯垢が発生するので、清浄剤の効果はバクテリアの活動抑制に留まる。
・殺菌剤による浴槽の除菌処理を行いバクテリアを死滅させる。
・高温スチーム洗浄を行いバクテリアを死滅させる。
・浴槽の塗装処理(抗菌塗料使用)を行い、バクテリアが定着する表面浸蝕を解消する。
・浴槽を交換(浴室をリフォーム)する。


ネット上には浴槽洗浄剤の広告が溢れています。多くの方が既に、あるいは
定期的に使用されていると思います。次に、追い炊き配管系の汚れに関する
説明が多く、それらは専門業者による広告であり特別な洗浄作業を勧めます。
多くの場合、業者の勧める通りにして問題が解消するでしょうが、少なくとも
ここで紹介した例に対しては効果がないと思われます。劣化の進んだ浴槽に
バクテリアが棲み着いているなど、ネットを検索する限りそのような説明は
見当たりません。あくまでも一見解であることをご了解下さるようお願いします。

 
 
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