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パイオニアPD-F25A用ピックアップ(2021.12.21)

 
パイオニア製CDチェンジャーの修理が入りました。ピックアップの交換が
必要と判断し、予め該当部品を調べておきました。すんなり判明したので
安直にお引き受けしたのですが、作業を始めてみると厄介なことに・・・。
 

送られてきたのはパイオニア製PD-F25A
CDを25枚セットできる連装チェンジャーです。

 

収納枚数の違いによりいくつかモデルがある
ようです。中古品でも根強い人気があります。

 

昔のレコードジュークボックスのCD版
です。そのメカ構成に興味津々です。

 

本体前面の透明フードを跳ね上げて
25枚のCDを横方向に並べて入れます。
 

カバーが外れると、CDを収納する
ラックを内側から確認できます。

 

CDラックの奥にデッキが控えています。
底部のレールに沿って左右方向に移動します。

 

任意のCD位置まで正確に移動し、上下2本の
アームが働いてCDをデッキ内に取り込みます。

 

隣り合ったCDの間隔は約6mmで、巧妙に工夫
された機構により高精度で位置を合わせます。

 

CDデッキの左右移動は全く正常です。デッキ
内に組み込まれたピックアップを目指します。

 

底部のレールに並行するラックギヤに、デッキ側の
平ギヤが噛み合い移動させます。レールを取り外します。

  

レールは太いスチールシャフト製です。高い
剛性でデッキをスムーズに移動させます。
 

シャフトを両端で固定して
いるホルダーを外します。

 

シャフトごとデッキが外れてきます。
CDを跳ね上げる下側アームが見えます。

 

左右に移動するCDデッキを支えるシャフト
です。これだけ太いと撓む心配がありません。

 

本体側の制御回路と接続する
FFC(フラットケーブル)です。
 

ロックを解除してケーブルを抜きます。解除しなくても
抜き差しできるので、あまりタイトなロックではありません。

 

取り出したCDデッキです。CDドライブ部分は一般的な機構ですが、
レールに沿ってデッキ全体が左右に移動し、ラック内に6mm間隔で
並ぶCDいずれか1枚の位置で正確に停止します。底部に組み込まれた
モーターと平ギヤにより駆動されます。上下2本のアームが取り付けられて
おり、下側アームがCDを押し上げてドライブ内に取り込みます。演奏後は
上側アームがCDを押し出しマガジンに戻します。複雑極まりない装置です。
 

CDを出し入れする際にカバーが開閉します。そこに
マグネット式のスピンドルキャップが取り付けられています。
 

反対側は、ピックアップ、スピンドルモーター、
トラバース等を含むドライブユニットです。

 

ドライブユニット側を脱着する必要があります。
しかし、固定箇所や方法が皆目分かりません。
 

破壊寸前まで力を加えて、突起の
入り込みやツメの噛み込みを解除します。

 

サービスマニュアルがあれば
危ない橋を渡らずに済むのですが。
 

の奥にも突起と軸受けがあります。
何とか壊さずに解除できそうです。

 

この基板の表側にはアーム位置検出用の
タクトスイッチが2個取り付けられています。
 

基板から延びるフラットケーブルが
邪魔なので、基板ごと外します。

 

タクトスイッチを押し込む突起が見えます。
不必要に触らない方が身のためです。
 

電源スイッチを出た他方1本との間で、電圧を
確認します。ヒューズ入り口は100Vです。
 

ピックアップ基板に接続されるFFCです。
先にコネクタから抜いておきます。
 

いい加減に外れてきて欲しいのですが、
まだ何かが干渉しているようです。
 

部品同士の当たりを探っていくと、この金属
プレートがスピンドルと干渉しています。

 

プレートの役割は・・分かりませんが、
取りあえず外して先に進みます。

 

ようやくドライブユニットが持ち上がってきます。
他にケーブル接続が残っていないか確認して、

 

ドライブユニットを完全に分離します。
試行錯誤を繰り返す長い道のりです。

  

ユニットを表側に返すとピックアップが出現します。パイオニア独自の
設計による、明らかにひと味異なる部品構成です。トラバースを含む
金属製シャシーと、外側の樹脂製ホルダーの2重構造で、両者は
4か所の軟質ゴム製インシュレータでつなぎ留められています。
 

金属製シャシーからインシュレータを
外します。溝に差し込まれているだけです。

 

シャシーに取り付けられたジュラコン製部品により、
トラバースやスピンドルモーターが保持されています。

 

ジュラコンのロックを解除し
トラバースのシャフトを抜きます。

 

シャフトが抜けるとピックアップは
保持を失って落ちてきます。

 

目標のピックアップに辿り着きました。
修理と言ってもこれを交換するだけです。

 

これまで様々なピックアップを交換して
きましたが、まだ見たことのない型です。

 

レンズ部分を点検すると、表面がやや曇っていることが
分かります。クリーニングで復活するかも知れません。

 

レザー出力調整用のトリマーもあります。が、
経年劣化しているはずなので交換します。

 

ピックアップ型番を確認すると「CMK-54XT」とあります。検索すると
数多くヒットし、そのほとんどが販売サイトです。製造メーカーを調べるも
パイオニア製と説明しているサイトは皆無で、「for PIONEER」つまり
パイオニア用としか説明されていないか、「unbranded」ノーブランドです。

 

PD-F25Aの修理は京とんび様が
事例として取り上げておられます。

 

記事中で「CD光ピックアップCMK-54XT(違う
ことが判明。型番不詳)」と説明されています。
 

ピックアップに刻印されている型番が間違いなくCMK-54XTであるのに、
「違うことが判明」とは不可解です。さらに詳しく読ませていただくと、別の
記事で同じくパイオニア製PD-F51の修理が取り上げられています。CD
51枚を収納できるこの製品にもCMK-54XTが使用されており、ここでは
違うことが判明→PEA1319」と説明されています。そうならば、何故
現状としてそのPEA1319が実装されていないのか・・、分かりません。

 

B級オーディオファンというこちらも秀逸なWEBサイトが
あり、各メーカーCDピックアップを解説されています。

 

パイオニア製ピックアップの中に辛うじてPEA-1179
紹介があります。おそらく同じシリーズで外観がそっくりです。

 

しかし、PEAのシリーズなどどこにも見当たりません。
元がCMK-54XTなので、素直に同型番を入手します。

 

CMK-54XTはAmazonで扱いがあり
あっさり手に入ります。驚くほど高額ですが。
 

元のピックアップと並べてみると全くの
同型で、何ら相違が見つけられません。

 

京とんび様の説明は何かの間違いではないか、
と思いつつ新しいピックアップに交換します。
 

金属製シャシーをホルダー内に収め、
4個のインシュレータを嵌め込みます。

 

分解作業の逆手順・・とは言え、
組み立てもまた長い道のりです。

 

CDデッキを本体内に戻します。全面カバーが開いた
状態・・ラックが跳ね上がった状態でセットします。

 

太いスチールシャフトを通し、両端を
ホルダー金具で固定します。

 

CDデッキの初期位置を、1枚目の
CDを取り込むよう左端に寄せます。

 

FFCの接続を忘れていました。ロックが
緩いので直接差し込んでしまいます。

 

CDチェンジ操作が正常に機能することは
確認済みです。左端に1枚だけセットします。

 

全面フードを下げるとCD
デッキがスタンバイします。

 

電源を入れ再生ボタンを押してみると・・、1枚目CDが取り込まれるも
回転し始めることなく間もなくラックに戻され、2枚目CDを取り込もうと
します。以後、1枚目は読み出し不能と記憶されるらしく電源を切らない
限り1枚目は選択できなくなります。さて、入手したCMK-54XTは
不良品だったのか、いや京とんび様の指摘通りPEA1319とやらを
入手するしか方法がないのでしょうか。PEA1319の検索結果は、
怪しい海外サイトで25000円もしたり、パイオニア製のピックアップ
Assy(アセンブリ)製品名であってピックアップ単体の型番ではない
情報もあります。修理不能とするにはまだ早い気がしてなりません。

 

気を奮い立たせ、ピックアップを取り外して
もう一度新旧2個を並べ、違いを探します。

 

やはり外観は全く同等でした・・、CMK-54XTに
続く製品型番の詳細が同じではありません。

 

元のピックアップは、CMK-54XTに続いて「PNP1344-A」、さらに
PWX1294-」とあります。Amazonで入手した新品は「PNP1245-F
さらに「PWX1190-」です。製造ロットの違いか他メーカーによる互換品
くらいにしか思わないところですが、両者間で唯一異なる点に違いありません。
CMK-54XTを隣国Chinaの通販サイトで調べると、何と50件近い商品が
ヒットします。よく見ると、CMK-54XTに続く型番が商品によって異なって
いることが分かります。そこで、それらを1件ずつ丹念に開いて調べていった
ところ、「PNP1344-A」と「PWX1294-」がいずれも一致する商品を
ひとつだけ見つけました。1か月近くもかかり、ようやく配送されてきました。

 

長い道のりなんざぁ言っておれません。
届いたピックアップに交換します。

 

これでうまく行かなければ、折れた心が修理
不能です。電源を入れ再生ボタンを押します。

 

パイオニア製CDチェンジャーPD-F25A復活です。CDの読み出しは
快調そのもので安定しています。CDを複数枚入れておくと、再生が
終わるたびにCDを自動的に出し入れし、その動作の巧妙さは眺めて
いて飽きません。それにしてもピックアップの型番特定には参りました。
最初から寿命があることが分かっていて、(予定通りに)経年劣化した
部品を交換できれば、問題なくもうひとサイクル使用できるわけです。
電熱器具や電動機械のように危険が増すはずもなく、そのような製品の
消耗品的な部品を、製造元は何故長期間供給し製品をサポートしない
のでしょうか。最低限の義務+責任として、補修用部品の型番くらいは
分かりやすく開示しておいて欲しいものです。で、CMK-54XTに続く
「PNP1245-F」「PWX1190-」が何なのか、興味が尽きません。

 
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