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4WDバギーGPTOYS-S606(2018.5.2)


連休さなかの守谷おもちゃ病院、直接持ち込まれる方が多く、参加ドクター全員で
フルに修理に当たりました。手にした瞬間、おもちゃの域を完全に超えていることが
分かる4WDバギーですGPTOYS(中国広東省汕頭市)のRC Vehicleシリーズ
箱のシールにはS608とありますが、写真からしてAfterShockS606です。

 

ご依頼の方(所有者)はおそらくAmazon辺りで購入されたのだと思います。
外側ボディーが取り外された状態で持ち込まれ、剥き出しになった前後輪
サスペンションの精巧さに驚かされます。精密なパーツが精巧かつ堅牢に
組み上げられています。他のどの部分にもおもちゃらしさがありません。

 

YoutubeにアップされているS606のレビューです。実走行で何と55km/hもの
速度が出るそうです。生半可な走行系ではこれだけの踏破性が得られないでしょう

 

おもちゃのくせに4輪独立懸架の4輪
駆動、何とダブルウィッシュボーン式

 


モーター外側に付いているこの冷却フィン様のパーツ、
良く見るとアルミ製ヒートシンクで本当に冷却しています。

 

ラジコンコントローラーを操作すると、前後進でモーターが
勢いよく回る音がしますが、ホイールは駆動されません。

 

ギヤ伝達のどこかにトラブルがあるようです。ギヤ
ハウジング内部にアクセスする必要があります。

 

ギヤハウジング周囲にサスペンション関連パーツが数多く
取り付けられています。取りあえずスプリングを外します。

 

ギヤハウジングは上下方向に4本のネジで
固定されています。ボディ後方の2本を緩めます。

 

ボディ内側の2本も緩めます。が、
まるで分離する気配がありません。

 

ボディ周囲に沿って上部を補強しているメタル
プレートが干渉しています。6本のネジを緩めます。

 

ステアリング機構が入るボックスを固定している
プレートです。わずかにメタルプレートにかかります。

 

樹脂パーツはどれも精密インジェクションに
よるポリカーボネート樹脂製かと思います。

 

メタルプレートが外れてきます。厚みが
ありボディの剛性向上に貢献しそうです。

 

スプリングの上部を固定していたステーを外します。
テールウィングを取り付ける突起が見えます。
 

この段階でギヤハウジングがいくらか持ち上がります。
しかし、途中でサスペンションアームに阻まれます。
 

ロワーアームを分解することにします。
先に底側の固定プレートを外します。

 

ロワーアーム固定ピンの脱落防止用です。底面
中央部もメタルプレートにより補強されています。

 

ロワーアーム固定ピンを引き抜きます。
実車の整備をしているかのような様相です。

 

ロワーアームが完全に分離し、これで
ギヤハウジングが分解できるはずです。

 

何と自在継ぎ手を介したドライブシャフトを装備して
います。さすがに等速ジョイントまではいきませんが。

 

ギヤハウジングを分離したところでまた驚きです。ギヤは全てメタル製です。
アクスルにはベアリングが装備され、駆動時の摩擦を徹底的に排除しています。

 

アクスルを取り出して左右軸を回転させてみると各々別個に回転します。
内輪差を解消する差動装置つまりデファレンシャルギヤを内蔵しています。

 

驚きの連続で修理がどこかに行っています。不具合の原因は
簡単です、モーター軸がピニオンギヤ内で空転しています。

 

完全に空転しているため、前後進状態で
モーターは最大限勢い良く回転します。

 

モーターは簡単なマウントを介してボディに固定されています。
モーターの下に前輪に駆動力を伝達するシャフトが見えます。

 

マウントはさらに2本のネジで
モーター正面に固定されています。

 

マウントが分離し、モーターとピニオンギヤに
直接アクセスできる状態に辿り着きました。

 

ピニオンギヤは指先で簡単に抜けて
きます。元は圧入されていたのでしょう。

 

圧入されていたものの修復は簡単ではありま
せん。新しい金属用強力接着剤を使用します。

 

「溶接に代わる」触れ込みで、最近活躍する場面が増えて
います。溝加工のあるモーターシャフト表面を脱脂します。

 

ピニオンギヤも丁寧に脱脂し、穴の
内部に接着剤を十分入れ込みます。

 

モーターのシャフトにも接着剤を
塗り付け元通りに差し込みます。

 

モーターシャフトの表面に溝が刻まれていたので、ここに接着剤がまとわり
つくことで十分な接着力が得られるはずです。実際に固化してみると、
「二度と抜けないのではないか」と不安に思うほど強力に付いています。

 

修理完了です。工房の室内で試運転をしてみますが、体育館でもない限り室内で
走行させることはとても無理です。持て余すほどの加速で壁に当たるばかりです。
仮に広いスペースを得たとしても、瞬時に視界から遠ざかってしまい楽しみようが
ありません。ビデオカメラを装備したドローンが歓迎される理由が分かります。

 
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