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小型DCジャックの半田付け(2016.03.17)

今週定例の「守谷おもちゃ病院」で2件目に担当した玩具です。
高度に設計された2重ローターで飛行するヘリコプターです。
 

「玩具」と呼ぶ理由が分からないほど巧緻性に富んだつくりをしています。
とりわけローターのバランス機構が巧妙にデザインされています。
 

手強い修理物件だなと思いつつ、充電アダプタが差し
込めないだけのトラブルと聞き、まずは本体を分解。
 


手持ちの中で最も細い精密ドライバー
(+)が、何とかネジ穴に入りました。
 

本体カバーが外れると、中からパーツが落ちて
きました。分解前から何やら音がしていました。
 


超小型のDCジャックです。充電アダプタが差し
込めない(充電できない)理由が分かりました。
 

表面実装のチップ部品が並ぶ中に、半田が盛られたランドが4カ所見えます。ここから
DCジャックが脱落したようです。相当の力が加わり、半田がもぎ取られたようです。
 

本体内に脱落していたDCジャックを半田付け箇所に当てて見ます。幸い
端子形状がパーツの両側に足を広げているので、半田鏝が届きそうです。
 

先輩ドクターからお借りした高級半田鏝です。
先端の形が実に使いやすくできています。
 


ランドの損傷を最小限にするため、1回の加熱で半田付けを
終わらせたいものです。残っている半田の高さを揃えます。
 

物理的な力で引きちぎれたため、DCジャックの
端子にも半田が不規則に残っています。
 

 
基板上のランドと同じように半田の
高さ(厚み)を揃えておきます。
 

半田の吸い上がりを良くするため、
端子の先にペーストを少量塗り付けます。
 


DCジャックの向きを微調整しながら半田付けします。
プッシュスイッチに挟まれた1カ所はぎりぎりです。
 

うまく作業できました。半田の肉盛りも丁度良いようです。ローターの特性に
自立性を持たせているためか、モーターの制御系は意外とシンプルです。
 


DCジャックの差し込み口が、本体の切り
欠きの位置に合っていることを確認します。
 

1mmの微小ネジを締めて、
本体を元通りに組み上げます。
 

充電器(コントローラ)のプラグを立てて本体に
差し込み、内部のキャパシタに充電します。
 

コントローラのボタンを押すとローターが勢い良く回転します。
反転式2重ローターはバランスが取れて実にスムーズです。
 

シンプルかつ高精度の設計と部品構成により、見事に
自立飛行します。やはり「玩具」と呼ぶ理由が・・・、

 

元のパッケージに大事に保管されていたことも
修理の成功につながっていると思います。

 
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