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西部警察サファリ4WD(2018.10.3)


ドクター一同が驚嘆の声を上げるおもちゃが舞い込んできました。石原裕次郎、渡哲也、
舘ひろしらが出演し、80年代前半のTVシーンを席巻したドラマ「西部警察」。その中で
大門軍団特別車両として活躍した日産車の1台がこのサファリ4WDです。おもちゃ
博物館に招かれそうなラジコンカーは、お父さん~お爺ちゃんの所有物かも知れません。
 

かつて大門軍団とともに出動し凶悪犯と闘い続けたサファリ
4WDに、40年近くを経て巡り逢うとは思っていませんでした。

 

とっくに現役を引退しゆっくり余生を楽しんでいるようですが、
最近は足腰がめっきり弱り、後進が出来ないそうです。

 

シニアがシニアのお世話をします。
固定ネジを緩め底面カバーを外します。

 


ラジコン受信部とモーター制御部が組み込まれた回路
基板です。電子部品が立っており当時を偲ばせます。

 

電源やモーターの配線を確認
するため回路基板を外します。

 

走行用モーターへの配線です。極性を
変更して前進・後進を切り替えるようです。

 

この状態で動作確認を行います。送信機レバーを
上に倒すと前進回転します。問題ありません。

 

送信機レバーを下に倒すと・・、
タイヤが回転しません。無反応です。

 

左右ステアリングも正常に動作します。ラジコンの送受信には問題ないようです。
写真左側の青・白のコードがモーターへの配線です。レバーの上下により電圧が
正逆に切り替わるか(+・-の電圧が正しく出ているか)、点検してみます。

 

レバーを上げると、回路形の針がしっかり振れます。
モーターを正回転させる電圧が正常に出ています。

 

レバーを下げると、針は全く振れません。
電圧や極性の異常以前に、電圧が出ていません。
 

モーターの配線が接続されているパターンを注意深く
眺めてみると、一定の規則性があることに気付きます。
 

部品実装側を確認すると、同規格のパワー
トランジスタが4個取り付けられています。

 

4個のトランジスタをブリッジ形に組み合わせ、対辺にあるトランジスタを組みに
して同時にON・OFFします。2組のどちらをONにするかにより、モーターへ
正逆反転した電圧が加わる回路です。バック側のON信号が前段で途絶えて
いるか、パワートランジスタのどれかが破損している可能性があります。
 

可能性の高さから、パワートランジスタ破損の
有無を先に調べます。手前から順に外します。

 

使用されているのは2SB564、Ic:1A、
Pc:1Wの古株ですが、まだ出回っています。
 

院長所有のトランジスタチェッカーで破損の有無を
調べます。B・C・E端子の配置も確認します。

 

最初の1個目は正常でした。続いて
隣に並んでいる2個目を確認します。

 

破損しています。C・E間がコンデンサ状態
です。同規格のPNPトランジスタが必要です。

 

院長所蔵のパーツ群の中に、唯一含まれていたPNP
トランジスタです。Ic・Pcともどう見ても足りなそうですが。

 

高齢のサファリを後進させるだけなら、何とか
持つでしょう。チェッカーで端子配置を調べます。

 

元の2SB564とはB(ベース)と
C(コレクタ)の配置が逆です。

 

短絡しないようB(ベース)端子に細いチューブを被せて絶縁します。
BとCの端子を交錯させて基板のパターンに合わせ、半田付けします。

 

正常に前進・後進するようになりました。
当初の問題は解決、修理完了ですが・・、

 

サファリは4WDだからこそ大門軍団特車として活躍
できたのに、前輪が回転しません。ただの2WD車です。

 

後輪を駆動しているモーターの動力は、ドライブ
シャフトを介して前輪に伝達されています。

 

前輪駆動用のクラウンギヤも正常に回転しています。
ここから先に回転が伝達されない部分があるようです。

 

減速用のピニオンと平歯車です。
ギヤの損傷もないようです。

 

回転を左右車輪に同時に伝達するシャフトが見えます。
この先は車輪軸に付く最終段の歯車となります。

 

諸々の歯車、軸受、いずれにも破損や顕著な摩耗は見当たり
ません。ギヤボックスの組み付けにガタがあるのでしょうか。

 

歯車を全て入れ直し、ギヤボックスを丁寧に組み
直してみます。結果、前輪も回転し出しました。

 

後部バンパーが脱落しています。軟質の接着剤がまとわり付き、以前に
何度か修理されたようです。接着剤の残りを完全に取り除きます。

 

破損した本体の一部を元に戻します。
アクリル用接着剤で接着し直します。

 

溶融(拡散)接着の接合力は、
ほぼ材料強度に匹敵します。

 

バンパーを取り付けるアンカー部が修復され
ました。鈑金に相当する作業のようです。

 

後部バンパーをネジ止めして
全ての作業が完了です。

 

モーターを駆動するには容量の小さなトランジスタですが、試運転の段階では
問題なく機能しています。後進はあまり頻繁に操作されないでしょうから、この
ままで実用に耐えるかも知れません。1980年当時の現役も、40年近く過ぎた
現在はとっくにシニア世代です。ゆっくり静かに子供さんの相手をしてあげて下さい。

 
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