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もしもしコードレス 通話ができない(2017.7.6)

中央公民館でのおもちゃ病院診療日、時間内に修理できずお預かりしてきました。
学研ステイフル製、年代物のようでamazonでは既に取扱いがありません。

 

安全性も考慮されアンテナには柔軟性に富んだ樹脂が
使われています。U字に曲げられパッキングされています。
 

実際のコードレスフォンのデザインが研究
され、程よいデフォルメが与えられています。
 

乾電池(UM-3×2)を装填し、
動作状況を確認します。
 

双方向で通話ができるはずですが、一方向
しかできません。片方の音声が出ません。
 

発話ができて受話ができないので、スピーカ
および音声出力段に問題があるようです。。
 

2本のネジを緩めるだけで、簡単に本体カバーを分解
することができました。厄介な篏合構造はありません。
 

昔ながらのトランシーバで、懐かしいRFコイル(可変
インダクタ)と、一方でクリスタルやDIPも見えます。
 

音声の最終出口、スピーカを点検します。
振動版にPETが使われたマイクロSPです。
 

端子版が脱落しています。ボイスコイルの
接続が2本とも切れているようです。
 

接着されているスピーカを
ペンチで引き離し取り出します。


ボイスコイルの極細エナメル線がここで切れています。
しかし、よく見ると線の端が僅かに残っています。
 

無理をせず素直にスピーカを交換すれば良いものを、再生を試みます。
僅かに残った線端の向きを整え、エナメルコーティングを剥がします。
 

ビニルコードから銅芯線を取り出し、
2本を撚り合わせておきます。
 

スピーカのベース材(樹脂製)が溶けないよう、
ボイスコイル線端に素早く半田付けします。
 

2本とも接続に成功しました。照明
付き拡大鏡下で作業しています。
 

このままでは接続がとても弱く不安定です。追加
した銅線を引き回すと再び断線が起こりそうです。
 

手遅れにならないうちに瞬間
接着剤を差して補強します。
 

ボイスコイルの導通を確認します。回路計
から流れ込む電流によりカリカリ音がします。
 

切れた極細ボイスコイルの接続に成功し、俺って
すげぇだろ、とほくそ笑みながら元に戻します。
 

スピーカを接着剤で固定し、続いて
端子板も元の位置に戻します。
 

真下にボイスコイルとの接続部があるので、
その保護も兼ねて接着剤を入れて固定します。
 

両側に引き出しておいたボイスコイルの
延長線を端子板に半田付けします。
 

接続を終え再生成功と思いきや・・駄目です。ボイスコイルの
導通がなくなっています。どこかで再び断線したようです。
 

瞬間接着剤で固めてしまった以上、作業のし直しは不可能です。いい気になってる
からこうなるのです
。おもちゃ病院の部品在庫の中から相当品を頂戴してきました。
 

元のスピーカはインピーダンス32Ωで0.1W、在庫のスピーカは
8オームで0.25W。インピーダンスが4倍も違う点が気になります。
 

直接耳に当てて聞き取るので、音量の差は問題に
ならないでしょう。接続用ランドに半田を盛ります。
 

回路基板からの信号線を
端子板に半田付けします。
 

再びスピーカを本体内に戻します。結局チェンジニア
(change+engineer)でしかありませんでした。
 

問題なく双方向に通話ができるようになり
ました。本体を元通りに組み立てます。
 

家の中でインターホン代わりにも十分利用できるおもちゃです。時間があれば
周波数帯域や出力、変調方式なども勉強させていただきたかったのですが。
お待たせしてはいけませんので、公民館を通してご依頼主の元にお返しします。

 
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