おもちゃのリペアへ                守谷工房Topへ

守谷おもちゃ病院にてパワーショベルの修理(2017.10.18)


守谷おもちゃ病院はほとんど木曜日に開催されており、東京で非常勤講師の仕事と
重なるためなかなか参加できません。今週は水曜日開催だったので、しばらくぶりで
顔を出すことが出来ました。随時ドクター(会員)を募集しています。本当に面白くて
素晴らしい市民サークルですので、ご興味のある方々、是非参加をご検討下さい。

 

簡単なLED玩具の修理後、回ってきたのがこのパワーショベルです。
本物らしさとおもちゃらしさを兼ね備えた、造りのしっかりした1台です。
故障状況は、ショベルの上下のみ出来ません。他は問題ありません。

 

ショベルアームの駆動系に問題があるはずです。
該当部分にアクセスするには全体の分解が必要です。

 

キャタピラを外し、本体底部の分解を
進めます。走行系を分離します。

 

走行系をまとめた底部、アーム駆動系をまとめた上部、
アーム旋回軸を含む中間のカバーから構成されています。

 


上部をさらに分解します。底部が取り外れて
いないとこのネジにアクセス出来ません。

 

上部のアーム駆動系は、正確にはさらに
ベース部と外側車体部に分かれます。

 

両者が分離した隙間から、何やら
部品の一部が落ちて来ました。

 

ラジオコントロール受信部も含む、
一連の制御機能を担う基板が見えます。

 

問題個所はさらに先に延びるアーム内にありそうです。
アームを上下させるモータをブラケットごと外します。

 

ブラケット両端にネジ穴が加工されています。
一方はアーム駆動シャフトのネジ穴を兼ねています。

 

アーム駆動シャフトが固定されることで
アーム自体も固定される構造です。

 

ショベルアームが丸ごと外れました。程良い
デフォルメで実物の迫力が伝わってきます。

 

アーム駆動シャフトには小型の
歯車が1枚入れられています。

 

同軸のパーツを除けると、歯車はピニオンを伴い
フェーズギヤを介して方向を変えています。

 

動力の伝達は、さらにアームの内部に
延びています。アームの分解に進みます。

 

固定ネジの1本は、シールの下に打たれて
います。シールを最小限にカットします。

 

ドライバーを入れてネジ固定を解除します。
油圧シリンダや配管のパーツが効いています。

 

アーム部を構成する左右パーツを分離しました。内部に
アームを上下させる機構が見えますが、様子が変です。
 

動きを伝えるリンクの一部が明らかに破損しています。そして、
最初に本体内部から出てきた部品の一部を照合すると・・・

 

ぴたりと一致します。この連接棒が折れたため
アームを上下させる運動を伝えられません。

 

シャフトを通す軸穴周りに、破断
しかけている亀裂があります。

 

接着による修復を試みます。先にアクリル用
接着剤で、破断面を正確に接合します。

 

リンクによる運動伝達は各部に相当の荷重を加え
ます。エポキシ接着剤を併用して強度を補います。

 

接合部分の周囲に樹脂を肉盛りします。10分
硬化型ですが、十分時間をおいて硬化を待ちます。

 

あらためて連接棒をアーム内部に組み
込みます。先にショベル側を差し込みます。

 

連接棒は中間にある軸を中心に
シーソーのように運動します。

 

シーソーの手前側は、回転する
カムの溝に沿って駆動されます。

 

本体から延びてきたシャフトの先にウォームギヤが
あり、低回転数・高トルクでカムが回転します。

 

リングを伴った連接棒は、駆動力を本体側に
戻しています。下側アームを別途上下動させます。

 

一度アーム中間部まで動力を伝え、そこからさらに
先と手前方向に分割して駆動する巧妙な仕掛けです。

 

各部分を元通りに組み上げます。そうしながら
接着剤がさらに硬化する時間を稼ぎます。

 

シャベルが下りた状態です。
リモコンの青レバーを奥に倒します。

 

青レバーを手前に引くと、アーム駆動モータが回転して
アームを持ち上げます。動作するようになりました。

 

工房以外の出先での作業は、用具が足りずに苦戦することも少なくありません。しかし、
6・7名のドクターが集まると必ずどなたかが所有していて、ほとんどの場合何とかなり
ます
。用具のみならずテクニックも融通し合い、数多くのおもちゃを復活させています。

 
おもちゃのリペアへ                守谷工房Topへ