守谷工房のMachineへ                守谷工房Topへ

3Dプリンタの組み立てと調整(2015.03~)

Arduino+RAMPSで4系統のステッピングモーター
および2系統のヒーターを制御し溶融樹脂材を出力。


正三角形(デルタ型)に配置された3軸のアームが上下し、
ホットエンドの3次元位置が決定されて立体を描画する。
 

ABS・PLAなどのコイル状成形樹脂材料が用いられ
185℃~235℃で溶融しながらノズルから押し出す。
 

押し出された樹脂材はファンの送風により直後に冷却され
固化する。ヒーテッドベッドは固化後も一定温度を保つ。
 

困難を極めた第1レイヤ(1層目)でのフィラメント
接着不良(写真)の問題。上層部を出力できない。
 

テストを兼ねていくつかのパーツを作成してみた。
途中で成形が乱れたり、全く形を成さないことも多い。
 

様々な問題に直面しその都度解決を図りながらも形に
なってきた。成形精度、ヒゲ・バリなどクオリティの問題も。
 

3Dプリンタのメーカーが説明しているように、精度や表面の
平滑度などインジェクション(金型射出成形)には及ばない。
 

3月中旬に発注した3Dプリンタが4月10日(金)にようやく中国本土より届く。
発注先はAliexpress(http://www.aliexpress.com/)経由で広東省にあるShenzhen Ecig Technology Co., Ltd.
7営業日以内に発送、送料を支払ってFedexで3~6日(計13日)以内に到着の予定が、1週間ほど遅れて配達。
最初から高価な高性能機を購入するのは見合わせて最安値の機種を選定。
本体+ヒーテッドベッド+Fedex送料でUS$260(約31200円+国内税)。
普及型の3Dプリンタはまだ黎明期と考えられるので、最低限の機種で試行検討ができれば良い。
機種は興味深い機構のデルタ型で、k800+kossel_mini+Reprap_rostock(詳しい意味が分からない)。
到着翌日の11日(土)から組み立てを開始し、途中様々な問題に遭遇しながら4月末にようやく形を成してきた。

主な問題は、

・組み立てマニュアルの動画がFLVフォーマット、しかも小さな声の中国語、作業が手で隠れてよく見えない。
・3軸のリミットスイッチのロジックが逆に設計されている。
・ArduinoやRAMPSの説明が皆無で、全体の配線図も添付されていない。
・ソフトウェアやマニュアルが記録されたSDカードが動作不良(サブフォルダでエラー発生)。
・同梱ソフトウェアのバージョンがいずれも旧版。
・LCDが表示されない。
・冷却ファンの動作不良、その取付けブラッケットが早々に破損。
・ホットエンドノズルの詰まり、内部テフロンチューブ内での焼き付き、温度調整。
・エクストルーダのフィラメント送り出し動作不良。
・オートレベリングの動作解析、最下端位置の割り出し、第1レイヤ出力条件の解析。
・第1レイヤの付着固定不良(出力フィラメント剥離)の改善。
・アーム移動位置のキャリブレーション、ホットエンド熱特性のキャリブレーション。
・ヒーテッドベッドの変形特性把握、防止改善方法の工夫。
・ステッピングモータドライバ基盤の接触不良。
・リミットスイッチのリード線脱落(半田付け不良)。
・ホットエンドの保温(グラスウール)、射出されたフィラメントの冷却効果改善。

これらのトラブルをことごとく解決・乗り越えて、連休に入る頃ようやく出力結果が形を成すようになった。


これまでの出力結果

最初の頃の出力、見よう見まね全てデフォルト設定。
射出されたフィラメントが互いに接着せずスカスカ状態。
 

ホットエンドの温度を変更して(上げて)行った出力。
フィラメントがかなり密着するようになった。
 

ベッドとホットエンドの初期クリアランス、スライサー(ソフト)
の設定を変更して出力。まだブレードの成形状態が悪い。
 

ヒーテッドベッドをONにして出力。第1層目で樹脂の
切れが悪く突起が残っているが、切削で除去可能。
 

データがダウンロードできたので「Yoda」の出力に挑戦。
1回目はフィラメントが途切れ続けて成形にならない。
 

「infill」を0%に設定し中空のシェル構造とした。成形に
必要なフィラメントが節約でき、成形時間も少なくて済む。
 

6個目でようやく最後まで出力に成功する。「blim(壁面)」
を3レイヤーにすると右目の下あたりに隙間が残る。
 

「blim」を5レイヤーに増やすと水平に近い面の充填状況が
改善。フィラメントの送り出し(エクストルーダ)も重要。
 


3Dプリンタの現状は

・まだまだ黎明期にあること。
・組み立てキットはもちろんのこと、完成品であっても出力のたびに周到な準備と調整、出力中の観察が必要。
・低価格の機種、高価格で高性能な機種でも、状況はあまり変わらない。
・観察結果に基づいて、常に新たな工夫を考え調整を加えなければならない。
・膨大な調整作業はハードウェア・ソフトウェアの両方にわたり、アナログ的で試行錯誤が避けられない。


参考になったWEBサイト
・「デルタ型3Dプリンター中華キット"Kossel mini K800"を組み立ててみたページ
・「K800組み立て手順書:【新手装机】kossel800 3d 打印机
・「KOSSEL MINI BUILD GUIDE - Blomker Industries
・「3Dプリンター作る!
・「3Dプリンタの設定をいじる

守谷工房のMachineへ                守谷工房Topへ