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特注リビングキャビネット製作 その2
(2017.8.3)
特注のリビングキャビネットを製作中です。既製品をベースに製作時間や手間、
費用を押さえながら進めます。本体組み立てと開き戸の製作が終わり、背板や
開き戸の取り付けに入ります。3日間ほどの製作日数で納品を目指します。
5.背板取り付け
ボードを部品加工した際に、背板が嵌まり込む溝を
入れましたが、側板の上部に切り残しがあります。
昇降盤による切り残し部分に
罫引きで切り込みを入れます。
切り込み線に沿って、切り残し
部分を鑿で欠き取ります。
製品に含まれていた化粧合板を貼り付けます。
本体に接する部分は釘打ちして強度を上げます。
6.開き戸取り付け
ドア付きの家具は、最後にそのドアの
取り付け作業が控えています。
当然、蝶番を使用することになりますが
正確に取り付けることは実に難しいものです。
何よりも正確な位置決めが重要です。
シャフトを外に出した状態で取り付けます。
蝶番の外形をなぞり、本体側板の
木端面に取り付け位置をマークします。
ここでも罫引きを使用し、蝶番長手
方向に深めに切り込みを入れます。
ボードの木端面は、厚めのビニル系化粧
コーティングのため、刃物が綺麗に入りません。
蝶番の左右端は、鑿で
切り込みを入れます。
この範囲内を、蝶番の厚み分だけ
掘り下げなければなりません。
使用する蝶番の厚みを確認します。
シャフト付近で4mm弱です。
トリマーにビットをセットし、刃先の突き出しを
先ほど確認した4mm弱にセットします。
切り込みのぎりぎり手前まで
深さ4mm弱に欠き取ります。
表面がビニル樹脂のため雑な作業に
見えますが、鑿で綺麗に仕上げます。
蝶番を実際に当てて、切り
欠きが適切か確認します。
木ネジ2本の固定では強度にやや不安が
あるので、エポキシ接着剤を併用します。
木ネジの下穴を開けるには、
この専用ドリルを使用します。
円錐形ガイドの働きにより、蝶番の
ネジ穴中心に正確に穴が開きます。
木ネジを締め込みます。もう少し大きな蝶番を使用
したいところですが、ボードの厚みを超えられません。
開き戸の合わせ面に厚紙を挟み、
一方をテープで仮固定します。
蝶番の位置を維持しながら他方を
開き、すかさず木ネジを打ちます。
ここで下手をすると開き戸の位置が狂い、製作作業が
台無しです。小型蝶番には微調整機能がありません。
息を殺す作業を終え、今回もまぁまぁの結果です。開き戸も含めて
全体的にスクェアなデザインに、蝶番の金属質感がよく合います。
7.キャッチャー・取っ手の取り付け
本体内側に、左右とも開き戸の
マグネットキャッチャーを取り付けます。
開き戸の内側にはマグネットに吸着
するスチール片をネジ止めします。
開き戸を軽量に製作したので、
キャッチの軽いマグネットが適します。
左右とも開き戸を閉じると、下手に
飾り気のないスタイリッシュな印象です。
市販の金属製取っ手を用意します。
意外と高価な製品で悩ましいところです。
ドリルで径3mmの
下穴を開けます。
下穴に取っ手を差し入れます。周囲を
傷つけないよう注意深く作業します。
取っ手の止めネジはかなり
長さに余裕があります。
樹脂製のキャップ底を入れ、
ワッシャ・ナットを通します。
ボルトカッターでネジの余分を
適当な長さに切ります。
取っ手に付属の樹脂製キャップを被せます。危うく
キャッチャーのスチール板と干渉するところでした。
すっきりしたスタイリッシュな本体に、
金属質のシンプルな取っ手が合います。
8.完成
既製品をベースに、改造と追加製作により
正味3日間で完成に漕ぎ付けました。
使用材料やデザインによほど付加価値を持たせない
限り、近所のホームセンターや
ニトリ
にとても敵いません。
既製品を元にお客さんのご要望に沿って作り変え、早く安く綺麗に提供する
手法は、決して職人レベルの家具製作所ではない工房の戦略となります。
お陰様で久しぶりに木工製作を楽しませていただきました。電気・機械関係の
製作や修理も面白いものですが、やはり木工には
ものづくり
の原点を感じます。
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