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オーダーメイドシューズボックス その2(2018.9.3)


オーダーメイドシューズボックス その1の続きです。
本体組み立ての途中まで作業が進んでいます。
 


CADによる設計・デザインのおかげで、各部品の寸法
割り出しが簡単かつ正確です。結果、間違えません。
 

本体天板と底板の木口に化粧を施します。
木目柄の小口テープを貼り付けます。
 

裏紙を剥がし、上面側の縁に
合わせて貼り付けていきます。
 

ファルカタ合板の木端面や木口面は、昇降盤で切り落とした
ままで荒れていますが、テープの粘着力が強く密着します。

 

貼り付けた後で、軍手をはめて木片で表面をこすり
圧着させます。素手で作業すると外傷や火傷をします。
 
 
テープ幅と板厚が一致せず、はみ出た分をカッターで切り
落とします。最近ようやく綺麗にカットできるようになりました。

 

僅かに残るはみ出しは鉋で
軽く面取りして整えます。
 

本体右端の側板です。内側を向く面のみ
化粧合板を貼り合わせてあります。

 

各棚板に2本ずつ木ネジを仮止めします。接合面が
撥水性のため、接着剤にはゴム系を使用します。

 

右端の側板を取り付けました。壁面に
接して隠れる部分は化粧を略します。

 

天板から取り付けます。側板3枚の
接合面(木口)に接着剤を塗ります。

 

位置がずれないよう正確に天板を置きます。
ずれて修正すると接着剤がはみ出るからです。

 

天板の木口面を側板の表面に面一(つら
いち)に合わせて木ネジを打ち込みます。

 

内側に接合位置を印してありますが、両端に
関しては現物合わせで面一に組みます。

 

中仕切りの側板は内側に印した接合
位置に正確に合わせて固定します。

 

本体を上下逆さにしました。
この状態で底板を取り付けます。
 

位置合わせが容易なので、
木ネジを仮止めしていません。

 

電動ドリルでひたすら木ネジを締め込みます。
材が柔らかいのでクラッチを弱めにしています。

 

本体構造が姿を現しました。軽量のファルカタ合板を
使用していますが、この大きさではかなりの重量です。

 

両面開き扉を取り付けます。僅かな部品加工誤差、組み立て時の微妙な歪みが正確な
取り付けを阻みます。中学生の頃から今日に至るまで、未だに会得出来ない作業です。

 

丁番の取り付け位置を決定します。今回は
上下端から丁番の長さ2つ分とします。

 

丁番は3mmほどの厚みがあります。
丁番を落とし込む位置に印を入れます。

 

印した位置に鋸で切り込みを入れます。
トリマーで決めようとすると大概失敗します。

 

切り込みを入れた内側をトリマーですくいます。
ストレートビットを丁番の厚み分だけ出します。

 

職人さんのように鑿で加工してみたいものですが、
このかた綺麗に仕上がった試しがありません。

 

欠き取り残した隅の部分や若干の
寸法調整のみ、手鑿で作業します。

 

ネジ穴の位置を決定します。丁番金具穴の
中心を狙わないと、取り付け位置が狂います。

 

木ネジを打ちます。材が柔らかいので
ネジ穴をバカにしないよう手で締めます。

 

上下とも本体側に丁番を固定しました。
厄介なのは扉側への取り付けです。

 

開き扉を仮載せしてみます。この段階で
微妙な寸法(角度)調整を行います。

 

済みませんが、開き扉側への丁番取り付け手順は省略させていただきます。
ちょっとしたコツでしかありませんが、独自に編み出した(まぁまぁ)正確に
丁番位置を決める方法を用います。「勘」なんかで作業すると必ず歪みます。

 

左右丁番の取り付けを終え、次に両面
開き扉の開閉キャッチャーを取り付けます。

 

既存の靴箱には取っ手がなく、
オープンキャッチが使われています。

 

既存の靴箱と仕様を合わせ、ワンタッチ
オープンキャッチを取り付けることにします。

 

扉側ストライクの取り付け位置に、
木ネジを打つ下穴を開けます。

 

開き扉を手で押す位置からして、下端に取り付け
ます。木ネジを締め込んでストライクを固定します。

 

キャッチャーの取り付け位置を決定します。背面側が
開いているので、直接手を入れて作業できます。

 

左右2個のキャッチャーを固定しました。家具製作ではこのような補助金具類が
色々と必要です。ホームセンター等で多くの種類を扱っていますが、単品的には
決して安価なものではなく、個別に買い求めると結構な値段になります。通販の
方が安く入手できるものの、前もって買い揃えておくことはなかなか出来ません

 

キャッチャーの動作を確認します。開いている
扉を押し込むと、自動的に固定されます。

 

閉じている扉を軽く押し込むと、
固定が解除されて手前に出てきます。

 

組み立て作業も最終段階
です。背板を取り付けます。

 

玄関壁面を利用することで背板を省略することもできますが、
全体の補強と棚板の撓み低減のため、必要と判断しました。

 

本体左側の背板は、開き扉により普段は隠れているので
普通の合板を使用します。補強のため接着剤を入れます。

 

薄手の合板は大型のカッターナイフで切断します。
取りあえず数か所をテープで仮固定しておきます。

 

薄手合板の固定にはタッカーが便利です。
ハンドルが固いので腱鞘炎になりがちですが・・

 

小釘を玄能打ちすることを思うと劇的に楽です。ホチキス
針1本は釘2本分に相当するので強く固定されます。

 

背板が固定され、構造全体の強度が一挙に高まります。それでも、柔らかい
ファルカタ合板が靴の重量で撓んでこないか少し心配です。靴の重さや収納
足数によりますが、もし気にされるようでしたら中央に補強仕切りを追加します。

 

本体右側の棚部分にも背板を取り付けます。
背板が見えるので白色の化粧合板を使います。

 

化粧面は撥水性があるので、
ゴム系の接着剤を入れます。

 

同じくタッカーを打って固定します。
これで組み立て作業は完了です。

 

表側に向きを変えます。背板の化粧合板が
品の良い雰囲気を醸し出しています。

 

完成してみると、その寸法・重量から、こんなに大きなものだったのか?と一瞬
不安がよぎります。現場の設置サイズを2回確認しているので、まぁ大丈夫だろうと
思いますが。ここまで出来上がって寸法を間違えていたらどうなるんでしょう・・・。

 

再び設計図に戻り、各部の
仕上がり寸法を確認します。

 

左右開き扉の開閉を確認します。取り付け前に
若干の寸法修正をしましたが、スムーズに動きます。

 

下に置かれる既存靴箱とほぼ同容量
です。これで収納力が2倍になります。

 

もうひとつ仕上げ作業が残っています。
木ネジを打った位置に頭が出たままです。

 

木ネジを打ってから化粧合板を貼り合わせる方法も
ありましたが、はるかに簡単な方法で解決します。

 

ポンチで丸く打ち抜いた木口テープを、
残っている木ネジの頭に貼り付けます。

 

木ネジの金属色が隠れて目立たなくなりました。「守谷工房」の
製品シールを貼り付けて作業完了、靴箱の完成となります。

 

納品に伺います。室内側から見た
玄関、既存の靴箱が置かれています。

 

運び込んだ新しい靴箱です。サイズは・・、
大丈夫OKです。採寸通りに収まっています。

 

室外側から見た玄関です。やはりこのままでは
既存靴箱の上部空間がもったいない印象です。

 

新しい靴箱の方が木目の色がやや濃い目です。
本体右側の棚は玄関装飾用に活用いただけます。

 

本体内側から背板に木ネジを数本打ち、壁面に固定してあります。下の既存靴箱が
本体重量を支えているので、水平方向の移動をくい止める程度の固定で十分でしょう。

 

本体右側の棚部分は、中央の中仕切りから右端側板にかけて奥行きが小さくなる、
斜めにカットされたデザインです。同じ奥行き寸法にすると、玄関ドア間口の内側に
本体がせり出すことになり、ドアを開けて外から入る時に狭小感、逆に室内から出る
時に圧迫感を生むからです。オーダーならではの裁量であり、量販店をどれだけ
探しても叶わない仕様であります。久々に本業に立ち戻ることが出来ました、感謝。

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