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ソファークッションの入れ替え
(2021.12.31)
購入以来7~8年になる自宅リビングのソファーです。ご覧の通りかなり
くたびれています。見た目だけではなく実際に腰かけてみると、内部の
クッションが型崩れして凹凸がひどくホールド性が著しく低下しています。
近所の「
〇トリ
」で大幅値引きにて購入したので惜しくはないのですが、
粗大ゴミとして環境に負荷をかけたくもないので、何とか
補修
します。
安物のソファーは、クッションがヘタるかフレーム構造が
ぐらついてくるか、あるいは同時に両方とも傷みます。
我が家のソファーはフレームは
まだ問題ないようです。しかし、
内部クッション材の型崩れがひどく、
ソファーの外形にまで表れています。
3枚の背もたれもこの通り情けない有り様で、
実際にもたれていて心地よくありません。
外側カバーがファスナーで開閉し、内部の
クッション材を取り出すことができます。
ファスナーを開けてカバーを
ずり降ろしていきます。
中から取り出したクッション材です。内部に
もう1枚薄いカバーが被せられています。
薄いカバーの中に、もはや元の形が分からない
状態でクッション材が詰め込まれています。
クッションとして必要なパーツをカバーのサイズから採寸し、
CAD上に描き出してみます。背もたれ用が同形状・サイズで
3枚、座面用は形状もサイズも異なるものが3枚必要です。
交換用のクッション材として何を利用するのが良いか、大問題です。
成型ウレタンフォームに違いありませんが、厚みとして約120mmが
必要で、単体で市販されている製品の中にこれだけのものは見つかり
ません。取りあえずホームセンターなどで販売されている寝具マットを
検討します。1920mm×910mmのサイズで、安価な製品を見つけた
ので、部品図を描いて極力無駄の出ない部品配置と必要枚数を割り
出します。厚み45mmを2枚重ねて90mm、さらに30mm厚のチップ
ウレタンシートを重ねれば120mmに達します。しかし、寝具用マットは
三つ折りになっており、大きな部品はどうしても分割して作らなければ
なりません。座り心地に影響しそうです。また、寝具マット4枚とチップ
ウレタンシートのロールを購入すると、かなりの金額になります。
以前に古くなった寝具マットを捨てたことを思い出しました。今頃になって
「捨てなければ・・」と悔やまれます・・が、もしかすると他にも捨てる人が
いるのではないかと気が付きます。
ジモティ
を探してみると、素晴らしい
出品があるではありませんか。都内中央区まで頂戴に上がりました。
厚みが1枚で100mm、しかも折り目のない
1枚単体の立派な寝具マット(2枚セット)です。
平面サイズは一般的な市販品よりもひと
回り大きく、1950mm×980mmです。
部品取りの計画をやり直します。チップウレタンシートを10mm厚に
変更し2枚重ねると、10mm+10mm+寝具マット100mmで
ちょうど120mmに達します。クッションの表裏で反発力が同一に
なり、全ての部品を継ぎ目のない1枚で用意することができます。
譲り受けてきた寝具マットのカバーを外します。
多少の汚れはあるものの生地は傷んでいません。
カバーの中からウレタンフォーム製の
立派な1枚マットが出てきます。
ウレタンフォームはどうしても経年に
よる多少の変色は避けられません。
しかしマット自体にほとんどヘタりがなく、切断して
部品にするのではなくこのまま使いたくなります。
自他lから背もたれ用のクッション
だけ工房に持ち込んできました。
簡単な部品から作業を始めて
様子を見ようと思います。
真っ先に片付けるべきは、厚さ100mmもの
ウレタンフォームを正確にカットできるかです。
刃渡りと切れ味からカッターナイフ以外に選択肢は
ありませんが、やはり1回では切り離せません。
3回繰り返すことで切り離れますが、
切断面の平面性と垂直性が心配です。
練習を兼ねてあまり影響の出ない
部品を1枚目のマットから切り出します。
カッターナイフが通過するたびにやはり段差が
生じます。多少であれば問題ないでしょう。
本格的に部品取りしていきます。
サインペンで切断線を書き入れます。
長尺のスケールを切断線に当て
カッターナイフを慎重に入れます。
3回目のカットではここまで
潜り込んでしまいます。
垂直に切断できているか否か、切り離れてみないと
分かりません。作業中に目安となるものがありません。
切断作業中はカッターナイフを握る手の
感覚のみが頼りです(・・って頼りない)。
そうすると、切断線を書き入れた表側の形状は良しとしても、
刃先が届いた反対側(裏面)でも本来の形状が保たれている
のか、こよなく心配になります。そして何の保証もありません。
ウレタンフォームに重ねるチップウレタン
シートです。ネット通販で翌日に配送されます。
端材や廃棄されるウレタンフォームをチップ状に
裁断し再成型したもので、比較的安価です。
CAD上で部品取りを検討した結果、2000mm
×1200mm×10mmのシートが3枚必要です。
再生品だけあってシート端のカットがひどく
雑で、直角も直線もまるで出ていません。
大きめの四角アクリル板を当てて
シート端の直角と直線を確認します。
正確なラインに沿ってはみ出し分を
カッターナイフで切り落とします。
切断線を書き入れようにもサインペンが乗りません。
マスキングテープを貼り付けて切断位置を決めます。
マーキングした位置に
スケールを合わせます。
切れ味を出そうと薄刃のカッターナイフを
使用しするも、シートは簡単に切れません。
チップを引きずるので無理をせず
3回ほど繰り返して切断します。
混入されているウレタンチップの種類に
より切削抵抗が異なるせいでしょうか。
切れ味の良い刃物で優しくカットすると却って
ダメ
、ということをかなり後になって知ることに。
100mm厚ウレタンフォームと10mm厚ウレタン
フォームシートを、互いに両面テープで固定します。
使用中に両者がずれてくる心配もありますが、
カバー内に入れ込む時に苦労しそうだからです。
シートがめくれ上がらないようにするため、
周囲にぐるりと幅広の両面テープを貼ります。
裏紙を剥がし両者を重ねます。接着面を
強く押さえると粘着力が出てきます。
600mm×450mmの背もたれ用は、3枚とも同サイズで形状も
簡単です。ウレタンフォームの採寸や切断のコツを掴む練習を兼ねて
いるようなもので、ここまでの作業で「何とかなりそう」な感触です。
続けて座面用ウレタンフォーム3枚のうち、
サイズの小さい2枚をカットしてみます。
1枚は735mm×600mmの簡単な長方形ですが、
もう1枚は160mm×135mmの突起部を含みます。
コーナーの内側にカッターナイフを
正確に入れなければなりません。
カッターナイフではなく、より刃渡りの
長い包丁を使った記事がありますが、
包丁の類でカッターナイフ並みの
切れ味を維持するのは難しいでしょう。
2辺を切断した時点で、やはりコーナー
内側がまだ切り離れていません。
コーナーに直接カッターナイフを
差し入れて切り離します。
座面用ウレタンフォーム2枚を、極力
無駄が出ないように部品取りします。
周囲に両面テープを貼り巡らせます。座面用クッションは自宅に置いて
きているので、サイズの照合などはできません。しかし、弾力性に富む
ウレタンフォームで正確さに拘ったところで知れているでしょう。CADに
反映させた最初の採寸を前提に(信用して)進めていくことにします。
100mm厚のウレタンフォームでは、切り込む表側と
裏側ですら寸法や形状が一致している保証はありません。
別に切断するウレタンチップシートも
完全に一致などしていません。
両面テープの裏紙を剥がします。一度母材(ウレタン
フォーム)に強く押し当てると剥がしやすくなります。
ウレタンチップシートを重ね、
周囲を強く押さえます。
形の面倒な1枚を先に片付けたので、
もう1枚は背もたれ用と同じで簡単です。
両面テープを貼り巡らせ
両者を貼り合わせます。
残るもう1枚の座面用クッションは、サイズが大きく形状も面倒なので
後で作業することにします。出来上がった分のウレタンフォームを
いったん自宅に持ち帰り、カバーを被せて状態を見ることにします。
背もたれ用クッションから交換を始めます。
古いウレタンフォームを取り出します。
工房から持ち帰ったサンドイッチ
構造のウレタンフォームです。
カバーを被せる前に、両面テープによる
貼り合わせ部をもう一度つまんでおきます。
カバー内寸に対して、ぎりぎりか僅かに
大きめです。先にカバーを裏返しておきます。
カバーの生地がやや厚めなので
すんなりとは入っていきません。
入りにくい部分を押さえ付け
凹ませながら徐々に入れて、
ファスナーに無理が生じない
状態で開口部を閉じます。
被せるというのか着せるというので
しょうか、まぁ何とか収まりました。
カバー布地の縫合線がウレタンフォームの稜線に合うよう多少
調整します。サイズがほぼ合致し、6面全てに生じていた皺や
たるみはありません。表裏の平面部もすっきり伸びています。
同じ要領で2枚目・3枚目を被せます。
何か上手く行きそうな予感がします。
続けて座面用クッション
中央の1枚を交換します。
座面用にはかなり固めのウレタンフォームが
使われていますが、形が崩れてゴワゴワです。
取り出した古いウレタンフォームの
処分も考えなければなりません。
100mm厚ウレタンフォームを、両面から10mm厚
ウレタンチップシートで挟んだ新しいクッションです。
元のカバーを被せます。こちらも
丁度良いサイズのようです。
元の位置に置いてみます。輪郭が
整っているのですんなり収まります。
もう1枚、座面右側の突起のあるクッションを
交換します。ファスナーを開いてカバーを外します。
突起部分の先までファスナーを
開閉させ、内部を出し入れします。
この突起部分を本来の位置に
上手く収める必要があります。
ファスナーが全開した状態で
突起部分を奥まで入れます。
突起と反対側の部分を被せ、
生地の縫合線を稜線に合わせます。
突起部分があっても意外と作業は
簡単で、最後にファスナーを閉めます。
座面右端に置いてみます。やはり輪郭が
整っているので「
小気味良く
」嵌まります。
座面左端大型のクッション1枚を除き、5枚のクッションが新しくなりました。
まず、外観が非常によろしくなっていると思います。交換前の型崩れした
クッションでは、古ぼけてだらしなく、リビングの雰囲気まで損なっていました。
残るは左端の大型の1枚です。残りの
ウレタンフォームで間に合う計算です。
切断する延長が一挙に長くなる
ので、より正確な採寸が必要です。
コンベックスを材料端に当てるにもウレタン
フォームに喰い込まないよう留意します。
合板を置いてあるのは、切断線を描こうとして上に乗ると
ウレタンフォームが変形するためで、体重を分散させます。
最後の1枚をカットする段階で、切断線を
表裏両面に描き入れることにします。
切断面の垂直性を保つため、両面から
厚みの半分ずつカットする作戦です。
表側から無理せずカッターナイフの
刃渡り程度の深さで切り込みます。
ウレタンフォームを裏返し、反対側から
切断線に沿って残りの半分をカットします。
100mmの厚みを片側から切断し切るよりも、
切断面の垂直性及び平面性が良くなるはずです。
ただし、切断線の位置が表裏でできる
だけ一致している必要があります。
厄介なコーナー部分を
最後にカットします。
表裏で切断線が合っていれば、2回目の
カットで切削抵抗が低下し切り離れます。
1415mm×760mmの大きな座面用ウレタンフォームが
切り離れます。
ジモティ
で譲り受けたまだまだ使える寝具
マットも、ほとんど無駄を出さずに使い切ることができます
。
この段階になりウレタンチップシートは、大型の
カッターナイフで1発で切れることが分かりました。
スケールを押さえ付けていれば切り口も綺麗です。
ウレタンフォームと同形状・サイズで2枚カットします。
3枚購入した2000mm×1200mmの
ウレタンチップシートもほぼ使い切ります。
周囲に加えて、さすがに表面積が大きいので
中間にも両面テープを入れて貼り合わせます。
左側座面用、最後の1枚の出来上がりです。
後部座席を倒すことで車に何とか積み込めます。
他のクッションの交換を終えているので
最後の1枚は一段とくたびれて見えます。
突起部の先までファスナーを完全に
開け、カバーを取り外します。
突起部というよりも、肘掛部分を
避けるように切り欠かれています。
オットマンとの境界部は曲げ応力が集中
するのか、表面に断裂が見られます。
この切れ目が座り心地を
ひどく悪くしていました。
外側のウレタンチップシートが剥がれない
よう、押さえ付けながら押し込みます。
ファスナーが噛む位置まで
カバーを引き寄せて閉じます。
元のクッションとは見違えるような
えらく形の整った外観です。
元の位置に嵌め込みます。座面用クッション
3枚分には、少しきつめの仕上がりです。
型崩れしたゴワゴワが解消し、
すっきりした平面が蘇っています。
背面側からの外観です。背もたれの上端が綺麗に揃い、
「
〇トリ
」の店内に並んでいた時のような雰囲気です
。
リビングソファーの全景です。実際の座り心地は、ソファー用に調整された
クッションではないので、腰掛けた時のお尻の安定性というのでしょうか、
いわゆるホールド感が今ひとつです。ですが、一人ずつ座布団を置いたり
冬場は細長いホットカーペットを載せたり、あるいはひざ掛けを併用したり
するので、直に腰掛けた時の座り心地はあまり当てにならないでしょう。
形が不規則に崩れ、座るたびに感触が異なる不快感はもうありません。
クッションを入れ替える少し前に、工房にある端材を
使ってこんなものを製作しました。何だと思われますか。
肘掛の上にこのようにして
差し込み固定します。
簡単な肘掛けテーブルのようなもので、
ソファーの左右に各々取り付けます。
奥さんから、肘掛けの上に何かを置くことが
できなくて不便だと言われておりました。
こんな感じでコーヒーカップやテレビのリモコンなどを置くことができます。
奥さんの言う通りにしてみたらすごく便利なことに・・・、そう考えますと
余った端材からたった2時間でこれを製作した人が何となく可哀そうな。
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