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ご依頼があり製作した額縁です。木目の美しいタモ材を使用しています。工房のタモ材も
在庫が少なくなり、反り・狂いが小さく加工しやすい材料はほとんど使い果たしてしまい
ました。杢が集中した美しい板目材ほど反りや狂いが大きく出ます。木目と反り具合を
勘案して比較的状態の良いものを選び出し、このふた月ほどかけて矯正してきました。
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板目材の木目が強く出た材料を左右縦方向の枠に
使用しています。元から末へ力強く杢が伸びます。
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上下横方向の枠には、作品鑑賞の妨げに
ならないよう杢の大人しい材料を使用しています。
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タモ材の内側・外側は、栓材により縁取りし
厚みを大きくすることでアクセントを持たせます。
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大きめで重量のある額縁なので、枠組みが壊れないよう
厚めのケヤキ材簪(かんざし)を入れ補強してあります。
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タモ材と栓材の地肌色の違いにより
着色後も微妙に明るさが異なります。
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塗装は、ウォルナット色オイルステインによる地肌着色後、
着色剤定着のため先にクリアラッカースプレーを吹き、
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その後、ウレタン樹脂塗料を刷毛塗りにて、数回重ね塗りしています。
タモ材・栓材ともに着色剤による木目の浮き出しが顕著で、特にオイル
ステインを布切れで拭き上げると、鮮やかな仕上りが期待できます。
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背面側から、2mm厚アクリル板と
5mm厚MDF製背板を嵌め込みます。
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背板を固定するトンボ金具です。金具が背板に
当たるよう、背板周囲に縁取りを回しています。
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枠組み(留め)の接合にはタイトボンドを使用して
います。エポキシ樹脂接着剤の性能は今ひとつです。
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タイトボンドの強固な接合力が、材料中に残る
僅かな歪みを強力に抑え込んでいます。
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かなり重量のある重厚な印象の額縁となりました。タイトボンドと簪を使った接合により、
非常に剛性感の高い構造をしています。額縁の製作・修復は守谷工房へご依頼下さい。
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