サーキュレータ(扇風機)が全く回転しません。スイッチの動作不良、コードの
断線、誘導電動機ではほとんど聞きませんがモータの寿命、いくつか原因を
想定しながら修理にかかります。低価格の製品なので費用をかけられません。
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アイリスオーヤマ製サーキュレータ
EAC-2、中国での製造です。
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シンプルな筐体です。が、本体の
組み立て構造も簡単とは限りません。
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本体両サイドにある送風機
支持部のカバーを外します。
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底部カバーを外します。計8本の
ネジで固定されています。
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8本のうち4本分のネジ穴には
ゴム足がはめ込まれています。
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ゴム足を抜いた奥に
ネジが打たれています。
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底部カバーが外れてきました。
内部には電線以外何も見えません。
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電源コードの引き込み部です。
風量切り替えスイッチを経由します。
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簡単なところから、コードに断線
箇所がないか点検します。
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配線系統には特に問題ありませんが、
モータを経由する回路に導通がありません。
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モータ本体およびモータ周りの不具合が
疑われます。さらに分解を進めます。
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固定ネジを緩め軸受部の
留め具を外します。
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送風機本体が外れました。作業
しやすいようコードを引き出します。
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前面カウルとモータ収納部を
相互に固定しているネジです。
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両者を分離させるため
固定ネジを緩めます。
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モータに直結された3枚羽
ファンが組み込まれています。
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前面カウルの内側です。一面に綿埃が絡まって
いるのでクリーナで吸い取っておきます。
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ファンの回転を点検します。
抵抗があり重たく感じます。
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軸受部の状態が劣化しているよう
です。モータを外して点検します。
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3本の長いタッピングネジで
固定されています。
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軸受の周囲が埃だらけです。
回転軸の表面に錆も見られます。
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軸受部に潤滑剤を
入れてみます。
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軸受金具の隙間にも
軽く吹き付けます。
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反対側の軸受金具にも吹き付けます。隙間が
狭いのでゴミが絡んでいるかも知れません。
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もう一度ファンの回転を
確認してみます。
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潤滑剤によりいくらか改善しましたが
軽く回り続けるほどではありません。
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もっと丁寧な手入れが必要です。
クリーナで埃を取り除きます。
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軸受金具を組み付けている
長ネジを緩め分解します。
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やはり状態が良くありません。回転軸の
接触部に幾筋も摺動痕が見られます。
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#800程度の耐水ペーパで
回転軸の前後とも研磨します。
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軸受部の劣化はモータが回転できないほどでは
ありません。もっと致命的な問題があるはずです。
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耐熱性保護チューブの1本を抜くと、
小さな温度ヒューズが出てきました。
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温度ヒューズが切れています。その前後で
モータ巻線には導通があり問題ありません。
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軸受の劣化により回転抵抗が増加し、モータに
過大な負荷がかかり発熱を招いたと思われます。
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お世辞にも丁寧な実装とは言えま
せん。温度ヒューズを取り外しました。
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115度C、250V、2Aの温度ヒューズです。
同スペックの補修部品がなかなか見つかりません。
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Amazonでようやく見つけ翌日配送されるつもりで
注文すると、中国からの発送で3週間の納期でした。
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1本あれば間に合うのに
10本入りで送料無料です。
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溶断温度が115度Cではなく130度Cです。実際には
10%前後の誤差があるのでこのまま使用します。
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ビニルコードの先端を半田処理し
熱収縮チューブを入れておきます。
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端子を短く切り詰めて、ビニル
コード端と半田付け接続します。
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半田付け部分に熱収縮チューブを
引き戻して被せ、熱収縮させます。
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発熱源の巻線(コイル)に密着するよう固定
位置を決定し、他方の巻線の長さを調整します。
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巻線(エナメル線)の端を処理します。
先にエナメル被覆を削り取ります。
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銅線を露出させ半田で
コーティングします。
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巻線(エナメル線)側も半田付け接続し
耐熱性保護チューブを引き戻して被せます。
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配線をひとまとめにしビニル
テープで巻線全体を覆います。
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不具合の根本原因、溶断した温度ヒューズの交換を
終えました。これでファンは問題なく回転するはずです。
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モータ収納側に元通り
モータを取り付けます。
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ファンの羽にこびり付いた汚れが
あります。コンパウンドで落とします。
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完全に汚れが落ちて
光沢が戻りました。
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カウルを組み付けます。
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送風機本体の角度を調節する際、中間
位置で半固定するための爪を仕込みます。
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軸受固定用の部品を取り付けます。
刻まれた6か所の溝で半固定されます。
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温度ヒューズ1本のために長く
修理の中断を余儀なくされました。
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ようやく底部カバーを組み付け
ゴム(ウレタン)足をはめ込みます。
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ご依頼主をお待たせしてしまった穴埋めに、本体表面をコンパウンドで
クリーニングします。深く入り込んだ汚れや傷もほとんど消えました。
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