デスクワーク用のすっきりしたデザインの照明器具です。通称Zライトだったと
思います。が、以前はアームに沿って強力なスプリングが取り付けられて
いたものが、アーム内に組み込まれているのか、いつの間にかなくなって
います。蛍光管を交換した直後に、異臭がして点灯しなくなったそうです。
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動作確認してみます。確かに点灯し
ません・・点灯する気配も見せません。
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このボックス内に点灯回路が収められて
います。異臭の発生源はここでしょう。
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ボックスの表面に製品表示があります。
山田照明製、Z-208、2012年製造です。
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製品表示のラベルを少しめくると、
裏カバーを固定しているネジがあります。
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ネジを回せる程度に
ラベルを剥がします。
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ドライバを入れてネジを緩めます。カバーに通風
スリットがあり、ここから異臭が出たようです。
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裏カバーが外れてきました。通電も
過熱もしていませんが異臭がします。
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器具全体を支える強度を保つため
ボックスの本体は金属製です。
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左右2個の樹脂部品を介して、点灯回路
基板がボックス内に固定されています。
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左右各々の樹脂部品を
固定するネジを緩めます。
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点灯回路基板を引き出します。ディスクリート部品のみで
構成された、蛍光灯点灯用インバーター回路です。
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基板全体に異様な雰囲気が漂っています。
部品表面に白い変色と黒い変色が見えます。
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基板の裏側、半田面はところ
どころ茶色に変色しています。
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FETが2個使われています。特定の
面に何か白い付着物があります。
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ボックスの内面が何かの液体で
うっすら濡れています。
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原因はこの電解コンデンサです。
破裂により電解液が飛び散ったようです。
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200V、22μF。前の写真で頭頂部が
明らかに膨らんでいるのが分かります。
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電解液の成分はリン酸アンモニウム
あたりでしょうか。先に片付けます。
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基板を保護する樹脂板の内側にも
電解液が垂れて溜まっています。
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電解コンデンサは完全に破損して
います。2個とも取り外します。
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半田吸い取り器を使い、ランドの
周りを綺麗に整えます。
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取り外した電解コンデンサを調べて
みます。10μFを下回っています。
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容量抜けにとどまらずリーク電流も
出ているはずです。新品と交換します。
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基板や部品の白い付着物は電解液が乾燥し集積した
ものです。コンデンサの方を向いた面に顕著です。
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基板にリードを通して半田付けします。
高圧回路ではコンデンサは消耗品です。
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電解コンデンサの交換を終えました。
簡単かつ安価に済み、楽勝の修理です。
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残念ながらそうはいきません。
蛍光管はまだ点灯しません。
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電解コンデンサが破裂するほどですから、元の原因はおそらく過電流・過電圧。
高周波電流をドライブする半導体素子(2個のFET)の損傷が考えられます。
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パワーFETの半田付け個所を見ると、付近
一帯のランドが薄く茶色に変色しています。
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2個のパワーFETがかなり発熱したようです。
おそらく破損しているでしょう。取り外します。
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電解液の飛散を受けて表面が白く汚れています。
型番「K8A50D」のNchパワーMOSFETです。
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ドレイン電流8A、耐圧500Vです。
ネット上にスペックシートがあります。
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補修用部品を用意しました。
ひと回り大きいものにしました。
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「TK10A60D」、10A・耐圧600Vです。
この素晴らしいデバイスが1個100円。
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端子の配置など全く同規格なのでそのまま元の場所に差し込みます。
基板上にG(ゲート)位置を示すシルク印刷があるので向きを合わせます。
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裏側に出た各3本の端子。適量の
半田でしっかり固定・接続します
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半田ごての熱を加えるとランドが剥がれかけて
きます。あまり品質の良い基板ではありません。
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点灯しました。インバーター点灯らしい効率の良い一段明るい発光です。
パワーFETと電解コンデンサ、インバーター回路定番の故障でした・・・
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電源を抜き、基板をボックスに戻そうとした時に重大な事に気付きました。FETが極端に
熱くなっています。あらためて放射温度計で測定すると、軽く60度を超えまだ上昇中です。
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S-D間ON抵抗がTK10A60Dで0.58Ω、元の
K8A50Dは0.7Ωです。問題があるのでしょうか。
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2SK3234も試して見ました。ON抵抗は
よりK8A50Dに近い0.65オームです。
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結果は変わりありませんでした。同じように蛍光管は点灯しますが、FETの発熱は
尋常ではありません。まだ他に原因があります。かくなる上は回路図を起こします。
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ハンドトレースした回路図をCADで清書します。回路の全貌が見えてきました。
疑わしい部品をオンボードで、あるいは取り外してひたすら点検します。部品に
特に問題がないとすると、原因究明が一挙に難しくなります。インバーターの
発振異常の可能性もあります(現状は実測で58kHz)。何とか直したいものです。
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