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配膳口ガラス戸の交換(2016.12.13)

ダイニングルームと隣接する調理室の間が、幅40cmほどの配膳口により
仕切られています。その両面にガラス戸が入れられており、調理室側の
5mm厚板ガラス製引き戸が、1枚破損しています。出入りの業者さんに
修理を依頼したところ、修理のしようがなくそのまま戻ってきたそうです。
 

車のハッチ部に載せて恐る恐る工房に運んで
きました。あらためて状態をよく確認します。


上部左端に進行したヒビが見られます。角の
近くは表面が剥離したように割れています。
 

上部右端にもヒビが生じています。危険
なので粘着テープで補修されています。
 

下部にはアルミ製ハカマが取り付けられています。
上半分でガラスを挟み、下半分に戸車を収納します。
 

ガラス板が挟まれている隙間に接着剤のような
ものが見えます。固定用の両面テープでしょう。
 

最初に修理を依頼された業者は、ガラス板から
ハカマを取り外すことが出来なかったそうです。
 

戸車の状態も良くありません。劣化が進みこちら側は車輪が
なくなっています。レール上を引きずられていたはずです。


劣化した戸車を取り外します。細い
ドライバを差し込むと簡単に外れます。
 

軸受部にも錆が広がり、一面
汚れに覆われています。
 

車輪が脱落してしまった側の戸車です。
調理場なので湿気が高く厳しい環境です。
 

ハカマの取り外しにかかります。
作業台に載せ、片側を少し高く保ちます。
 

接着剤(粘着テープ)で固定されているので
溶剤(アセトン)を使って接着力を弱めます。
 

スポイトを使い接着されている
隙間にアセトンを流し込みます。
 

ガラス板を少し傾けてあるのは、
隙間に溶剤を留まらせるためです。
 

しばらく待って接着力が弱まってきた頃
ハカマを少しずつ引き離します。
 

接着剤がまだ効いている部分にはアセトンを
多少追加します。簡単に外れました。
 

アルミ製ハカマにサンドペーパをかけ
汚れと細かな傷を取り除きます。
 

ペーパがけの方向を揃えると
美しいヘアラインが蘇ります。
 

注文しておいた板ガラスが届きました。5mm厚普通ガラス、
オプションで切断面の処理と引き手溝の加工を依頼しました。
 

ハカマをはかせる部分に両面テープを貼り
ます。ガラス板の表裏で厚みを調整します。
 

そのままではハカマに入らないので、粘着面に
シンナー(カースプレーのぼかし剤)を吹き付けます。
 

シンナーが一時的に潤滑剤となり
すんなりハカマに入っていきます。
 

交換用の新品戸車です。ベアリング
入りなので極めて軽く回転します。
 

取り外した戸車と並べてみます。厳しい
環境下では定期的な交換が必要です。
 

ハカマの下側に押し入れます。位置がずれない
よう両面テープを入れても長くは持ちません。
 

シンナーが揮発し粘着力が回復するまで
クランプをかけて固定しておきます。
 

現場に戻りガラス戸を入れてみます。レール内に
集積しているごみを予め掃除しておきます。
 

元のサイズ通り、引き手溝の位置も元通り
です。さすがにスムーズにスライドします。
 

安全性を考えて当初はポリカーボネートなど樹脂製の引き戸を希望されていましたが、
この大きさでは撓みが大きくなり過ぎます。風圧が加わった際など、逆にレールから脱落
する危険が出てきます。作業をしていて5mm厚ガラス板の強靭さを実感しました。

 
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