ダイニングルームと隣接する調理室の間が、幅40cmほどの配膳口により
仕切られています。その両面にガラス戸が入れられており、調理室側の
5mm厚板ガラス製引き戸が、1枚破損しています。出入りの業者さんに
修理を依頼したところ、修理のしようがなくそのまま戻ってきたそうです。
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車のハッチ部に載せて恐る恐る工房に運んで
きました。あらためて状態をよく確認します。
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上部左端に進行したヒビが見られます。角の
近くは表面が剥離したように割れています。
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上部右端にもヒビが生じています。危険
なので粘着テープで補修されています。
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下部にはアルミ製ハカマが取り付けられています。
上半分でガラスを挟み、下半分に戸車を収納します。
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ガラス板が挟まれている隙間に接着剤のような
ものが見えます。固定用の両面テープでしょう。
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最初に修理を依頼された業者は、ガラス板から
ハカマを取り外すことが出来なかったそうです。
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戸車の状態も良くありません。劣化が進みこちら側は車輪が
なくなっています。レール上を引きずられていたはずです。
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劣化した戸車を取り外します。細い
ドライバを差し込むと簡単に外れます。
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軸受部にも錆が広がり、一面
汚れに覆われています。
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車輪が脱落してしまった側の戸車です。
調理場なので湿気が高く厳しい環境です。
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ハカマの取り外しにかかります。
作業台に載せ、片側を少し高く保ちます。
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接着剤(粘着テープ)で固定されているので
溶剤(アセトン)を使って接着力を弱めます。
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スポイトを使い接着されている
隙間にアセトンを流し込みます。
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ガラス板を少し傾けてあるのは、
隙間に溶剤を留まらせるためです。
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しばらく待って接着力が弱まってきた頃
ハカマを少しずつ引き離します。
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接着剤がまだ効いている部分にはアセトンを
多少追加します。簡単に外れました。
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アルミ製ハカマにサンドペーパをかけ
汚れと細かな傷を取り除きます。
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ペーパがけの方向を揃えると
美しいヘアラインが蘇ります。
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注文しておいた板ガラスが届きました。5mm厚普通ガラス、
オプションで切断面の処理と引き手溝の加工を依頼しました。
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ハカマをはかせる部分に両面テープを貼り
ます。ガラス板の表裏で厚みを調整します。
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そのままではハカマに入らないので、粘着面に
シンナー(カースプレーのぼかし剤)を吹き付けます。
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シンナーが一時的に潤滑剤となり
すんなりハカマに入っていきます。
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交換用の新品戸車です。ベアリング
入りなので極めて軽く回転します。
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取り外した戸車と並べてみます。厳しい
環境下では定期的な交換が必要です。
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ハカマの下側に押し入れます。位置がずれない
よう両面テープを入れても長くは持ちません。
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シンナーが揮発し粘着力が回復するまで
クランプをかけて固定しておきます。
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現場に戻りガラス戸を入れてみます。レール内に
集積しているごみを予め掃除しておきます。
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元のサイズ通り、引き手溝の位置も元通り
です。さすがにスムーズにスライドします。
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安全性を考えて当初はポリカーボネートなど樹脂製の引き戸を希望されていましたが、
この大きさでは撓みが大きくなり過ぎます。風圧が加わった際など、逆にレールから脱落
する危険が出てきます。作業をしていて5mm厚ガラス板の強靭さを実感しました。
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