インフルエンザの季節が近づいています。予防に加湿器が欠かせません。
電器店には新機能を謳った製品が次々と登場しますが、家庭で何度も何台も
購入するものではありません。実は故障による買い替えが少なくないようです。
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アピックス社製超音波式アロマ加湿器
です。ミストが出なくなってしまいました。
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優美なデザインで、実は私の自宅にも
あります。既に生産終了しています。
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水タンクを取り外します。給水時は
逆さにしてふたを開け注水します。
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抗菌カートリッジを取り外します。セラミック
ボールの表面に雑菌を吸着させるタイプです。
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アロマパッドの収納カートリッジを
引き出して点検します。
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アロマ・・どころではありません。
汚れが付いて変色し始めています。
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本体吸気口のグリッドには
埃が詰まっています。
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ミストの発生具合、つまり超音波
振動子の動作を確認します。
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パイロットランプが点灯し送風ファンも
作動しますが、ミストは全く出てきません。
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どこかで、ミスト用超音波振動子の寿命は
5000時間程度と聞いたことがあります。
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連続運転で7か月程度、年に2か月ほど運転
したとして3~4年で使用できなくなる計算です。
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本体底カバーを取り外すと、そこも埃まみれの状態です。
噴霧用ファンが外気を取り込むので避けられません。
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先ほどのアロマカートリッジ部と
共にクリーナで埃を取り除きます。
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できれば定期的に清掃したいところですが
一般家庭で底カバーを開けることは無理でしょう。
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ミスト発生装置が露わになりました(本体を逆さにしています)。
埃に加えて水道水に含まれるカルキが一様に付着しています。
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超音波振動子です。金属製カバーで覆われています。入り組んだ
隅々まで埃が入り込み、多湿によりネジの頭が錆びついています。
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超音波振動子を取り外します。水密性を
保つためネジが固く締め付けられています。
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ダイキャスト製の台座にゴムパッキンを介してネジ止め
されています。表面にカルキの集積が見られます。
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歯ブラシやスクレーパを併用しながら
クリーナで徹底的に清掃します。
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汚れが落ちて各パーツの確認がしやすくなります。
送風ファンのフィン内部も綺麗になりました。
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水位を検知するリードスイッチを点検します。超音波振動子は
水のない状態で駆動すると、過熱により簡単に破損します。
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回路基板にも問題がないか
取り外して点検します。
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基板の裏側はこの通り埃まみれです。
半田付けやランドの状態が確認できません。
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埃を綺麗に取り除き、部品の
実装状態を丹念に確認します。
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電子部品のリードの付け根に錆が生じているのが分かります。
また、R4(470オーム)の抵抗器が焼けかかっています。
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新しい470オーム抵抗器と
交換します(工房に在庫在り)。
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R4のすぐ下の100kオームも交換したいところ
です。が、超音波振動子の交換に進みます。
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超音波振動子の交換用純正部品はほとんど入手
不可能です。汎用品に期待するしかありません。
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ネブライザー用1.6MHz駆動の
ゴムパッキン付き超音波振動子です。
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元の超音波振動子とゴムパッキン
・セラミック体共に同一サイズです。
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水密性が保証されないと漏電などを引き起こし
家電製品として大変なことになります。
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元の超音波振動子(左手前)と、交換取り
付け作業の終わった新しい振動子です。
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実際に水を入れて試運転に臨みます。
水の傍でAC100Vを扱う危険な作業です。
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超音波振動子の真上に局所的な水面の隆起が
見られます。取りあえず動作しているようです。
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非常に振動が弱くミストの発生に至りません。電源スイッチを
回転することで強弱を変えられますが、MAXでもこの状態です。
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基板上に半固定抵抗器が1個あります。超音波振動子を
駆動するパワートランジスタのバイアス調整用でしょう。
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ドライバーを入れて微妙に調整します。大きく
し過ぎるとパワーTR~振動子が飛びます!
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水面の隆起が大きく変化し
ミストが盛んに出始めました。
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電源スイッチの回転を最大にして、半固定
抵抗器により実用的なミスト量に合わせます。
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水を入れた状態で通電し、底側から覗き込むように半固定抵抗器を調整
します。危なっかしい作業を終え、本体内外のクリーニングに入ります。
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水位センサー周りの入り組んだ部分にも、水垢が
しつこく纏わりついています。丁寧に落とします。
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作業終了です。できれば抗菌カートリッジも
新しいものに交換をお勧めしたいところです。
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水タンクや吹き出しカバーを
元通りに組み付けます。
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元気よくミストが出ています。超音波振動子
交換作業をうまく完了できたようです。
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ただし、長時間にわたり基板上の電子部品や超音波振動子自体が熱的に安定動作する
ことを確認しなければなりません。水タンクを満杯にして、ひと晩運転してから納品します。
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